Little Tree

日々のいとなみのなかで感じた子どものこと、季節の移ろいやこころに映る風景

「生きがいを求めて」神谷美恵子さんのことば

2006-03-20 09:38:45 | Weblog
今朝は久しぶりに空気が冷たく感じられます。

気づいたら、子どもが上履きを置き忘れていて、あわてて学校まで届けました。

学校から家まで降りる階段から見える富士山は、まだ真っ白で
すそに少し影がかかっているだけで、そのまた手前の山並みも
青く、くっきりと広がって見えました。

あれこれするうちに、日差しは明るく強さを増してきましたね・・・

家のことをしなくては、と思いながら
気にかかっていたことを調べようと本棚を見てしまったら
別の本に目がとまって、読み始めてしまいました。

偶然、いつも良く立ち寄る古本屋さんで買った
神谷美恵子著作集「こころの旅」と
ちくま哲学の森シリーズの「いのちの書」で
タイトルの「生きがいを求めて」という神谷さんの講演が掲載されています。


神谷美恵子さんのことは、佐々木正美先生のお話の中で知りました。

本も手元にあってずっと気にかかりながら、
でもその気高く崇高なイメージのある生き方に気後れして
ゆっくり読むことなしにいましたが

「生きがいを求めて」のお話は、読み出すとなぜか心が震えて
また涙があふれて、でも声に出して読み進まずには、いられませんでした。

それは、私の声でありながら
もしかしたら、神谷さんの言葉そのままが
私の耳にフィードバックしているような感覚でしょうか?


精神科医として、またハンセン病患者とのかかわりを通して
また、自らも激しく生きる中で、「生きることの意味」を
深く問い続けていらっしゃいました。


その人の、やはり激しさと強さと一途さとひたむきさと
自分を鋭く見つめる視線、そしていつからか
人々へ向ける視線にあたたかさとやさしさがあふれてきて
おそらく、心の中にも、外の世界にも光を見出されたご様子が
私には感じ取れました。


そうですね・・・

私も、私なりのささやかな生活の中で

神谷さんが出会われた、何ものかに触れて
そのことを感じることのできる何かが開かれたのかもしれない・・・

と不確かながら、思い至りました。



いま、やっと、神谷さんのご本を読むことのできるところまで
たどり着いたのかもしれません。


これもおそらく、佐々木先生が神谷さんの言葉に出会い
こころに響くことがおありでいらして

そのお話を伺った私にも、そのメッセージが届いたのでしょう・・・


何か、不思議なものの力を感じながらも
言葉で表現することも、すぐに信じることも、違うともいえない・・・

そんな気持ちをそのままに、ここではお話させてください。


いま、これほど心もとない気持ちをいだきながらも
こうやって、普通に生きていけるのは
きっと家族、子どもや夫が私にとっての錨となって
あてどなく漂流しまいそうな危うさから、守ってくれているのかもしれない・・・

そんな風に、思えました。




もし機会がありましたら、神谷美恵子さんのご本を読んでみてくださいませ。


心が揺さぶられて、時には自分の足元がぐらぐらしてしまうかもしれませんが

そのあとに、きっともっと確固とした自信を見出だして
自分の足で、大地を踏みしめるようにして
歩き出せるようになると想います。



少し重たいことを書いてしまいましたが

ここを乗り越えていくことが
きっと次へのステップになると想えてならないので・・・



それにしても、外の世界のなんと光にあふれていることでしょう・・・


生きていることを、ただそのままに感じたいとつくづく想います。



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7 コメント

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重力と恩寵 (Suzuka)
2006-03-20 20:48:18
TBありがとうございました。



神谷さんのご本は読んだことはないのですが、

実に久しぶりに学生の頃読んでいた本を思い出しました。



そのひとつは、ボーヴォワールの「他人の血」であり

マルローの「王道」であり

また

シモーヌ・ヴェイユの「重力と恩寵」でした。



他者の存在を受け入れる。

あるがままに。



徒労であること

それ自体を 受け入れること。



拠って立つ  

定礎 

そのようなものになったでしょうか。



ふだんは目に見えぬところに

埋まって

あることすら忘れているのですが。



真空の中に根を持つこと。



この、激しい意思を持った女性がいたことを

お伝えしたいと思います。







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Unknown (ぴーまん)
2006-03-20 23:09:07
約二年前に、京都からここ熊本に再婚で越してくる時に、母からプレゼントされた本が、太田愛人の「神谷美恵子 若きこころの旅」でした。



>本も手元にあってずっと気にかかりながら、

でもその気高く崇高なイメージのある生き方に気後れして、ゆっくり読むことなしにいましたが



私も、途中まで読んで、読めなくなりそのままです^^;



>神谷さんのご本を読むことのできるところまで、たどり着いたのかもしれません。



どうやら、私はまだのようです^^;

これで、気になる=読まねばならない本が4冊目です。気張ります^^!
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本との出会い (風待人)
2006-03-21 16:49:57
Suzuka さま



激しい意思を持った女性に、きっと思いを寄せて

しっかりとご自分の足で立つ生き方をしていらっしゃったことが

想像できます・・・



どの本も読んだことがありませんので

きっと、これが出会う前ぶれかもしれませんね。



いま、気になっている女性でスーザン・ソンタグという方がいて

今、アマゾンに「ラディカルな意思のスタイル」を注文しています。



これもすぐに読めるかどうかはわかりませんが・・・





ぴーまん さま



本をプレゼントしてくださるなんて、きっと素敵なお母様でしょうね・・・



太田愛人さんのことは存じ上げませんでしたが

機会があったら、お話を伺ってみたいと思います。



それから、宮沢 賢治もその生き方や思想に、とても惹かれるものがあります。



また、盛岡のお話もお聞きしてみたいです。



本屋さんに行った時も、本が呼んでいるように感じて

思わず手にとってしまうことがありませんか?



きっと、自分に必要だったり、何か探していることが載っていたり



本にも人にも、そんな出会いがあるような気がします・・・



あわてず、ご自分のペースでゆっくり読めればいいと思いますよ。



方城渉 さま



TBありがとうございます。



賢治のお話も書いてみたいのですが

書きたいことがいろいろあって、なかなかたどり着けません・・・



けれど、気持ちは、風のように気負わずそのままに・・・

ありたいと想っています・・・
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ぴーまんさんのご縁 (方城渉)
2006-03-21 19:19:34
よい出会いをいただきました。



わたしたちはお互い風ですから



自然に吹いてましょう。
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ありがとうございました (ぴーまん)
2006-03-21 22:38:17
ブログというものに出会って、

まだ2ヶ月足らずです。

そんな中で、このような出会いを許されたこと、

心より感謝いたします。

風待人様が、

大学での学びへ思いが起こされたように、

私(ども)もコツコツと学んで、

表現して生きていきたいと思います。

これからも、よろしくおねがいいたします。

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心の旅 (スカーレット)
2006-03-22 08:53:00
このご本は私の愛読書のひとつです。

たしか紀子様の愛読書でもあったと思います。

そして皇后様がその昔流産でひどくお苦しみになられたときのご相談相手がこの神谷さんであったとか。

私自身もつらいときこのご本を何度も読みました。

神谷さんは素晴らしい方ですね。

死しても、なおこうして私どもに人生の指標を示してくださる、、、、。

人は死しても全てが無になっていくのだはないのですね

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そうでしたか・・・ (風待人)
2006-03-22 14:00:46
ぴーまん さま  スカーレット さま



私も、ブログを見るようになってまだ一年ほどですが



お目にかかったこともない方と

こんな風にお話できることに驚いて、またこの不思議な出会いを

感謝することばかりです。



いろいろ不安なことを、心配する方もいらっしゃいますが



自分の信ずるところや、大切にしていることに忠実に

もの・ことを見ていくと

いろいろなことが起こっても、畏れることはないのかもしれませんね・・・



「良質のコンセプトは、人を動かす」・・・だったかと思いますが

茂木先生の、クオリア日記の言葉にもありました。



自らを省みつつ、より良きことを想って生きたいですね・・・

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