十数年ぶりに、この数日間は、日本人作家のミステリィを
読んでいる。映画化された作品も多い。見てみたくなった。
政治スリラーは日本製ではいい作品を見た記憶がないかも。
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『シリアナ』SYRIANA
監督: スティーブン・ギャガン
制作:2006.アメリカ 時間: 128分
出演:ジョージ・クルーニー、マット・デイモン
原作:『CIAは何をしていた?』新潮文庫刊
DVD発売日:2006.07 販売元:ワーナーブラザーズ
Amazonなどでの紹介を編集
アカデミー賞に輝く『トラフィック』のスタッフが集まり、
アメリカ当局とアラブの王族、イスラム過激派テロリスト
の石油をめぐる黒い関係を描いた問題作。元CIA工作員に
よる、全米ベストセラーのノンフィクションからヒントを
得た世界的な陰謀を炙り出す衝撃のストーリー展開に驚か
される。並行して描かれる、複数の物語が複雑に絡みあい、
石油利権に群がる人々の欲望とそれが生み出す巨大な陰謀
を白日の下にさらす。
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原作とはほど遠い内容。原作者はアドバイザーとして製作
に参加したのかもしれない。とにかく映画は失敗作である
と感じた。石油の利権にからむ企業やフィクサーや弁護士、
CIA内部と現地の工作員、アラブの王族、イスラム過激派、
パキスタン人の青年、アナリストの家族など、多くの要素
をまとめきれていない。映像も散漫だ。少なくとも日本人
の中で、理解できた人はいないのではないか。その政治の
世界、暗躍する企業や政府機関のことを。
ジョージ・クルーニーは、これまでは、軽い役者との印象
しかなかったが、この映画では、いい雰囲気を出していた。
感心したのはそれくらい。映画の流れを見る限り、不可解
なのは、アラブ王族一家の暗殺である。その意図が不明だ。
アメリカに限ったことではないだろうが、これこそダブル
スタンダードということなのだろうか。世界の警察を標榜
して、民主主義を覇権する超大国の、裏の素顔~本質か?
意に反した個人や組織や国や主義など、消してしまえと。
この製作チームの映画は前作の『トラフィック』のほうが、
はるかにいい出来だった。非常にリアルで緊迫感にあふれ、
すごく怖かった。日本には少なくとも、銃と麻薬は絶対に
蔓延させてはならない。さらに無茶苦茶な社会になるから。
すでに広範囲に?浸透しているはずだが、規制は間にあう。
ベネチオ・デル・トロの、その個性や素質などを、再認識
した映画でもあった。こんな陰のある役者が大好きなのだ。
使った写真はそれぞれ米国の、映画の公式サイトから。