フットボールレビュー

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南アフリカ大会~いざ決戦~

2010-07-10 23:53:35 | W杯
試合前日なので、メディアが両チームの様々な情報を取り上げている。
色々見ていて思うのは、今回はオランダチームの気合の入り方が凄いということ。
W杯後の移籍の話を中心に、メディアに色々と気をそらされる中、両チームで少しの違いが出ている。

マンチェスターユナイテッド行きの噂の立っているスナイデル。
前日に所属チームインテルのHPに「私は来年もインテルでプレーする、インテルのサポーター達にはオランダの優勝を望んでいて欲しい」とコメント。
この移籍話に対する大人な対応は、彼がオランダチームの中心選手としてプレー以外でもチームに貢献しているということを表すに充分な対応である。

またファンマルバイク監督は、リバプールのHPに「カイトは真のチームプレーヤー。彼の献身性が他の選手にポジティブな信号を送るんだ」とコメント。
所属チームの監督やサポーターにとって、W杯でそのチームの選手が勝ち進むことは、嬉しい反面、選手の疲労や怪我の心配を考えると不安な要素もある。
バイエルンのファンハール監督は、ドイツ、オランダが勝ち進んでいる今大会中に、「彼らが戻ってこないことが残念」と告白。
おそらくサポーターも同じ想いだ。
ファンマルバイク監督のコメントは、カイトを心配するリバプールのサポーターをフォロー。
それはリバプールサポーターの、オランダチームへのサポートへ繋がっていくと思う。

対するスペイン。
大会中セスクの移籍話が常に囁かれ、前日にもシャビが「彼の心はバルサと共にある」と発言。
彼の所属チームのアーセナルのベンゲル監督やサポーターにとっては、当然嬉しい話ではないし、この点はオランダと正反対。
プジョルも準決勝での得点を「バルサで決めたようなゴールで、動きもバルサ同様だった」とコメント。
スペイン代表はもう、バルセロナと共にあるといって良い。

ただ、それが吉と出るか凶と出るか・・・。

準決勝のペドロのカウンター。見えてる選手がトーレスではなくイニエスタだったら、パスを出したのでは・・・?

私は大会期間中、スペイン国民の民族意識の持つ取り払えない軋轢を何度か指摘してきた。
スペイン代表の発言を見ていると、ここに来てさらに、バルサとそれ以外という部分での何かを感じずにはいられない。
私はトーレス不調の理由も、そこにあるのではないかと思っている。
W杯前にトーレスは「プレミアはリーガより上」とはっきり発言していた。
アトレチコからプレミアムなステージに移ったトーレスが、再びリーガの他チームのフットボールにフィットするのは、心中穏やかじゃないだろう。
さらに言うと、そもそも監督はマドリーに縁の深いデルボスケだ。
彼がカシージャスやラモスにどう諭しているかは解らないが、その少しの気持ちが反映されてしまうのが、W杯だと私は思う。

バルセロナのサッカーを私は好きだが、ナショナルチームとクラブチームは別だと思っている。
サポーターの数で勝利が決まるわけではないが、南アフリカに住む多くのオランダ系アフリカ人や、世界のクラブのサポートを考えると、明日勝たねばならないのはオランダ。
オレンジ一色に塗られた観覧席を持つヨハネスブルグのサッカーシティースタジアム。
これが意味するのは、明日の勝者なのだろうか・・・?