blueな日々

( Art で逢いましょう)

贋作画家(新聞から)

2006年01月09日 | ART

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絵画の贋作(がんさく)について。
読売新聞の日曜版にそんな記事があった。
(新聞では「偽作」「偽画」と表記されている)

20世紀の巨匠たちの「贋作」を数多く作り、ヨーロッパ
を中心に20年間もの間、売りさばいていた男が今、故郷
のオランダで「偽作展」を開いている!

男は詐欺歴を振り返って(今は止めた!)言いたい放題。
節操もなく、著名な画家なら誰の作品でも、石版・銅版・
油彩・水彩なんでも「制作」したという。
「世界中に3000点が出回っている」とのたまう始末。

今から30年ほど昔のこと。男が大学で美術史を学んだ後、
経営した画廊がうまくいかなかった頃に「最初の贋作」
独学ながら「絵には自身があった」そうだ…。
最初の「利益」は20万円。以来、犯行はエスカレートして、
作品価格も急上昇?(1点「400万円」くらいで売れた」)
フランス西部の「城」に移り住み(買ったの?)、ずっと
「偽造に没頭」したらしい。
城の各部屋に「ピカソの間」「マティスの間」「ミロの間」
などと名前をつけて、その部屋では画家本人になりきって、
制作にいそしんでいたそうだ。他に、ダリやクリムトや、
カンデンスキーやマグリットや藤田にも…。

「美術界には欺瞞が満ちている。おれはヘマはしない」と、
傲慢にも嘘ぶいていた男が逮捕されたのは、1994年のこと。
シャガールのペン画(これも贋作)などを売買記録(絵画
にはつきもの=来歴証明)とともに、ドイツの競売業者に
持ち込んだ時、もちろん偽造したその記録(フランス語)
の1文字に、つづり間違いがあったから、だって!
捜査当局は「城」の捜索で、1300点もの「作品」を発見。
男への罰は禁固2年執行猶予5年。何故こんなに軽いの?
それは、被害にあった画商(実はぼろ儲け!)や所有者が
被害届を出さなかったから。多くの作品が、贋作だと判明
すれば「価値が下落する」ことを恐れ、沈黙しちゃった…。

A19p2

「世紀の偽作作家」「戦後最大の贋作画家」などと呼ば
れたこの男、現在は「人生を改めた」という。「今は、
自分なりに絵を描くのが楽しい」20年間の贋作画家時代
に世の中に出回った多くの作品は「そっとしておきたい」
偽物だと暴露しても問題が起きる。所有者も「知らない
ほうが幸福だろう?」 記者のインタビューに、最後は
こう答えた~「品質は本物と同じ、おれが保証するさ」
…男は今、62歳。       (新聞記事を一部転載)

………
記事のトップの写真(絵)は、マグリットの作品に私の
顔を載せたもの。彼から借りたのは身体シルエットのみ。
これも贋作になる? 

独り静かに「贋作」世界にのめり込むなら何も言わない。
それも人生だから。そんな人間がいてもおかしくはない。
でも現世の利益を求めたというのが非常に気にくわない。
どんな犯罪であれエスカレートする。犯罪者本人が度を
超え、さらに周辺の「悪」がまとわりついてくるもの。
被害が確実に広がるのだ。この贋作事件では、誰も想像
のつかない被害者がどこかにいたのかもしれない。
(まわり回って結局は、犯罪組織に莫大な資金が…)
利益をむさぼった一部の?画商や、贋作を購入した金持
ち連には感想はない。いや軽蔑を、と言っておく。


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