今の仕事は刑務所から出てきた人に無料で宿泊や食事を提供し自立を助けると言う業務です。
ん定員20名位の小さな施設ですが、いろいろな人が入ってきては独立して行き、毎日のように様々な出会いがあります。
そんな中であった出来事、変わった人たち、少しずつ紹介してみようと思います。
「トコジラミ事件」
まずはようやく最近片付いたばかりのこの事件。トコジラミと言うのは別名南京虫だそうです。
3年ほど前にも南京虫が湧いて、施設全体の消毒、500,000円以上かかったと言うことを聞いています。
その時の原因は、ホームレスの人。それからはホームレスでそのままウチで預かる時は、入ってくるとすぐに必ず風呂に入れるようになっています。
ところが今回は全く違った方面から。
ウチにはベッドが入った個室と、2~3人入れる畳敷きの和室があります。。
ある日和室で2人で生活するうちの1人が、ダニに刺されたと言ってきました。
それが服の上から見る限りでも体中何カ所もで、それはひどい状態でした。
だと言うのに、同じ部屋で生活するもう1人はほとんど無傷。一体これはどうしたことだろうと首をひねりつつ、とにかく早急に手をうたなければいけないと、3年前に消毒でお世話になった業者に連絡、対応策を相談しました。
そうしているうちに、意外な事実がと言うより実は薄々わかっていたことですが、原因はそのなぜか無傷か,それても刺されても感じないのかというこの男にほぼ間違いないだろうと言う結論に達したのです。
「カブトムシおとこ」
その人,50歳は過ぎているのにフィギア大好き人間。見ていると心が落ち着くと,和室の座机の上はガンダムをはじめとしたフィギアで一杯。
もともと刑務所に入ったのもフィギアがからんでいるようで,「フィギアを買う前に独立資金貯めないと」といくら言ってもだめ。
フィギアだけだったら良かったのですがその人,心が落ち着くものがもう一つあったのです。
プライバシーを尊重する,というわけでもないのですが,点検のために不在の部屋を開けるという機会はあまり多くありません。
たまたまのそんなときに,机の上のフィギアの山の隙間に透明の容器に入った生きたカブトムシが見つかったのです。
このときは,こんな大事になるとは思わなかったので,集団生活だし生物を飼うのは困るからと処分をしてもらったはずなのです。
それから1か月ほどして,今度はちゃんとめったにしない居室の点検。押し入れの奥にちょうどクーラーボックくらいの大きさの透明の容器が隠してあるのが見つかりました。
夜,本人に確認。土が入っているだけで生物は入っていない。と言い張っておりましたので,土だけならと外の倉庫に預かることにしました。
そして今回,あとから入ってきて同室になった人が,ダニがいるみたいだと体中に虫刺され状態。ダニにしては刺され方がひどいし,同室のカブトムシ男は全然平気みたいだし。と不思議に思いつつも三年前の南京虫騒動のときお世話になった業者にすぐ連絡した次第です。
で,同室の虫刺され被害者の方に話を聞くと,「あの人なんとかしてくださいよ!」と言います。
カブトムシの餌にするゼリーのようなものがあるらしいのですが,それを机の上に出しっぱなしにして,窓を開けて,要するにカナブンだとかの虫を餌付けしているみたいなのです。
翌日の消毒会社の調査で,「トコジラミ」がその部屋を中心に大量に発生していることが判明。カブトムシとの因果関係,と言われればそれを証明することはできないので,そのときはまだ出て行ってもらうことまでは考えていませんでした。
被害総額はきっと60万円以上。その部屋を中心に周囲6室の徹底消毒。和室の畳全取替。さらに別の日に全部の部屋の消毒と確認。などなどでした。
そのカブトムシ男ですけど,消毒の終わった個室に被害者の方を移動させたとき,いまだに押し入れにカブトムシを隠して飼っているという事実が判明。
これはいくらなんでもこれ以上ウチには置いておけないと,翌日には出ていただくことになりました。