試験研究機関での発表は専門家である研究者の前で行いますので、農大・本校での卒論発表会とは違い、指摘、質問事項が専門的であるが故に学生諸君も必死で考え、回答する努力を端から見ていても感じました。
それでは、各論文の概要を紹介します。
I原君:「旧薪炭林におけるアカマツーコナラ二次林の林分構造について」
概要
中山間地域研究センターの試験林内で9プロット(20m×20m)を設定し、広葉樹二次林を植生調査を実施。
植生調査はDBH≧3.5cm以上については樹種、樹高、DBH、立木位置。下層植生については樹種、本数。DBH≧3.5cm以上の樹種・33種、2,392本、下層植生72種・2,148本を確認。
しかし、上木で優先していたアカマツ稚樹は1本も認められなかった。
これを基に乾湿度指数(京大演習林報告、島大演習林報告引用)により示すと225~260となり乾性土壌。Y=0.4009+132.08、R=0.7839と上層木と下層植生の間に相関関係を認めた。
また、樹種構成を明らかにし、出現本数の多いアカマツ、コナラについてIδ指数を用い分布様式を明らかにした。
コナラは集中分布、アカマツは出現率の比較的多い林分はランダム分布、比較的少ないプロットは集中分布となった。
コナラの分布はいずれのプロットでもIδ>1と概ね集中分布となった。
調査結果から、調査林分は3タイプに分類できた。便宜上A型、B型、C型とする。
A型はアカマツの分布がランダム分布を示したもの。胸高断面積割合では42.6~68.9%であった。コナラは5.7~24.9%、ソヨゴは19.4~28.5%である。
このタイプは上層木をアカマツが占め、次いでコナラ、ソヨゴと階層区分が比較的明確なアカマツ主体の林分。
B型は、アカマツの分布が集中分布。胸高断面積割合でみると、アカマツが38.3~50.3%、コナラが19.6~32.4%を占めている。
しかし、本数割合でみるとアカマツが7.6~12.1%とほとんど同じである。このタイプは、上層木がアカマツからコナラなど広葉樹へ推移していく途中の林分である
C型は、アカマツの分布でみると集中分布、ランダム分布と異なるがDBHの分布は6~8cm階が最も多く、10cm未満で82.6%を占めている。
胸高断面積割合はアカマツ・コナラ・ソヨゴが同程度であり、階層区分が不明瞭であり、競争段階の林分と位置づけ。
今回の調査から、旧薪炭林の不均質、多様な植生構造。遷移の進行状況が確認できた。
林冠を構成するアカマツの稚樹が確認できないことやマツノザイセンチュウ被害によるアカマツの衰退から、今後はコナラを中心とする落葉広葉樹へと移行するものと考えられる。
高木~小高木性の樹種では、ソヨゴ・ヤマボウシ・アセビなどが多くみられ樹冠下に置かれながらも若齢の高木樹種や他の個体、同一個体間での生存競争の段階にあり、当面この状態が続くと考えられる。
このような林分を階層構造の発達した多面的機能の高い森林に早期に誘導するには除間伐や萌芽株の本数調整、地表掻き越しによる天然更新など積極的な施業の実施が必要。
熱弁をふるうI原さん
それでは、各論文の概要を紹介します。
I原君:「旧薪炭林におけるアカマツーコナラ二次林の林分構造について」
概要
中山間地域研究センターの試験林内で9プロット(20m×20m)を設定し、広葉樹二次林を植生調査を実施。
植生調査はDBH≧3.5cm以上については樹種、樹高、DBH、立木位置。下層植生については樹種、本数。DBH≧3.5cm以上の樹種・33種、2,392本、下層植生72種・2,148本を確認。
しかし、上木で優先していたアカマツ稚樹は1本も認められなかった。
これを基に乾湿度指数(京大演習林報告、島大演習林報告引用)により示すと225~260となり乾性土壌。Y=0.4009+132.08、R=0.7839と上層木と下層植生の間に相関関係を認めた。
また、樹種構成を明らかにし、出現本数の多いアカマツ、コナラについてIδ指数を用い分布様式を明らかにした。
コナラは集中分布、アカマツは出現率の比較的多い林分はランダム分布、比較的少ないプロットは集中分布となった。
コナラの分布はいずれのプロットでもIδ>1と概ね集中分布となった。
調査結果から、調査林分は3タイプに分類できた。便宜上A型、B型、C型とする。
A型はアカマツの分布がランダム分布を示したもの。胸高断面積割合では42.6~68.9%であった。コナラは5.7~24.9%、ソヨゴは19.4~28.5%である。
このタイプは上層木をアカマツが占め、次いでコナラ、ソヨゴと階層区分が比較的明確なアカマツ主体の林分。
B型は、アカマツの分布が集中分布。胸高断面積割合でみると、アカマツが38.3~50.3%、コナラが19.6~32.4%を占めている。
しかし、本数割合でみるとアカマツが7.6~12.1%とほとんど同じである。このタイプは、上層木がアカマツからコナラなど広葉樹へ推移していく途中の林分である
C型は、アカマツの分布でみると集中分布、ランダム分布と異なるがDBHの分布は6~8cm階が最も多く、10cm未満で82.6%を占めている。
胸高断面積割合はアカマツ・コナラ・ソヨゴが同程度であり、階層区分が不明瞭であり、競争段階の林分と位置づけ。
今回の調査から、旧薪炭林の不均質、多様な植生構造。遷移の進行状況が確認できた。
林冠を構成するアカマツの稚樹が確認できないことやマツノザイセンチュウ被害によるアカマツの衰退から、今後はコナラを中心とする落葉広葉樹へと移行するものと考えられる。
高木~小高木性の樹種では、ソヨゴ・ヤマボウシ・アセビなどが多くみられ樹冠下に置かれながらも若齢の高木樹種や他の個体、同一個体間での生存競争の段階にあり、当面この状態が続くと考えられる。
このような林分を階層構造の発達した多面的機能の高い森林に早期に誘導するには除間伐や萌芽株の本数調整、地表掻き越しによる天然更新など積極的な施業の実施が必要。
熱弁をふるうI原さん