23日付けの読売新聞によって
「経済産業省と農林水産省は,植物から作る自動車用のバイオ燃料の普及を図るために,来年3月末までに技術革新計画をまとめる。2015年までに最大でバイオ燃料の価格を1リットルあたり40円に引き下げる目標を掲げる。」
と報じられた。
現在のバイオ燃料の価格は1リットルあたり2000円もしているそうだ。飲むエタノールに相当している。
穀物からバイオ燃料を作ることには,ようやく問題ありと,認識されてきたようで,経済産業省と農林水産省ともに農林廃棄物を使うことにしている。
しかし,穀物と農林廃棄物とは原料となる成分が全く異なる。穀物は「でんぷん」であり,発酵が容易である。生物にとって非常に利用しやすい。そのため,食料や飼料になるのである。
農林廃棄物は基本的に食料にならない。それは,人間が消化できない「セルロース」を主成分にしているからだ。でんぷんもセルロースももっと基本的な構成単位はグルコースであるから,そこまでになれば両者は同じと言えよう。しかし,セルロースをグルコースに分解すのが大変なのである。
さらに,木材などは大量の「リグニン」なる厄介なものがある。これは,廃棄物になってしまう。パルプ産業では,燃焼してエネルギーとして利用してはいるが。
2015年までであるから,7年ほどかけて技術開発しようというロードマップを作成するようだ。
じつは,このような分野の基礎研究は随分と古くから行われており,多くの論文がある。
MOT(技術経営)の世界では,基礎研究から産業化までの道のりに幾多の困難が待ち構えていると言う。
魔の川 (有用性)
死の谷 (経済性)
ダーウインの海 (社会受容性)
基礎研究から製品開発に至るまでに,魔の川が横たわり,さらに事業化に至るには,死の谷を越えなければならない。それに,ダーウインの海と言う技術的困難や企業化リスクを乗り越えなければ産業としては成立しない。
バイオ燃料に関しては,まだまだ死の谷を越えられるかどうかの段階のように思われる。しかし,両省の策定するロードマップは,2015年までにダーウインの海まで越えようとしているのか?
この記事に興味を持った方は,ブログランキングマークに是非ポチッとお願いします。