goo

祈りの御歌 出版記念

 「いのち得て かの如月(きさらぎ)の 夕(ゆふべ)しも この世に生(あ)れしみどりごの 二十年(はたとせ)を経て 今ここに 初(うひ)に冠(かうぶ)る…」

 美智子妃殿下(現皇后陛下)が、浩宮さま(現皇太子殿下)の「加冠(かかん)の儀(成年式)」を詠まれた長歌。女優の村松英子さんが原詩(日本語)で、著者の竹本忠雄さんがフランス語で朗詠する声が輪唱のように響く。言霊(ことだま)の力とはこのことであろう。会場はじんわりと温かい「母の愛」に包まれた。

 『皇后宮(きさいのみや)美智子さま 祈りの御歌(みうた)』は、竹本さんが2年前、美智子さまの御歌53首をフランス語訳して出版した「セオト-せせらぎの歌」の“原文版”であり、解説や反響を加えたもの。そこには御歌がいかに、フランス人の魂を揺さぶり、感動の波が遠くフランス語圏のアフリカ諸国にまで広がっていったことがつづられている。

 平林博・前駐仏大使は、「フランス語にご造詣が深い美智子さまの感情のもたれ方といったものが、フランス語圏の人の心に響いたのでしょう」。村松さんも、「フランスはカトリックの国だから、マリア様。“母性”がよく分かるのです」とした上で、村松さんが夫を亡くしたとき、まだ幼かった子供たちの前で美智子さまが跪(ひざまず)いて慰めてくださったエピソードを披露。会場には渡邉允(まこと)前侍従長や中川昭一衆院議員も駆けつけた。

 竹本さんは西洋の反日的で偏向した言論に対して、毅然(きぜん)とした反論を重ねてきた人である。「それに対抗するためにも、御歌のフランス語訳が果たした役割は大きかったのでは?」と水を向けると、言下に否定された。

 「“対抗”などというレベルは超えています。大事なことは“結びの心”であり、御歌はすべてそこに集中している。革命を経験した西洋文明は断絶と、それに伴う怨恨(えんこん)がある。でも、日本の皇室は怨みではなく言祝(ことほ)ぎの文化なのですよ」(産経

コメント ( 0 )