フットボールレビュー

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南アフリカ大会~セミファイナル・第一戦~

2010-07-07 07:31:00 | W杯
今日のオランダの勝利を、言葉で言い表すのは難しいだろう。

先日ここに書いた、オランダのオフェンス包囲網の脅威。
その恐ろしさゆえに固まったディフェンスをあざ笑うかのような、集中したディフェンスを、何の意味も持たなくさせてしまったキャプテン・ジオのロングシュート。

これはさすがに凍りついた。

オランダの引き出しに無いと思っていたものが、この厳しいセミファイナルで突如顔を出したのだ。

その後同点にされるものの、落ち着いた試合運びと微妙なバランス感覚で、確実に攻め続けたオランダ。
前半封じられていた精密機械スナイデルも、後半デ・セーヴに代わり投入されたファンデルファールトの鋭い閃きで完全に息を吹き返す。
そして彼が入ることで攻撃に流動性が生じ、ウルグアイディフェンスは完全に翻弄されていた。気がついたらサイドのカイトの前に広大なスペース。

このファンデルファールト投入こそ、オランダのスイッチオンだった。
私はデ・セーヴが削られた時点でこの交代を考えたが、究極の堅実肌のファンマルバイクがとてもそのような賭けをするとは思えなかった。
投入後のオランダは、私たちが良く知っているオランダ。これを監督が指示したのかどうかは解らないが、淡々と3点目を取りに行くオランダは、今大会では観られないオランダ代表だった。

W杯の準決勝まで来ると、予想外のことが起こらないチームは勝ちあがれないのかもしれない。

W杯の試合は負けても人生は続く。
最も負けた人生を歩みたくないチームが、優勝するのだろうか?

やはりW杯はW杯なのである。