gooブログはじめました!

健康的食生活のための情報を発信です。
1980年以前の中学に家庭科、未必修の男性諸氏に医療従事者を含め必要かも。

[鉄 ] 食生活について語ろう

2019年11月12日 | 美容ダイエット
◎鉄 Iron Fe(Ferrum)  てつ
 ランナーは長時間ランによって発汗量が多くなり、汗からの鉄の流出量が増加、鉄の尿中排泄量が増加により、鉄の損失量が多くなり、貧血になることがあります。
 
  人体における必須栄養素でミネラル(無機質)のひとつとして重要な役割を果たします。人体におけるミネラルの分布は、酸素、炭素、水素で93%を占め他に窒素、カルシウム、リン、カリウム、硫黄、ナトリウム、塩素、マグネシウム、鉄、マンガン、銅などと続きます。一般には、カルシウム以下の物質を無機質(ミネラル)と呼んでいます。鉄は人体で0.004%(50kgで2g)程度存在し、鉄以下の元素は微量で微量元素(trace element)と呼ばれます。

  Fe(Ferrum)は、ラテン語でFirmus(強い)、英語でIronは、ラテン語の鉱石(Aes)に由来します。自然界では、天然で純粋の鉄が産出されることは稀で不純物を含んで存在します。砂鉄は、磁鉄鉱を含む岩石が風化作用を受けて生じています。鉱石は、赤鉄鉱、磁鉄鉱、かっ鉄鉱などで、これらに石灰石を加え、高炉の溶鉱炉で還元し銑鉄(不純物を含む鉄)とし、これからさらに鉄や鋼(はがね:硬い鉄)を製造しています。

 鉄は、国民健康・栄養調査で不足気味の栄養素にあげられ、体内に2~5g(血液55% 筋肉10% 肝臓・骨髄・脾臓35%)含み酸素・二酸化炭素の運搬するヘモグロビンの生成、血液運搬の役割りをしています。腸より吸収されヘモグロビン(血色素)、酸化・還元酵素(チトクロームオキシターゼ、カタラーゼ、パーオキシターゼ、など)の成分として存在しています。体内における鉄の存在と、食物からの鉄の摂取状況による有用性、また薬剤、最近聞かれるようになったカプセル・錠剤にした健康食品からの過剰摂取による弊害などについて語ります。

体内に2~5g(血色素中に70%・タンパク質と結合しフェリチンFerritin となった貯蔵鉄[肝臓、脾臓、骨髄]25%・筋肉組織3~5%・血清中0.1%・他に呼吸酵素)含むことより、全体で5gとするとその0.14%(4.2~7mg)が毎日入れ替わっています。

鉄の吸収は、他のミネラルの吸収の仕方と異なり、鉄分の不足があると吸収率がよくなります。また二価の鉄(Fe2+)は、吸収されますが、食品中の鉄は三価の鉄(Fe3+)が多く三価鉄では、そのままで吸収されずに、たんぱく質ビタミンCなどで還元され二価の鉄となって吸収されます。小腸上部の粘膜より鉄の運搬役となるアポフェリチン(たんぱく質)と結合し吸収されフェリチンとなり小腸粘膜に貯えられ全身を循環します。
 フェリチンFerritin は、アポフェリチン(鉄を含有する前段階の物質)の中に鉄が組み込まれた、たん白質で肝、脾、骨髄などのマクロファージとして生体の免疫体系で防衛機能を持ちその中心的な役割を果たす免疫細胞の中に存在、鉄の供給源となります。
フェリチンFerritin からの鉄は主に造血に用いられ特にヘモグロビンの合成に関与しています。血液中にも微量存在しますが、体内の貯蔵鉄の量に反映されます。体内の貯蔵鉄の不足する鉄欠乏性貧血の診断、悪性腫瘍や白血病では細胞からフェリチンが放出され血液中で増加し、肝機能障害、血球貧食症候群などの臨床検査データに利用されます。参考基準値:女性20~70ng/mL・男性40~100ng/mLとして示しています。

 食品中に含むミネラル(無機質)は、胃液の塩酸により、イオン(電気を帯びた原子)となって消化管、壁を通し血流に吸収されていきます。これらは消化液など便とともに排泄されるものもあります。血流によって消化管から吸収されたミネラルは体内を巡り最終的には腎臓で、ろ過され排泄と再吸収がおこなわれています。

吸収率、代謝速度は、その食品の種類により異なり成人の必要量は、体内にあるミネラルの量でなく代謝量によって定められます。必要量の決定には、欠乏症を起こさせ、その回復に必要な量を求めるなど種々の方法が取られます。さらにその必要量に安全率がプラスされ推奨量、目安量が定められているのです。しかし食べ合わせ、運動条件などで異なることから詳細な条件をできるだけ満たした上で決定されます。
 
  鉄は、主に赤血球のヘモグロビンの形成に利用されますが、赤血球の寿命はおよそ125日(70~150日)、毎日およそ1%の20~25mgが崩壊、破壊、再生され、また肝臓、骨髄、脾臓の貯蔵鉄が血色素形成などに用いられています。 欠乏食にすると吸収率が約2倍になることが知られます。他に細胞の崩壊、脱落、胆汁、汗などにより0.5~1mg、従って供給量は、0.5~1mgでよいことになります。女性では1回の月経で約30~60mlの出血があり、これに含まれる鉄は約20~50mg、1日あたりの損失量にならして0.6~1.5mg/日であり、月経外損失(0.7mg/日)とあわせると、女性が1日に失う鉄の量は1.4mg/日程度です鉄と蛋白質からなる複合蛋白質の赤いミオグロビンが多く赤筋と呼ばれ長距離走に適した筋力を作ります。

体内の要求に応じて吸収されるその量は、1mg/1日程度で食品中の多くは、尿中に5~10%排泄され 糞尿、汗、皮膚、爪、胆汁中より1mg/1日程度、女性は、月経・妊娠によりさらに0.6~1.5mg/1日損失があります。以上のことから成人1日の推定平均必要量は、5~6.5mg/1日と定められています。

  
人体での鉄(血清鉄:Serum Fe)の測定は、直接比色法で測定され基準値は、女性40-170μg/dl・男性55-185μg/dlで再生不良貧血で値は高くなり、鉄欠乏製貧血で低い値を示します。
血清鉄は、通常、2価鉄となって吸収され、その鉄は、再び三価鉄へと酸化し、3価鉄(Fe3+)輸送蛋白であるトランスフェリン(TF主に肝臓で作られる糖タンパク質:血漿蛋白)と結合し運搬されます。また血液中には鉄と結合していないトランスフェリンも存在しています。その鉄の量を不飽和鉄結合能(UIBC Unsaturated Iron Binding Capacity )といわれます。

トランスフェリン(Tf:Transferrin)の総量は、血清鉄と不飽和鉄結合能(UIBC)の和で表され、総鉄結合能(TIBC Total Iron Binding Capacity:基準値260~360μg/dl )として示されています。
TIBC総鉄結合能(トランスフェリンTf)=血清鉄(μg/dl)+UIBC不飽和鉄結合能
となります。
トランスフェリン(IBC総鉄結合能)の低い値になるのは、膠原病、肝硬変、感染症、炎症、悪性腫瘍、溶血性貧血等があります。
トランスフェリン(IBC総鉄結合能)の高い値になるのは、鉄欠乏性貧血、慢性出血性貧血、真性赤血球増多症などがあります。

不飽和鉄結合能(UIBC)の基準値は130-350μg/dlで、この値が高くなると欠乏性貧血などが疑われます。値が低い傾向なのは、再生不良性貧血、悪性貧血、溶血性貧血、慢性感染性貧血症、ネフローゼ症候群、肝硬変です。
鉄飽和率は、トランスフェリンのうちの鉄が結合している割合で、血清鉄/(血清鉄+UIBC=TIBC)で求められます。トランスフェリンに鉄がどれだけ結合しているかを判断し、その飽和率は正常では30%位です。残りの2/3程度は、結合していない状態で存在しています。飽和率が上昇するのは、鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血、悪性貧血、溶血性貧血などで高い値を示します。鉄過剰症のヘモクロマトーシス(南アフリカの黒人で鉄を多く含むアルコール飲料の常用で発症)は著しく高い値となります。

 血清フェリチンは体の中にどれだけ鉄が存在しているかを示しフェリチンは、細胞内に鉄を貯蔵、トランスフェリンとの関係で血清中の鉄(血清鉄)を一定に維持する働きをしています。
フェリチンの基準値は先に示してある通り女性20~70ng/mL・男性40~100ng/mLで、低下は、鉄の欠乏になります。

食品中の鉄分の測定は、試料を乾式灰化法で灰化し希塩酸溶液で溶解したものを原子吸光法により元素の定量分析され測定されます。

 食品中の鉄は、レバー、卵、春菊、ほうれん草、ひじき、胡麻に多く含まれますが、フイチン(穀類、豆類、種実類の外皮)、ホスビジン(卵黄)、タンニン(緑茶、紅茶、コーヒー、渋柿、栗渋などの渋み)、リン(玄米、魚介類、卵黄、蓄鶏肉、納豆)の存在(米糠・大豆・・野菜・果物・ほうれん草)によってCa(カルシュウム)同様吸収が妨げられます。鉄の吸収を促進する栄養素は、ビタミンB6、葉酸、ビタミンC、コハク酸などがあります。
食物摂取からの鉄の吸収は、10~80%の開きがあり、ヘム鉄(動物性鉄分の1割程度)は、ミネラルの吸収を高めます。

鉄分の不足により 貧血・倦怠感・吐き気・おう吐・頭痛・動悸・食欲不振・耳鳴り・めまい・微熱・手足の冷え・皮膚の蒼白(そうはく) などの症状が表れます。厳格な菜食主義者では、欠乏症が多いといわれています。

過剰摂取により活性酸素を増加させ臓器への蓄積が起こり機能不全、肝硬変の報告があります。ヘモクロマト-シス(血色素沈着症)は、皮膚、肝臓、脾臓など体内の諸組織の細胞中に過剰の鉄が蓄積する疾患で、皮膚の色素沈着、脾臓肥大、肝硬変、糖尿病などの症状を呈します。急性中毒では、悪心、嘔吐下痢、低血圧、気管支肺炎、ショック症状などが見られます。経口鉄剤の一般的副作用では、胃部不快感、注射によるものでは、頭痛、発熱、関節痛、発疹、血管炎、アナフィラキシーAnaphylaxis等があります。

安全率、吸収率を考慮して成人1日の推定平均必要量から推奨量は、5.5~10.5mg(妊婦+11~13mg)、銅、ビタミンB6、C、葉酸、蛋白質、コハク酸で吸収を高めます。上限量40mg と設定しています。
一日の可食量で鉄を多く含む食品とし
乾麺茹で270g-0.5mg  食パン100g-0.6mg 茹でスパゲティ250g-1.5mg 豚肝臓50g-6.5mg ほや50g-2.9mg  牛腎臓50g-2.3mg 牛肝臓50g-2mg 卵黄16g-1.0mg  どじょう50g-1.5mg まぐろ・かつお50g-1.0mg  そうだかつお50g-1.3mg  かじか50g-1.4mg 小魚50g(いかなご・うるめいわし)1.3mg  あさり50g-1.9mg ほっき貝50g-2.2mg  牡蠣100g-1.9mg  納豆50g-1.7mg ひじき5g-2.8mg ごま10g-1.0mg ほうれん草茹50g-0.5mg 小松菜茹で50g-1.1mgなどがあります。

  健康食品で、錠剤・カプセルとしたものの過剰摂取により健康被害が見られるようになりました。食品だからといってむやみに取っていいものではありません。食事は、栄養バランスの取れた食事で、食料構成が決められ、およその量も決められています。錠剤・カプセルとしたものであれば、なおさら用量、用法を守って利用するようにしなければなりません。薬剤の副作用同様で、過剰摂取は慎まなければなりません。
 

この記事についてブログを書く
« [貧血食] 食生活について語ろう | トップ | [七五三] 食生活について語ろう »

美容ダイエット」カテゴリの最新記事