中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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唐松岳・五竜岳・鹿島槍ヶ岳・爺ヶ岳縦走(8)

2007年08月10日 04時41分10秒 | 北アルプス
     北アルプス:唐松岳・五竜岳・鹿島槍ヶ岳・爺ヶ岳縦走(8)
          (山旅スクール挑戦コース)
        2007年7月28日(土)~8月1日(水)


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第5日目 2007年8月1日(水)(つづき) 快晴

<のどかな尾根道歩き>

■冷池山荘へ

 9時36分に,冷池山荘(2430m)に到着する。ここで,しばらく休憩をとる。高度が下がったためか,あるいは風がないためか分からないが,蒸し暑い。山荘前の木陰に座り込んで,休憩を取る。先ほどのベルギー人の登山家も,程なく到着する。
 私は山荘の売店で,オレンジジュース1缶を買いたいと思う。窓口に行くとベルギー登山家がカップラーメンを注文している。彼が待っている先にスタンプが置いてあるので,私は,
 「ちょっと,ご免なさい・・・」
と声を掛けて,スタンプを手許に引き寄せる。そして,記録帳の余白にスタンプを押す。それを見ていた彼は,
 「スタンプは大事なエビデンスだよね・・・・」
と言いながらニヤリと笑う。続けて,
 「所で,貴方は100名山の内,幾つぐらい登りましたか・・」
と私に聞く。
 「そうですね,正確には数えていないけれども,まあ大体80パーセントぐらい登ったかな」
と答える。
 「じゃあ・・・まだ,20山ほど登らなければならないね」
と彼が言う。私は特段100名山には拘っていないが,英語で面倒なことを説明するのは困難なので,
 「そのとおりですね・・・まだ頑張らなければ・・・」
と答えてお茶を濁す。
 一同が休息を取っている場所に戻り,リュックから食べ残しのパンを取りだして,ボソボソと食べる。山に入ってから,殆ど毎日ろくでもない昼飯しか食べていないので,残パンを食べながら,「下山したら何を食べようか・・」と,ついつい卑しく考える。 昼食後,山荘手前の高台に登ってみる。高台からは実に見事な眺望が楽める。向かって左に,今下りてきた布引山が聳えている。その右遠くに何処の山か良く分からないが,大きな山脈が見えている。中腹には白い雲が棚引いている。さらに右手には,これから登る爺ヶ岳の尾根が聳えている。

             <冷池山荘からの眺望>

■爺ヶ岳南峰へ
 10時04分に冷池山荘を出発する。実は昨年の残雪期に,ここを訪れているが,夏の今は,雪の季節とは全く違った印象を受けるので,まるで初めてここを訪れているような気分になる。

           <冷池からの爺ヶ岳を望む>

 山荘を出て少し下った後,再び爺ヶ岳へ向かうなだらかな登り坂を進む。いつの間にか強風も止んでいる。上空には多少雲が出てきたが,雨雲ではなく,天気は安定している。やや急なザレ道に差し掛かる。そして,10時28分に冷乗越(赤岩尾根分岐点)を通過する。ハイマツ帯の中に登山道が続く。ガイドの説明によると,この辺りで雷鳥を見掛けることが多いようである。
 この辺りの登山道は危険な箇所もなく勾配も緩やかである。そこをかなりユックリとしたペースで登り続ける。
 10時45分,見晴らしの良い斜面で,5分ほど休憩を取る。時間が許されるならば,この辺りで暫くの間昼寝をしていたいなと思うほど素晴らしいところである。
 私達は爺ヶ岳北峰の山頂は通らずに山頂下のトラバース道を辿る。振り返ると,先ほど休憩を取っていた冷池山荘の橙色の屋根が見えている。そして,前方右手の遠くには,これから目指す種池山荘の橙色の屋根が見えている。何という広大な眺望だろう。
 11時37分に爺ヶ岳南峰直下の分岐に到着する。ここにリュックを置いて,ほんの1分ほどで,南峰山頂(2655m)まで登る。山頂からの360度の眺望は,正に絶景である。立山三山,剣岳,鹿島槍ヶ岳,北信越の山々,浅間連峰,富士山,八ヶ岳などの山々がぐるりと見渡せる。

                    <爺ヶ岳南峰にて>
                ※中央で浮いているのが亀山ガイド

 私達より一寸遅れて,例のベルギー登山家が山頂に到着する。私を見付けると,持参した小さな単眼鏡を取りだして,
 「これで辺りを見てご覧・・・良く見えるよ」
と言う。私は単眼鏡にはあまり興味がなかったが,折角だから借用して,眼鏡の掛けたまま単眼鏡を覗く。
 「だめだよ・・眼鏡を外して。このダイヤルを廻して焦点を合わせるんだよ・・・」
と私に注意する。なるほど,とても良く見える。双眼鏡も良いが少々がさ張る。それに比較すれば,確かに単眼鏡は便利なようである。

                   <コマクサ保護区>

■種池山荘
 11時41分に爺ヶ岳南峰を出発する。のどかで眺望の良い散策路が続く。軽装の登山客が増え始める。重装備の私達の姿を見掛けた登山者が,「どこから来たんですか」と聞く。「」八峰キレット越えです」と答えると,「すごい」と畏怖の眼で見られる。
 右手前方には,残雪期に通った南尾根が扇沢へ向かって急勾配で落ちている。あの尾根を通るのでは骨だなと思ったが,夏の今は種池山荘から柏原新道を経由して下山する予定である。柏原新道を通るのは,私にとって初めての経験なので,とても興味がある。

                   <種池山荘が見え始める>

 やがて登山道の両側に背の低い灌木が繁茂する場所を通り抜けて種家平に到着する。そしてこの平の直ぐ先にある種池山荘(2460m)に12時16分に到着する。橙色の三角屋根が素敵な山荘である。私達は,ここで暫くの間休憩を取る。山荘の周りには,起伏のある草原が広がっている。沢山の高山植物が咲き誇っている。登山客も沢山屯している。

                <種池山荘付近から見た遙かなる山稜>

■柏原新道
 12時41分に種池山荘を出発する。お花畑の中の石畳道を下り始めると直ぐに,右手の草むらで,1羽の雷鳥が,頻りに「ぐう・・ぐう・・」と啼いている。どうやら近くに雛が居るらしくて,人間が近付いても逃げられないようである。雷鳥を脅かさないように注意しながらデジカメに可愛い姿を収める。

               <登山道脇の草むらに雷鳥>

 手入れが行き届いた登山道が延々と続く。13時37分頃,木陰(2015m)で5分ほど休憩を取る。既に種池山荘から標高差で400メートルほど下っている。それだけ周辺の山々が高く見えるようになっている。暑さも次第に厳しくなる。

             <危険な崩落地を横断する>
     
              <岩小屋沢岳付近の雪渓>
                ※例年より残雪が多いとのことである。


 13時42分に再び歩き出す。同じような下り坂が続く。そして,13時50分頃,一枚岩(1960m)を通過する。でも,私には何処が一枚岩なのか良く分からない。
 
           <一枚岩>                    <ケルン>

 ここから先も,ただひたすら下り続ける。余りに単調なので,多少眠気も感じるようになる。これば危ないと思って気持ちを引き締める。14時16分,再び木陰で休憩を取る。

■登山口へ到着
 14時19分に歩き出す。最後のピッチである。いい加減飽きてきたのに同じような下り坂が続く。結構急坂なので気を緩めることはできない。照葉樹林帯の中を登山道は下る。その内に,いつからともなく沢の水音が聞こえ出す。
 そして,15時10分に扇沢登山口(1330m)に到着する。

<やっと帰れるぞ>

■天然のクールダウン
 近くを流れている扇川の岸辺に腰を下ろす。登山靴を脱いで,両足を川の中に突っ込む。とても冷たくて気持がよい。正に本当のクールダウンである。手拭いを川の水に浸して,首筋や頭を冷やす。極楽,極楽・・・

■大町温泉郷
 登山口で貸切バスに乗り込む。そして15時30分に発車する。
 15時47分に大町温泉郷の「薬師の湯」に到着する。ここで待望の風呂に入る。5日間の汗と垢を洗い流して,上から下まで下着,ズボン,靴下などを交換する。これで帰りの電車でも周りの人に迷惑にならないだろう。
 風呂上がりにソバでも食べようかと思ったが,麺類は全て売り切れ・・・ガッカリ。今日は,ろくな物を食べていないので,とても期待していたのに・・・仕方なく焼オニギリを購入して急場をしのぐ。

■貸切バスで一路帰宅
 17時06分に薬師の湯を出発する。途中,梓川SA,談合坂SAを経由して,町田へ向かう。相模湖辺りだろうか,折から花火大会が開催されているらしくて,「ドーン・・ドーン・・」という音とともに大きな尺玉が「玉屋~ぁ・・・」。
 途中,思っていたよりも順調で,21時20分に町田に到着する。私はこのままバスで横浜まで出るか,それとも町田で下りるか迷ったが,町田で下りた方が早く帰宅できそうだ。町田で小田急線の急行に乗り換えて,22時丁度に藤沢に到着する。鎌倉行のバスに乗車,22時43分に帰宅。万歳。
                          (つづく) 


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