中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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唐松岳・五竜岳・鹿島槍ヶ岳・爺ヶ岳縦走(7)

2007年08月09日 04時30分37秒 | 北アルプス
      北アルプス:唐松岳・五竜岳・鹿島槍ヶ岳・爺ヶ岳縦走(7)
            (山旅スクール挑戦コース)
        2007年7月28日(土)~8月1日(水)


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第5日目 2007年8月1日(水) 快晴

<鹿島槍ヶ岳へ>

■早朝の出発

 今日も飛んでもない早朝,3時15分に起床する。他の登山客に迷惑を掛けないように,しずしずと食堂へ移動する。そして,昨夜,山荘から頂いた朝弁当を,モグモグと食べる。丸いボソボソのパン3個,牛乳1パック,ジャムとバター,チーズ1切れが袋に入っている。ボソボソのパンをやっとの思いで,牛乳で胃に流し込む。途中でシャリバテになると困るが,残りのパン2個は,残念ながら,とても食べられない。
 昨夜はどうもよく眠れなかった。後頭部が何となく重い感じがする。明らかに寝不足である。隣で大きな鼾をかいて良く寝ていた男性が,
 「今日は寝不足だ・・・」
とぼやいている。
 「あんなに大きな鼾をかいていたのに寝不足だって!・・・勘弁してよ」
と私は言いたいが,ジッと我慢する。
 やっと足元が明るく見えるようになった4時33分にキレット小屋を出発する。

         <キレット小屋を出るといきなり急坂になる>

■緊張する八峰キレット
 いきなり,急でジグザグなザレ道を這い上がる。そして,直ぐに短いハシゴを登る。寝不足のためか,首の後側が固くなっているような気がするので気を引き締める。再び短いハシゴを登る。その後,厳しい岩稜が連続する。岩場が次々に現れる。
 3点確保に注意しながら登り続ける。怪しいほどに揉めた地形が次々に現れる。V字型に鋭く深く切り裂かれた所を慎重に通過する。ここが,今回のコースでの一番難所,八峰キレットである。ただ,これまで山旅スクールで習得した登山技術さえ習得していれば,余裕を持って通過できることも実感する。
 私の直ぐ後を登っているチームメンバーが,珍しくCWXと短パンを履いている私の後ろ姿を見て,
 「flower-hillさん,ふくらはぎと太股,随分と太いですね・・・」
と私が気にしていることをズバリ言う。言われなくったって,私の足は駄馬系だから太いことは先刻分かっていますよ。
 まあ,良いか・・・

              <八峰キレットを行く>
 
           <八峰キレット>           <八峰キレットから鹿島槍ヶ岳北峰を望む>

■鹿島槍ヶ岳北峰へ
 八峰キレットを越えると,再び急峻な登り坂となる。岩稜帯が延々と続く。2~3級の岩場が次から次に現れる。しかし,一方では,岩場を登るのは楽しいことでもある。
 5時31分,岩稜の切れ目(2540m)で,4分間,小休止して,再び露岩帯を登り続ける。 6時30分,ようやく吊り尾根(2730m)に到着する。その途端に,稜線東側の視界が一気に開ける。ここでリュックを下ろして,直ぐ近くに見えている鹿島槍ヶ岳の山頂を目指す。そして,6時41分に鹿島槍ヶ岳北峰の山頂(2842m)に到着する。山頂に顔を出した途端に東北東の強い風に煽られる。いくら夏でもまともに風を受けると寒いし,飛ばされそうになって危険である。

                 <鹿島槍ヶ岳北峰>

 山頂には,ヒビだらけの黄色い棒杭が立っている。棒杭には鹿島槍ヶ岳北峰と書いてある。強風に吹き飛ばされそうになるのを堪えながら,自分と棒杭を入れた写真を撮って貰う。その内に,自分たちの集合写真を撮りたくなる。居合わせた5人が吹き付ける風に顔をしかめながら写真に収まる。

■吊り尾根を行く
 6時46分に鹿島槍ヶ岳山頂から下山を開始する。そして,7時11分に,先ほどリュックを置いた吊り尾根分岐に到着する。丁度そのとき,昨日雑談したベルギー人の登山家が大きなリュックを背負って登ってくる。私が,
 「やあ,また会いましたね・・・」
と声を掛けると,彼は親指を突きだして,「やったぞ!」というジェスチャをする。
 
        <吊尾根>                         <鹿島槍南峰山頂>

 7時16分,吊り尾根分岐を出発する。ここからの山容は,今までとは一変して,これが本当に同じ山なのかと疑いたくなるほど,穏やかで女性的な尾根道になる。広々としている。今日は快晴。雲一つない。進行方法右手には剣岳,立山連峰の山々が手に取るように見えている。左手には茫洋と見えている大町付近の盆地の向こうに,遠く浅間山,八ヶ岳,富士山も見えている。こんな景色を堪能できるなんて,自分は何という果報者なのだろうかと感動する。こんなに素晴らしい風景の中に自分が浸っていることの幸福感,感動を何と表現して良いか分からない。だから,どんなに苦しくても,どんなに辛くても,登山を止めることはできないんだなと自分で納得する。
 下り坂で,神戸女学院中学2年生の生徒,100名ほどとすれ違う。山で若い人に会うと嬉しいものである。

                     <鹿島槍ヶ岳南峰からの眺望>

■鹿島槍ヶ岳南峰に到着
 7時42分,鹿島槍ヶ岳南峰(2889m)に到着する。北峰よりややマシな標識が建っている。南峰の風下になっているためか,それほど強い風は吹いていない。私達は,ここでしばらく休憩を取ることにする。
 間もなく先ほどのベルギー人が南峰に到着する。彼はリュックから大きなノートのようなものを取り出す。そこにはローマ字で「Kashima-yarigatake」と書いてある。そのノートを身体の前に置いて,証拠写真を撮っている。なるほど,うまい方法だなと感心する。いつか私も真似をしようかと思う。

<冷池山荘へ>

■素晴らしい眺望の尾根道

 集合写真を撮った後,8時03分に鹿島槍ヶ岳南峰を出発する。登山道は穏やかな下り道になる。ガイドが時々足を止めて,周りの山の説明をする。
 「ほら,・・・あそこの尖った山に雪渓が見えるでしょう・・・その雪渓の先に建物が見えるでしょう。あれが大観峰ケーブル駅ですよ・・・」
 相変わらず剣岳や立山連峰の山々がとても良く見渡せる。足元には高山植物が咲き乱れている。実に素晴らしいところである。振り返ると,つい先ほどまで居た鹿島槍ヶ岳南峰がポッコリと聳えている。この辺りまで来ると,軽装のハイカーと時々すれ違うようになる。
 少し登り返して,8時46分に布引山山頂(2633m)に到着する。ここで5分ほど休憩を取る。その間に,山の標識を入れた写真を撮る。標高が少し下がったためか,大分蒸し暑くなる。

■布引山から冷池山荘へ
 8時51分に布引山を出発する。緩い勾配の下り坂が続く。登山道の両側に,いろいろな高山植物が沢山咲いている。花のことは全く分からない私には,花の名前は殆ど分からないが,高山植物の花がとても繊細,可憐に見える。こんな美しいものを作り出した自然は本当に素晴らしいなと思う。
 尾根に沿って,緩やかに下る登山道が続く。お花畑の中を下る素晴らしい散歩道が続く。9時30分にキャンプ場を通過する。そして灌木の中の小径をしばらく進み,9時36分に,無事,冷池山荘(2430m)に到着する。ここで,しばらく休憩をとる。

                   <冷池山荘>
                          (つづく)


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