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「ディアハンター]
70年代も後半になればベトナム戦争を題材にした作品が目白押しなのだが、
その衝撃度はこの映画が一番だったように思う。
この後「地獄の黙示録」以外は戦争の上っ面だけを描いたものが多く、日本人
の我々にはベトナム戦争の真実が掴めにくいまま風化していったのではないだ
ろうか。
「タクシードライバー」同様に、デニーロはまた戦争帰りの苦悩の日々が待っ
ていた。
「奇跡」
確かに科学は進歩し、人類は多くの不可能を可能にしてきた。そしてその分、
宗教はどこか片隅に追いやられ、人々の拠り所としての場所を失ってきた。
この映画における祈りと奇跡は、命の復元という決して人智の及ばぬ神の
物語である。このデンマークの映画はその畏れを見事に映像化した神々しい
作品である。
「イノセント」
作家というのは静かに淡々とした遺作を残す人と、激しく情熱的な遺作を残して
世を去る人がある。
明らかに後者なのがヴィスコンティ監督だ。
僕らはこの映画に出てくるようなイタリア貴族でもブルジョアでもない、それでも
どこか身にに覚えのある心情が描かれ、どうしょうもない人間の業の普遍性を見せ
られる。そのラストシーンの何とも言えぬ味わい。
「木靴の樹」
映画の一つの完成された姿がここにある。
ドキュメンタリー風に綴られる、この素朴な農村の日々の物語。
小賢しい演出はない、大きすぎる演技もない、それでも長尺な映画は飽きる事は
ない。凄い力を持った美しい映画。
人生の最後の日が来るまでには絶対観て欲しい映画です。
「エイリアン」
初めてこの映画を観た時の恐怖感はタダものじゃなかった。
SF映画と思って座席に着いたのに、これじゃホラー映画だと思った。
もはや古典となったが、今観てもその凄さはひとつも衰えてはいない。
「暗殺のオペラ」
先日、ベルトルッチが久しぶりにメガフォンをとるというニュースがあった。
僕の青春時代に輝いていた巨匠たちが、次々に去って往く中、嬉しい知らせだった。
この映画もまた、ミステリアスで美しい映像の流れが堪らないものだった。
ビットリオ・ストラーロのカメラは、この頃絶頂時にあったのだろう。
その後はコッポラやカルロス・サウラといった名匠たちとの画つくりに頑張って
いたけど、やはり僕はベルトルッチの作品のカメラワークが秀逸のように思う。
「旅芸人の記録」
この映画は僕の青春です。
ギリシャの事なんか何の知識もなかった僕が、この旅芸人一座と共に時間旅行に
でかけ、映画が終わり、難波の映画館にいる自分に気づき戻った時、感動の波が
心を激しく激しく揺り動かした。
テオ・アンゲロプロスは間違いなく現役の世界最高の映画監督だと思う。