本と音楽とねこと

Humankind 希望の歴史

ルトガー・ブレグマン(野中香方子訳),2021,Humankind 希望の歴史──人類が善き未来をつくるための18章(上)・(下),文藝春秋.(11.2.2021)

 性悪説を裏付ける、もっともらしい学説の数々は虚妄であった。
 イースター島の文明は、森林伐採、環境破壊と島民間での紛争により崩壊したとするジャレド・ダイアモンド、「アイヒマン実験」で、「教師」役の人々が、答えを間違えた「生徒」役の人々へ、多大な苦痛をもたらす強い電気ショックを与え続けたことを明らかにしたスタンレー・ミルグラム、「スタンフォード監獄実験」で、「看守」役割に同化した人々が、「囚人」たちを手ひどく虐待するに至ったことを主張したフィリップ・ジンバルドー、彼らはまちがった推理をしたか、意図的に事実を捏造した。
 レベッカ・ソルニットが明らかにした「災害ユートピア」の存在が示すとおり、人間の本性は善である。それなのに、人間が、しばしば、悪事をなすのは、自らが所属する集団に過同調し、集団外の人々を「自らと同じ人間とはみなさない」ようになってしまうことに起因する。
 ブレグマンが提示する事例の数々は、いずれも性善説を裏付ける強力な論拠となっている。


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