まだクーラーが付いててびっくりした。
いつもは一時半にきれるように設定してるのに…。
もしかしてタイマー入れる。入れたの忘れもう一度タイマーのスイッチ押す→切ってこと?
夜中に目を覚まさなかったら、もしや一晩中つきっぱなし?
うわー。電気代が大変なことになりそう…。
はい、昨日の続きの聖戦ものですよん。
ちょっとホラー書きたい。
最近ホラー系読んでるんだ。
でも読むと背後が気になるんだ!
Fate/Zero。
サーヴァント入れ替え系。
ギャグなのかシリアスなのか。とりあえず、どっちつかず。
レインボーラヴァー 中編
誰もが見上げる巨体がある一点を捉え、ふむと目を細めた。
共に歩く二人の男女と半歩後ろにつき従う男。
恐らくマスターとそのサーヴァント。
征服王イスカンダルは声をかけようかと一瞬思案して止めた。
聖杯戦争はまだ始まったばかり、これからいくらでも機会はあるだろう。
「おっさーん、どうかしたの?」
「何でもないぞ、小僧。それより買い物は終わったか?」
「うん、ばっちり。それじゃ帰ろうかー」
スーパーのレジ袋を提げた青年雨生龍之介に、イスカンダルは笑いかける。
二人並べば身長差どころか体格差がとんでもない。
けれど間に流れる空気は親子や兄弟を思わせる親密なもの。
マスターとサーヴァントと言うよりも、気心の知れた友人同士に見える。
「今日こそおっさんに勝つからねー」
「ふははは、戦において余に勝とうなど、百年早いわ!」
豪快に笑う大男の姿に周囲はぎょっとするけれど、どちらもそんなこと構いはしない。
龍之介の借りた安アパートに、今二人で住んでいる。
己のアート以外に興味の薄い龍之介は、部屋にも最低限の物しか置いていなかった。現在は、何やら色々と溢れている。主にイスカンダルの私物が。
盗んできたわけではない。ちゃんと買ってきたのだ。己の稼いだ金で。
余計な検索をせず雇ってくれる場所というものは割合何処にでも存在する。
イスカンダルはそんなところを見つけるのが上手かった。
どんな内容かは知らないが、いつも結構な額を稼いで帰ってくる男を龍之介は少しばかり尊敬していた。
そのおかげで無駄ともいえるものが増える現状が出来上がるわけだが、特に気にすることでは無い。
現世に関心のあるイスカンダルの最近のお気に入りは、大戦略と呼ばれるゲームである。その名の通り戦略を駆使して、領地を奪い合う戦争モノ。
何事にも器用な龍之介は良い対戦相手であったが、いかんせん。本物の戦争を知っている彼に勝てたのは数えるほどしかなかった。
龍之介にとってもイスカンダルは退屈しない相手だった。
己の価値観を心の底から語ることの出来る相手と言うのは、生まれて初めてだったのだ。
『常識』で考えて誰にも、家族にもずっと隠していたソレを、しかしイスカンダルは受け入れた。
共感ではないが、一定の理解を示し。更に自分の意見を押し付けない程度に差し挟む。
己の性情や在り方について、こんなにも熱く議論したのは初めてのこと。
生まれて始めて出来た対等の友人。それがイスカンダルだった。
彼の戦車に乗って夜空を駆け抜けるのも楽しみの一つであり、アートは出来なくとも現状に満足している。
本格的に聖杯戦争が始まれば、イスカンダルの様な力を持った英霊たちの本気のバトルが見られると聞くし。
生まれながらの殺人鬼は、生まれて始めて殺人以外の何かで心を埋め始めていた。
「マスター、卵なら向こうのスーパーの方が安いですよ」
「そうか、なら帰りに寄るぞ」
「はい」
とあるスーパー。人参を片手にウェイバー・ベルベッドは頷いた。
隣に並ぶ女はサーヴァント、アサシン。
人間の姿に変じた彼女は油断無く周囲を警戒し、先ほど通り過ぎた若い男がマスターであったと気付いたけれど口を閉ざしておいた。
なぜならこのマスターは若い分激昂しやすい。
こんな人目の多いところで、大声を出されるのはアサシンとしては出来るだけ避けたい。
まぁ人目が多かろうが少なかろうが、至近距離で金切り声を出されるのは誰だって嫌だけど。
アサシンという英霊の中でも特殊なクラスを呼んでしまったウェイバーは現在情報収集に勤しんでいる。
正々堂々真っ向勝負など自殺行為でしかないということは理解している。ただ少年の矜持にそぐわないだけで。
本格的な戦いまでに全陣営の情報を集め出来るだけ分析することに努める。余計な手出しはしない。
そう決めていた。だから今は老夫婦の下、ただの孫として過ごつつ機を窺っている。
スーパーに来ているのも祖母に買い物を頼まれたが故だ。
マスターが一人で歩き回るのをよしとしなかった女アサシンも一緒に。
実は彼女、普通にマッケンジー宅に馴染んでいるのだ。
ウェイバーの部屋で集めた情報を共に整理しているところを見られたという、間抜けな理由で。
祖母も祖父もとてもいい笑顔で仲良くしなさいと言っただけで、その反応に少年は単純に胸を撫で下ろしたけれど。
女アサシンは気付いている。
恋人に間違われたことに。
だって、その日の夕飯にお赤飯が出たから。
聖杯からの知識にあった。あの赤い米はおめでたいときに食べるものだと。
幸いにもこの国の文化に疎いマスターはまったく気付いていないようだけど。
うん、黙っとこう。
「一応戦争中だって言うのに、なんか…平和だよな」
「そうですね。まだどの陣営にも本格的な動きはありませんから」
帰り道。嘆息交じりのウェイバーに、アサシンも頷く。
戦争と名が付く割には、確かに今は平穏だ。驚くほどに。裏では情報戦などあるのだろうが、それでも。
もうすぐ夕焼けの空になるだろう帰り道。
こんな平和で良いのかと思いつつ、アサシンは今が嫌いではなかった。
生前はただ只管に殺すために生きて、逝き。英霊となってからもやはり殺すために在り。悲願は一つ、本当の己を知ることなのに。
その悲願すら、ウェイバーの一言で揺らいでいる。彼にその気は無くとも。
「は? 本当の自分? そんなの、誰もわかんないと思うぞ?
自分がどんな人間なのか、本当の意味で知ってる奴はいないと思うぞ、僕は」
望みを告げて、あっけらかんと返された言葉。
解らないのが普通だろう、と。
ならば、自分も――自分たちも間違っていないのではないかとそう思ってしまう。これで正しいのだと、思えてしまう。
「どうしたー? 行くぞ」
「あ、はい!」
ぼうっとしていたアサシンは暢気なウェイバーの呼び声に、我に返る。
マスターと並び歩きながら、小さく唇を噛み締めた。
いつもは一時半にきれるように設定してるのに…。
もしかしてタイマー入れる。入れたの忘れもう一度タイマーのスイッチ押す→切ってこと?
夜中に目を覚まさなかったら、もしや一晩中つきっぱなし?
うわー。電気代が大変なことになりそう…。
はい、昨日の続きの聖戦ものですよん。
ちょっとホラー書きたい。
最近ホラー系読んでるんだ。
でも読むと背後が気になるんだ!
Fate/Zero。
サーヴァント入れ替え系。
ギャグなのかシリアスなのか。とりあえず、どっちつかず。
レインボーラヴァー 中編
誰もが見上げる巨体がある一点を捉え、ふむと目を細めた。
共に歩く二人の男女と半歩後ろにつき従う男。
恐らくマスターとそのサーヴァント。
征服王イスカンダルは声をかけようかと一瞬思案して止めた。
聖杯戦争はまだ始まったばかり、これからいくらでも機会はあるだろう。
「おっさーん、どうかしたの?」
「何でもないぞ、小僧。それより買い物は終わったか?」
「うん、ばっちり。それじゃ帰ろうかー」
スーパーのレジ袋を提げた青年雨生龍之介に、イスカンダルは笑いかける。
二人並べば身長差どころか体格差がとんでもない。
けれど間に流れる空気は親子や兄弟を思わせる親密なもの。
マスターとサーヴァントと言うよりも、気心の知れた友人同士に見える。
「今日こそおっさんに勝つからねー」
「ふははは、戦において余に勝とうなど、百年早いわ!」
豪快に笑う大男の姿に周囲はぎょっとするけれど、どちらもそんなこと構いはしない。
龍之介の借りた安アパートに、今二人で住んでいる。
己のアート以外に興味の薄い龍之介は、部屋にも最低限の物しか置いていなかった。現在は、何やら色々と溢れている。主にイスカンダルの私物が。
盗んできたわけではない。ちゃんと買ってきたのだ。己の稼いだ金で。
余計な検索をせず雇ってくれる場所というものは割合何処にでも存在する。
イスカンダルはそんなところを見つけるのが上手かった。
どんな内容かは知らないが、いつも結構な額を稼いで帰ってくる男を龍之介は少しばかり尊敬していた。
そのおかげで無駄ともいえるものが増える現状が出来上がるわけだが、特に気にすることでは無い。
現世に関心のあるイスカンダルの最近のお気に入りは、大戦略と呼ばれるゲームである。その名の通り戦略を駆使して、領地を奪い合う戦争モノ。
何事にも器用な龍之介は良い対戦相手であったが、いかんせん。本物の戦争を知っている彼に勝てたのは数えるほどしかなかった。
龍之介にとってもイスカンダルは退屈しない相手だった。
己の価値観を心の底から語ることの出来る相手と言うのは、生まれて初めてだったのだ。
『常識』で考えて誰にも、家族にもずっと隠していたソレを、しかしイスカンダルは受け入れた。
共感ではないが、一定の理解を示し。更に自分の意見を押し付けない程度に差し挟む。
己の性情や在り方について、こんなにも熱く議論したのは初めてのこと。
生まれて始めて出来た対等の友人。それがイスカンダルだった。
彼の戦車に乗って夜空を駆け抜けるのも楽しみの一つであり、アートは出来なくとも現状に満足している。
本格的に聖杯戦争が始まれば、イスカンダルの様な力を持った英霊たちの本気のバトルが見られると聞くし。
生まれながらの殺人鬼は、生まれて始めて殺人以外の何かで心を埋め始めていた。
「マスター、卵なら向こうのスーパーの方が安いですよ」
「そうか、なら帰りに寄るぞ」
「はい」
とあるスーパー。人参を片手にウェイバー・ベルベッドは頷いた。
隣に並ぶ女はサーヴァント、アサシン。
人間の姿に変じた彼女は油断無く周囲を警戒し、先ほど通り過ぎた若い男がマスターであったと気付いたけれど口を閉ざしておいた。
なぜならこのマスターは若い分激昂しやすい。
こんな人目の多いところで、大声を出されるのはアサシンとしては出来るだけ避けたい。
まぁ人目が多かろうが少なかろうが、至近距離で金切り声を出されるのは誰だって嫌だけど。
アサシンという英霊の中でも特殊なクラスを呼んでしまったウェイバーは現在情報収集に勤しんでいる。
正々堂々真っ向勝負など自殺行為でしかないということは理解している。ただ少年の矜持にそぐわないだけで。
本格的な戦いまでに全陣営の情報を集め出来るだけ分析することに努める。余計な手出しはしない。
そう決めていた。だから今は老夫婦の下、ただの孫として過ごつつ機を窺っている。
スーパーに来ているのも祖母に買い物を頼まれたが故だ。
マスターが一人で歩き回るのをよしとしなかった女アサシンも一緒に。
実は彼女、普通にマッケンジー宅に馴染んでいるのだ。
ウェイバーの部屋で集めた情報を共に整理しているところを見られたという、間抜けな理由で。
祖母も祖父もとてもいい笑顔で仲良くしなさいと言っただけで、その反応に少年は単純に胸を撫で下ろしたけれど。
女アサシンは気付いている。
恋人に間違われたことに。
だって、その日の夕飯にお赤飯が出たから。
聖杯からの知識にあった。あの赤い米はおめでたいときに食べるものだと。
幸いにもこの国の文化に疎いマスターはまったく気付いていないようだけど。
うん、黙っとこう。
「一応戦争中だって言うのに、なんか…平和だよな」
「そうですね。まだどの陣営にも本格的な動きはありませんから」
帰り道。嘆息交じりのウェイバーに、アサシンも頷く。
戦争と名が付く割には、確かに今は平穏だ。驚くほどに。裏では情報戦などあるのだろうが、それでも。
もうすぐ夕焼けの空になるだろう帰り道。
こんな平和で良いのかと思いつつ、アサシンは今が嫌いではなかった。
生前はただ只管に殺すために生きて、逝き。英霊となってからもやはり殺すために在り。悲願は一つ、本当の己を知ることなのに。
その悲願すら、ウェイバーの一言で揺らいでいる。彼にその気は無くとも。
「は? 本当の自分? そんなの、誰もわかんないと思うぞ?
自分がどんな人間なのか、本当の意味で知ってる奴はいないと思うぞ、僕は」
望みを告げて、あっけらかんと返された言葉。
解らないのが普通だろう、と。
ならば、自分も――自分たちも間違っていないのではないかとそう思ってしまう。これで正しいのだと、思えてしまう。
「どうしたー? 行くぞ」
「あ、はい!」
ぼうっとしていたアサシンは暢気なウェイバーの呼び声に、我に返る。
マスターと並び歩きながら、小さく唇を噛み締めた。
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