沢木耕太郎の人気小説を映画化。主演は、空手に精通していて世界大会も経験している
横浜流星とますます渋さが重厚になってきた佐藤浩市。俳優としても出演している松浦
慎一郎がボクシング指導と監修をしている。
40年ぶりに帰国した元ボクサーの広岡仁一(佐藤浩市)。路上で広岡の行動を見てい
た黒木翔吾は広岡と拳を交えるが、人生初のダウンを奪われる。
見たことがないパンチに呆然とした翔吾は、ボクシングを教えてほしいと頼み込む。
最初は、断っていた広岡だが、かつてもボクシング仲間である次郎と佐瀬に背中を押さ
れて引き受ける。
翔吾に厳しいトレーニングを課す広岡。やがて、世界チャンピオン・中西(窪田正孝)
との世界戦が決まる。
ラスト20分の世界戦での殴り合い、パンチの応酬が迫力。横浜流星は空手のパンチをボ
クシングのパンチに変え、窪田正孝はボクシングのトレーニングに励んで体を作ってき
た。ヘラヘラしてつかみどころのないチャンピオンを演じる窪田正孝の演技がいい意味
で不気味で気持ち悪い。凄く上手いと思う。
ボクシングのシーンは鑑賞する者の気持ちを煽る歌や曲は流れてこない。殴り合う音の
み。無駄な演出はしていない。
人間の闘争本能の不思議も感じる。
なぜ、広岡が40年ぶりに帰国したのかは、タイトルから何気なく受けとれるものがあろう。
出演者は他に、橋本環奈、坂東龍太、奥野瑛太、坂井真紀、小澤征悦、片岡鶴太郎←この
人選は本物、哀川翔、山口智子。
監督は『ラーゲリより愛をこめて』『護られなかった者たちへ』の瀬々敬久。監督は、
星航とともに脚本も担当している。
お互いただでは済まないとわかっている試合。だが、向かわずにはいられない。相手が強
いからこそ楽しい。言葉ではなく、拳でわかりあう。
そんな気持ちが伝わってきて、羨ましくもあった。