いっさいのものは視界から消えて、ただ「円」が目の前にあります。
「円」は吉原治良の到達した様式です。
吉原治良という生命が、「円」という形とせめぎあい、調和していくその結果として出来上がった作品と言えるのではないでしょうか。
吉原治良の「円」は一気に描いた円ではなく、小さな筆でキワをせめぎあった痕跡があります。浜辺の渚のように、白と黒がせめぎ合っているような緊張感に吉原治良の美意識を感じます。
有機的な「円」は、物質性を取り除き、形そのものの世界に自らの精神を展開しようとした吉原治良の代表的なシリーズです。
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