ハタ迷惑なヤツ

毎度激混みの朝の通勤電車。

さっきから私の横のオヤジが、ヨレたデパートの紙袋２つを手に持て余した感じで
持っている。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おやじ顔の猫


揺れる度に、その２つの大きな紙袋がバラバラに私の前にかぶさって来る。

私はシッカと吊り革につかまっているのに、そのオヤジは私にしなだれかかっている。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

終点の新宿に近い駅で大勢が下車した。
私のまん前に座っていた人も立ち上がった。
でも、私は次の駅で降りるため、そのオヤジに席を譲るつもりでいた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ぐんにゃり


と思っていた矢先、そのオヤジは、あろうことか、自分の前の席でもないくせに、
さんざん鬱陶しかったデパートの紙袋２個をドサッと空いた席に放ったのだ。

当然座る権利のある私に、なんの断りもなく。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ぐふぅ・・・


そして、そのオヤジ、ドッカと椅子に座った途端、
「あ！あれ！？　カバン！！　カバン！！！　カバンはッ？！！」
大声で叫んだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あひ～


知るか。　さっきからそのデパートの紙袋２個だけでしたよ、と言ってやりたいくらいだ。

オジサン、パニック。

「カバン！！　カバンがないッ！！　カバンがないよッ！！」
立ち上がって林立している激混みの人を押し分け、足もとをゴソゴソまさぐっている。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　だは～


大事な書類カバンか？　しっかり持ってろよ、と心の中でつぶやく。

「え“＝＝＝！　どこ！！？　カバン！！」

もうそこら中の人の足もとを探している。

と、

「あ、あった、あった。」安堵の独り言が聞こえてきた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　うふ～


そのオヤジが人混みのど真ん中から、掻き分けながら戻ってきて、手にしていたのは、
大きなキャスター付きの旅行カバンだった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あ"====


オヤジの手から離れた大きな旅行カバンは、人ごみの中、あっちにやられこっちにやられ
遠くまで行かされたにちがいない。

オヤジも迷惑だが、持ち主不明になった旅行カバンも迷惑千万だったのである。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　だれ～ん


そして、これだけ周り中に迷惑をかけているにもかかわらず、ひとことの挨拶もないまま、
またドッカリと座ったのである。

ジャスミン、こういうオトナだけにはなってはいけませんよ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はぁ～い。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　まん丸なよいこ。


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