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本と音楽とねこと

道一つ越えたら崖っぷち

ポムナル(古橋綾訳),2022,道一つ越えたら崖っぷち──性売買という搾取と暴力から生きのびた性売買経験当事者の手記,アジュマ.(8.21.23)

 本書は、すさまじい性搾取の実態が克明に記録された作品である。
 本書が類をみない作品であるのは、これ以上の悲惨はないとさえ思える体験を、そのときの自らの心情ともども、事細かに再現している点にある。
 性虐待と性暴力、そして性搾取の背景にある家父長制の正体を見極めるのにも役に立つ貴重な記録だ。

性売買経験当事者が書いた本。ソウルオリンピックの1988年から20年間、性売買を経験してきた女性。同僚の女性たち、暴力と搾取まみれのひどい雇い主や斡旋人、借金のシステム、性売買の集結地「ガラス部屋」、買春男たちの姿態、すべてを振り返り綴っている。脱出後トラウマと闘いながら著者は同様な体験をしている女性たちのために闘うシスターフッドの活動を始める。ここで綴られている内容は読者には遠くて関係がないとは決して思えない。崖から突き落とした者は、女性を軽んじて安いものと見なしている。著者の勇気をぜひ早くご一読ください。

目次
第1部 長いトンネル
「なぜ性売買をすることになったのですか?」
十八歳で入った性売買の道
海を越えて慣れない島へ
ガラス部屋の路地
「うちらはどうせクソ客処理班だから」 ほか
第2部 私を再び探す時間
私の過去に住んでいるオーナー
金で女性の人格を買う者たち
顔のない女と顔のない男
私はだれ?
過ぎた日と別れるために ほか

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