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本と音楽とねこと

自治体をどう変えるか

佐々木信夫,2006,自治体をどう変えるか,筑摩書房.(9.7.2022)

 出版時期を反映してか、「自己決定・自己責任」の繰り返しが多いが、それはいいとして、いわゆる「三位一体の改革」──国庫補助金の削減・廃止、地方への税源移譲、地方交付税の削減や、「平成の大合併」(市町村合併)が推進され、国と自治体の財政健全化、ナショナル・ミニマムの保障、地方の自治レベルの向上が果たされたかというと、大いに疑問だろう。
 もっとも悲惨な思いをしたのは、「大阪維新の会」に牛耳られた大阪府民であるが、「公務員の人員と人件費の削減」という公約に賛同して同会を支持したのは当の大阪府民なのであるから、それこそ「自己決定・自己責任」であろう。
 「住民自治」の水準を引き上げるべしという佐々木さんの主張はそのとおりだと思うが、国政のミニチュア政治と名望家支配、そして幼稚なポピュリズムが横行する実態からして、ここ15年余の間、ほとんど進歩がみられないように感じる。

財政規律を失った国家の破綻、存在感が薄れる府県、平成の大合併など、わが国はいま明治維新、戦後改革に次ぐ、大改革が求められる「第三の波」に遭遇している。行政活動の三分の二を担う地方は、二〇世紀の集権下で行われてきた他者決定・他者責任の経営から早急に脱皮しなくてはならない。豊富なデータに基づく具体的な提言を行いながら、「官」と「民」の関係を問い直し、分権下の地方自治、新たな自治体経営の方向を示す。

目次
第1章 変化する行政環境
第2章 地方分権―国と地方の攻防
第3章 政策官庁としての自治体
第4章 自治体の政策活動
第5章 議会をどう変えるか
第6章 急がれる公務員改革
第7章 深刻化する財政危機
第8章 市町村の将来―合併後
第9章 府県の将来―道州制
終章 国のかたち―分権国家

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