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東埼玉病院 リハビリテーション科ブログ

国立病院機構東埼玉病院リハビリテーション科の公式ブログです

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リハビリと栄養

2020年08月03日 | 紹介
こんにちは。初めまして、リハビリテーション科新米医師の堀と申します。
わからないことだらけで、日々目の前のことをこなしていくことにまだまだ精いっぱいなのですが、周りの医師、看護師、療法士さんたちに助けられながら奮闘しています。
よろしくお願いいたします。


さて、今回お話するのは栄養についてです。
「リハビリなんだから筋肉や神経の話をしてくれ!」というお声も聞こえてきそうですが、リハビリと栄養は非常に密接な関係を持っています。
そもそも、リハ栄養とはリハと栄養を同時に行うことを示した概念を起源としたもので、ざっくり言うと「全人的評価と栄養評価を行ったうえで栄養状態を改善し、障害者や高齢者のQOLを最大限に高めていくこと」であります。2010年代に登場したかなり新しい概念です。リハ栄養が求められる背景として、①疾患発症前からの低栄養、②疾患発症時の栄養状態悪化③疾患発症後の不適切な栄養管理、などがあげられており、特に高齢者ほどその傾向が強いと言われています。
それでは、一例として廃用症候群についてのリハ栄養を見てみましょう。
廃用症候群とは、身体を動かさないことにより引き起こされる二次的障害のことで、筋力低下、関節拘縮、認知機能の低下など様々な症状を引き起こすことで知られています。日本の廃用症候群の患者約9割に低栄養を認めており、機能予後不良と低栄養との関連を指摘している論文も見受けられます。また、廃用症候群の患者ではBMIが30~35程度のほうが、日常生活動作の改善が多く見られたとの報告もありました。廃用症候群では全体的なエネルギー不足、たんぱく質摂取不足のことが多く、栄養管理の重要性が指摘されています。
では、何を摂取すればいいのでしょうか?
答えは、十分なたんぱく質や必須アミノ酸です。特にエネルギー補給や利用効率の点からは、中鎖脂肪酸が注目されています。健常者を対象とした研究では、中鎖脂肪酸の摂取により活性型グレリン(摂食亢進作用などを持つホルモン)が優位に増加したそうです。つまり、中鎖脂肪酸を摂取すると摂食が亢進し、より栄養をつけられるといった好循環を生み出すことが出来るわけです。
改めて、日々の食生活の重要性を認識させられますね。
皆さんこれから暑い、じめじめする日々が続き、食欲も落ちるかもしれませんが、おいしいものを食べて無理せず頑張っていきましょう。

参考文献:『リハビリテーション栄養ポケットマニュアル』若林 秀隆、2018年10月5日発行、医歯薬出版

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本ブログの掲載記事は,個人的な見解を含んでおり正確性を保証するものではなく,当院および当科の総意でもありません.引用や臨床実践等は各自の判断と責任において行うようお願いいたします