子どもゆめ基金(独立行政法人国立青少年教育振興機構)の助成を受けて2009年6月2日~6月3日の2日間「読み聞かせレベルアップ講座」を開催しました。目的は、読み聞かせのボランティア経験者の方々が、さらに上手な読み手、演じ手にレベルアップすることによって、視聴者の読書欲をそそり読書の普及に貢献していただくため、の養成講座でした。
この講座は昨年に続き、2回めになります。
絵本の家・中込館長が「物語を繰り返し読み内容を把握して、技を磨いて、より上の上を目指してください」とあいさつ。2日間の講座がスタートしました。
紙芝居名人・右手和子さんの模範実演(午前の部)。午後には、個別の実演指導がありました。基本は「下読み」を大事にして、声・間(ま)・ぬきのかねあい、を会得することを学びました。心・技・体を整えること、が紙芝居上達にもつながることがわかりました。
●二日めは、絵のほうで、南塚直子さん、文章のほうで山末やすえさんを講師に迎えて講座を開催しました。受講生のみなさんは、なにげなく めくっている1ページ1ページの裏側にこめられたそれぞれの作者の思いを読み取れるようになったにちがいありません。
南塚さんの代表作の一つ『うさぎがくれたバレエシューズ』を題材にして制作に臨んだ姿勢が語られました。それは、文(文章の作者は、安房直子さん)をイメージでふくらませ、例えば桜の木の汁で桜色に染まるかどうかを納得いくまで調べるリアリティの追求でした。
南塚さんのワークショップでのテーマ(詩)は「アリ」
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アリ
アリは
あんまり小さいので
からだは
ないように見える
いのちだけが
はだかできらきらと
はたらいているように見える
ほんのそっとでもさわったら
火花がとびちりそうに…
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この詩をもとにイメージすると、どんな 絵になりますか?
受講生のみなさんは、全員できました。
山末やすえさんは、童話も絵本も紙芝居も、ファンタジーの世界が根底にありましたが、今度出された最新刊『あえてよかったね』は、老いるということを子どもにも大人にもわかりやすく書いています。ひいおばあちゃん、ひまごというような年齢差のある四世代をたて糸に、世代間同士をよこ糸にして組み立て、日常の生活をテーマにしました。
山末さんは、老いることをごほうびだとしています。
「子どもはやわらかい芽を持っている。木は大きくなっても幹の芯はやわらかさを保っている。そのやわらかさで子ども達に発信を続けてほしい」と結びました。
山末やすえさんのワークショップでは「ごほうびの中で一番うれしい印象に残ったことをストーリィにする」が課題でした。これも全員が書き上げ発表しました。全員が2日間ほんとうに熱心に講座に集中しました。おつかれさまでした。受講生は21人でした。講師の先生方、ご協力いただいたみなさん、ありがとうございました。