東埼玉病院 リハビリテーション科ブログ

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高次脳機能障害 ~生活の工夫~

2020年08月17日 | 紹介
皆さんは、想像をしたことがあるでしょうか?家族の声が聞こえているのに、その話の内
容が理解できない。数分前に何をしていたのか思い出せない。持っている物が、何をする道
具なのか分からない。歩行中に左の曲がり角に気が付かず迷ってしまう。上記は、高次脳機
能障害の方に見られる症状の一部です。
当院では、脳梗塞などの脳血管障害や頭部外傷などによる脳損傷が原因で、高次脳機能障
害を呈した患者さんのリハビリテーションを数多く行っています。中には、手足の麻痺は軽
度なのに、重度の高次脳機能障害のために、日常生活動作(食事、排泄、着替えなど)で、
見守りや介助を要する方もいらっしゃいます。患者さんが安全・安心な生活を送るために、
医師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士がチームで対応をしています。
今回は実際に行った、環境調整の例についてご紹介致します。


★左側に注意を向けられない、トイレのマークを理解出来ない、道順を覚えられない症状を合併し、トイレを探して徘徊していた患者さんに対して、目印としてくす玉を表示しました。




★記憶障害のため病棟内の施設の場所が覚えられない患者さんに対して、病室の入口の床面に、行き先の絵と方向を示す矢印を提示しました。




★注意障害のために、病室に置いた私物を探せない患者さんに対して、オーバーテーブル上
をテープで区分し、そこに置く物品の名称をラベルで示しました。スタッフはそれを見て決められた場所に物品を設置し、患者さんが探しやすいようにしました。


★朝の身支度など一連の動作を、順序良く行うことが出来ない患者さんに対して、動作手順を行う順番を数字とイラストで掲示し、その際に必要な物品をかごに入れました。



 これらの環境調整は、患者さんの高次脳機能障害や身体機能に加え退院後の生活も考慮
して設定をしました。病棟内でスムーズに運用出来たものについては、実際に患者さんの
ご自宅を訪問し、使用することが可能かを評価をさせて頂くこともあります。

今後も、入院中だけではなく、患者さんが転帰先にて安心・安全な生活を過ごせる一助と
なれるよう、努力をしていきたいと思います。

(注意)高次脳機能障害の症状は個人差があるため、ご家庭内の環境調整を実施する場合は、必ず専門家の指導・助言を受けてください。
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【注意】
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