墓

郷里の両親が墓を買う契約をするという。
両親が住んでいる都市の霊園としては有名なところに墓を作るそうだ。
きれいな大理石で作られるから草は生えてこないんだよ、お前も見たら感動するよとうれしそうに電話で話していた
墓を買ったのは自分たちのためでなく、一族のしがらみに息子たちを巻き込みたくないという考えもあったようだ。
両親の息子に対する深い愛情を感じることができて、そんな両親をもてたことに感謝したい。

天上の虹文庫本6巻で讃良が最愛の息子、草壁皇子を墓所に葬る場面がある。

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草壁皇子の生前、讃良は最愛の息子に母としてあげられたことはほとんどなかった。
逆に意に沿わない皇太子にしたことで、息子はその地位に振り回され苦悩してしまう。
だが、そんな讃良の愛は息子には届かず、皮肉にも息子を苦しめただけだった。
生前してやれることは何もなかったから、せめて墓だけでも立派なものを作ろう。
里中さんは讃良は讃良なりに息子を愛していたと考えているのだろう。
草壁皇子の墓所は当時の最新技術・石材が使われたと描写することで、讃良の息子を失ったことに対する悲しみ、生きているときに何もしてやれなかった後悔を表現したかったに違いない。