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本と音楽とねこと

自己決定権は幻想である

小松美彦,2004,自己決定権は幻想である,洋泉社.(9.12.2022)

 「脳死」は人の死にあらず。
 臓器移植のドナーは、臓器を摘出される際、苦痛と恐怖のために暴れるのだという。そのため、現在では、臓器摘出は全身麻酔を打って行われる。「脳死」も「植物状態」も、健常の人間による手前勝手な誤判断でしかない。
 臓器移植や「安楽死」を認めることは、「生きるに値する生命」と「値しない生命」を恣意的に判別し、後者を抹殺することにつながる。
 本書は、「語り下ろし」で編まれた作品であるので、話し言葉で叙述されている分、わかりやすい。
 この書物も、再版か、電子書籍化を望みたい。

「批判からしか見えないものがある。批判がないと見えなくなるものがある」。産む産まないは、女性に決める権利がある!命のリレーに参加するために、ドナーカードを持ちたい!「自分らしい死」につながる自殺・安楽死を認めるべきだ!自分の身体なのだから、「売春は自由」じゃないか!国家に逆らってイラクに行き、人質になったら、それもまた自己責任だ!自己決定権の名のもとに展開される、これらの錯綜を放置しておいてよいのか。日常用語のように広がり、誰にも反対できない、「自己決定権」は果たして正しいか?一見もっともらしい、言説の闇に深く錘を下ろし、見え透いた論理のカラクリを暴いて、「自己決定権」の負の側面を炙り出す。

目次
序章 自己決定権とは何だったのか
第1章 私はなぜ自己決定権を認めないのか
第2章 自己決定と自己決定権はどう違うのか
第3章 自己決定権と福祉国家の行方
第4章 死をめぐる感性、批判をめぐる感性
第5章 ノンと言い続けることの重要さについて
終章 自己決定権批判の課題はどこにあるのか

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