劉慈欣の傑作短編SF小説集を収録した2冊。
奇想天外なストーリーのなかで、悲しみとはかなさを背負った人間の姿を見事に描き出しているところに、劉慈欣作品の魅力があるように思う。
一気読み必至の作品集だ。
劉慈欣(大森望・古市雅子訳),2022,流浪地球,KADOKAWA.(6.15.24)
四百年後、太陽が大爆発を起こし、地球は滅亡する―生き延びるには、太陽系を脱出するしかない。人類は、一万基以上の巨大な“地球エンジン”を設置、地球そのものを宇宙船として、はるか四・三光年の彼方へ旅立つことを決意する…。
劉慈欣(大森望・古市雅子訳),2022,老神介護,KADOKAWA.(6.15.24)
突然空に現れた宇宙船。次々地球に降り立った神は、みすぼらしい姿でこう言った。「わしらは神じゃ。この世界を創造した労に報いると思って、食べものを少し分けてくれんかのう」。神は老後を地球で暮らすことを望んでいた。