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本と音楽とねこと

三体0 球状閃電

劉慈欣(大森望、光吉さくら、ワン・チャイ訳),2022,三体0 球状閃電,早川書房.(6.12.24)

 Netflicsで映画版『三体』(シーズン1)が世界同時配信され、もっぱらそちらの話題でもちきりではあるが、超弩級の超長編小説『三体』三部作は、寝るのも惜しんで一気読みするおもしろさだった。

 本作のタイトルには「三体0」とあるが、『三体』三部作にも登場する天才物理学者、丁儀が配役されている以外、『三体』とのつながりはなく、独立した作品として楽しむべきだろう。

 舞台は、米国との軍事的緊張が高まり、遂には開戦にまで至る中国であるが、『三体』三部作のような空間的スケールはなくとも、劇的なイベントの連続、よく造り込まれた人物が織りなす人間模様、量子力学をはじめとする科学の蘊蓄と、とくに後半部分は、息もつかせぬほどの疾走感が味わえる。

激しい雷が鳴り響く、14歳の誕生日。その夜、ぼくは別人に生まれ変わった――両親と食卓を囲んでいた少年・陳(チェン)の前に、それは突然現れた。
壁を通り抜けてきた球状の雷(ボール・ライトニング)が、陳の父と母を一瞬で灰に変えてしまったのだ。
自分の人生を一変させたこの奇怪な自然現象に魅せられた陳は、憑かれたように球電の研究を始める。その過程で知り合った運命の人が林雲(リン・ユン)。
軍高官を父に持つ彼女は、新概念兵器開発センターで雷兵器の開発に邁進する技術者にして若き少佐だった。
やがて研究に行き詰まった二人は、世界的に有名な理論物理学者・丁儀(ディン・イー)に助力を求め、球電の真実を解き明かす……。

世界的ベストセラー『三体』連載開始の前年に出た前日譚。
三部作でお馴染みの天才物理学者・丁儀が颯爽と登場し、“球状閃電”の謎に挑む。丁儀がたどりついた、現代物理学を根底から揺るがす大発見とは? 《三体》シリーズ幻の"エピソード0(ゼロ)"、ついに刊行。


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