リコーの、レンジファインダー機種の「Mate」~パララックス補正式の
ブライトフレームファインダー装備やレンズまわりを覆う黒いカバーなど、
妙に凝った作りになっている.露出計はなく、完全なマニュアルでの操作.
後に登場する、一眼レフカメラの先駆的な存在かもしれない.露出の数値
のみを小さな窓から読み取るという、そのセンスの先取りという意味では.
実際にさまざまな新しい試みを実現させている印象の当時のリコーである.
使っていて面白く、飽きのこないカメラも多い.この Mateは経年の劣化
はあるが状態はいいほうだと思える個体.二重像のピント合わせも問題の
ないレベル.わずかに薄くなっているが.各部の動作も異常はなさそうだ.
シャッター速度や絞りの精度も正常な印象.レンズにはわずかだが拭き傷.
写りに影響しないとも思うが、試写の結果を見るまではわからないこと.
写りはいいものだった.レンズの傷は影響していない印象.コントラスト
感もあり好感の持てる試写の結果だ.被写体の陰影もよく再現されている.
黒く四角い珍しいシャッターの感触もそう悪くない.あらためて見てみる
とあんがいクールなボディデザイン.またリコーのカメラが好きになる.
Ricoh Mate
●フィルムシステム:35mm ●画面サイズ:24×36mm
●レンズ:Ricoh 45mm/F2.8 3群4枚構成
●フォーカス:距離計連動 直進ヘリコイド
●シャッター:セイコーSLV B.1-1/400秒 セルフタイマーは省略
●サイズ:115mm×76mm×62mm 730g
●当時価格:12,800円 ●発売:1960年
特徴:採光式フレームファインダー パララックス補正
自動復帰フィルムカウンター フラッシュダイレクトコンタクト
カメラにインダストリアルデザインの気風が入り、ドイツ製カメラ
イメージからの脱却をはかる方向が潮流に.このカメラもその典型.
鏡胴の外観を単純化し、目盛り数字は小穴から見る型式にしてある.
だがこのデザインは必ずしも評価を受けなかった.デザインとして
早すぎだった.しかし現在オートフォーカス一眼レフの交換レンズ
はすべてこの形態の鏡胴になっている.翌年からリコーはカメラの
自動化を進めていくことになる.この Mateは、フルマニュアルの
最終期を飾った一台ということになる.(RicohのHpより転載)