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本と音楽とねこと

人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか

玄田有史編著,2017,人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか,慶應義塾大学出版会.(電子書籍版有)(9.4.2022)

 本書は、経済学の数理モデルと各種政府統計を駆使して、タイトルの疑問に挑んだ論考集だ。
 実証研究の難しさは、どんなに苦心惨憺して作業を行っても、仮説が陳腐なもでしかない場合、結論も陳腐なものとなってしまう点にある。
 本書の論考の多くもそのたぐいの研究だ。たぶんこうだろうと思っていることが実証レベルで確からしいとわかっても、得るものは小さい。
 経済学はこの程度のものでしかないのだろう。

働き手にとって最重要な関心事である所得アップが実現しないのは、なぜ?22名の気鋭が、現代日本の労働市場の構造を驚きと納得の視点から明らかに。

目次
人手不足なのに賃金が上がらない三つの理由
賃上げについての経営側の考えとその背景
規制を緩和しても賃金は上がらない―バス運転手の事例から
今も続いている就職氷河期の影響
給与の下方硬直性がもたらす上方硬直性
人材育成力の低下による「分厚い中間層」の崩壊
人手不足と賃金停滞の並存は経済理論で説明できる
サーチ=マッチング・モデルと行動経済学から考える賃金停滞
家計調査等から探る賃金低迷の理由―企業負担の増大
国際競争がサービス業の賃金を抑えたのか
賃金が上がらないのは複合的な要因による
マクロ経済からみる労働需給と賃金の関係
賃金表の変化から考える賃金が上がりにくい理由
非正規増加と賃金下方硬直の影響についての理論的考察
社会学から考える非正規雇用の低賃金とその変容
賃金は本当に上がっていないのか―擬似パネルによる検証

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