・プラスチックPlastic ぷらすちっく
プラスチック製品の低コスト、軽量、着色のしやすさ、内容物に合わせた形状が容易、品質の安定性で市場にあふれています。
食品衛生上も大きな問題がないとして手軽な食品の保存容器にも用いられます。
プラスチックのほとんどは石油から作られます。
Plasticの意味は、ギリシャ語に語源をもつ英語で可塑性を持つものという意味があり、どんな形にも成形できるものということです。一般に 「人工的に合成された高分子物質で可塑性のあるもの」と定義し特に合成樹脂に対して用いています。
天然樹脂は樹木から採取できるものですが、合成樹脂は、人工的に作られているものです。
プラスチックスは加熱すると可塑性を帯び流動する性質を利用して成形する熱可塑性樹脂と、逆に加熱すると硬化する熱硬化性樹脂の2種類が有ります。
セルロイドは熱可塑性樹脂、フェノール樹脂は熱硬化性樹脂と言うことになります。
1)熱可塑性樹脂には
◇PS:Polystyrene(ポリスチレン・スチロール樹脂),発泡PS:耐熱温度は70~90℃前後でカップ麺容器、卵の容器、トレイ、弁当箱のふた、成型容器等に用いられますが耐衝撃性に劣ります。
◇発泡スチロールPSP:Polystyrene paper(ポリスチレンペーパー)は、ポリスチレンを発泡させて作られプラスチックの泡(容積の95%が空気)で出来ているので、外観は白色です。
耐熱PSP(90度)の容器は、電子レンジの温め使用が可能としていますが普通のPSPでは電子レンジでの使用はできないとしています。
ポリスチレン製では、柑きつ類の皮に含むリモネン(テルペン油)や揚げたての油によって変質することがあることが知られています。
◇PVC:Polyvinyl chloride(ポリ塩化ビニール,軟質,硬質): 引火温度が391℃、着火温度が455℃で難燃性、耐久性、耐油性、耐薬品性難燃性、耐久性、耐油性、耐薬品性があり業務用ラップフイルム、シート、成型容器、トレイ、その他、家庭用品に多数使用しています。
高い濃度のダイオキシンは、塩ビとその他の塩素系材料の燃焼に由来すると考えられています。
◇PE:Polyethylene(ポリエチレン):ポリエチレン袋、ごみ袋、ポリ容器、まな板、その他ラミネート加工Lamination用(薄い材料を1枚以上貼り合わせる)等、腰が強いスーパーの袋、灯油入れとしても使われます。柔軟性、耐衝撃性に優れています。
耐熱温度は材質により-30~130℃程度ですが一般には-30℃~70℃が主流のようです。
◇PP(ポリプロピレンPolypropylene):耐熱温度は110~130℃前後で油に強く耐熱成型容器等に使用し耐熱性、防湿性、耐薬品性に優れています。揚げたての油で調理したものでは変質します。
◇PET(ポリエステルPolyester・ポリエチレンテレフタレートPolyethylene terephthalate): ペットボトルに使われています。油に強く、強度、耐熱、耐寒性に優れます。工業的にも絶縁材等に多数使用されています。
◇PVDC(ポリ塩化ビニリデンPolyvinylidene chloride):一般に塩化ビニル、アクリル酸エステル、アクロニトリルなどと共重合体(きょうじゅうごうたい)として使用し、これらのうち塩化ビニリデンを50%以上含むものをポリ塩化ビニリデンと呼んでいます。
水蒸気および酸素の透過性が極めて小さく家庭用ラップフイルム、ソーセージ等の包装フィルムなどに使用しています。バリヤーBarrier(障害・障壁)性に優れます。
◇PVA(Polyvinyl alcohol),EVOH(Ethylene-vinylalcohol copolymer・エチレン-ビニルアルコール共重合体 ):ビニロン系でプラスチックフイルム中最高のガスバリヤー性を持ち、ガス充填包装などに使用します。
◇PA(Polyamide・ポリアミド・ナイロン):、強靭で柔軟、耐摩耗性であり成形性のよい樹脂材料として包装フイルム、ロープ、繊維に使われています。耐ピンホールPinhole(針先で突いたような小さな穴)性に特徴があります。
◇PMMA(Poly methyl methacrylateポリメチルメタクリレート・メタクリル樹脂・アクリル樹脂) : アクリルガラスとも呼ばれ透明性・耐衝撃性、熱可塑形成・着色が容易で、窓材、照明器具のカバー、日用品、工芸品などに利用します。
2)熱硬化性樹脂: PF(フェノール樹脂Phenol Formaldehyde・ベークライト), UF(ユリア樹脂(Urea Formaldehyde Resin・尿素樹脂), MF(メラミン樹脂Melamine Formaldehyde resin)があります。
最近のほとんどの包装用プラスチックはよく燃え、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PETなどは有害物質も悪臭も出していないようです。
最終的には二酸化炭素(炭酸ガス)と水になります。しかし、燃やすとPS(ポリスチレン・スチロール樹脂)は黒いススを大量に発生します。PVC(ポリ塩化ビニール)とPVDC(ポリ塩化ビニリデン)は刺激のある塩化水素ガスを出し、黒煙を出して燃えますが、自燃性がなく、炎から取り出すと自己消火します。
プラスチックの燃焼による環境への影響として、高熱のため焼却炉を傷める、塩素を含む製品のPVCとPVDCは塩化水素ガスを発生するので炉を傷めたり酸性雨の原因になる、二酸化炭素を発生することから温暖化を促進するなどを指摘しています。
近年に特に問題視している5㎜以下のものをマイクロプラスチックと言い、プラスチックごみによる海洋汚染は世界中で広がっています。餌と共に魚などの体内に蓄積し、食物連鎖で私たち人間の体の中にも蓄積し、その影響を懸念しています。
環境破壊物質として知られるダイオキシンDioxinsは、塩素が含まれている塩化ビニールなどの塩化化合物のあるものを燃焼すると簡単に発生する事が分かっています。 一般にひとたび発生すると自然界では分解されにくく、生態系に悪影響を及ぼす恐れもあります。
プラスチックは光や熱で劣化しますが、埋め立てた場合、熱もかからず、光にもさらされないので急速に劣化することは、ありません。
近年の製品開発により分解性プラスチックで、光で分解する光分解性と、微生物などの作用によって分解する生分解性があります。
現在は生分解性プラスチックが未来のプラスチックとして有望視して、すでにいくつか実用化しているようです。価格的に高価である割りに、性能的に劣る、中間生成物の安全性が不明等、本格使用には多くの課題があります。
プラスチック食品包装製品の中にはどれも同じように見えるものもありますが、製品によっては、ラップ類は、業務用と家庭用、発泡スチロールでも耐熱性と、そうでないものとあるようです。これらの製品の再利用は、その包装、容器の特質をよく知った上で行わないと思わぬ事故を招くことにもなりかねません。
経済を考えると、より確かな情報を取得しておくことの大切さを改めて感じざるを得ません。
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