不精者の秘密基地

不精者れいくが、日々のもろもろを、こっそりこっそり書き綴ってみる

空の風景

2008年05月20日 | 本(マンガ・小説・その他)レビュー

大野潤子 「空の風景」全5巻
明日果麗子は女子サッカーの選手。中学生の時、高校サッカーの全国大会で当時1年だった清水修宏のプレイを見て青藍高校サッカー部に入部する事を決意する
全国大会に何度も出場経験のある青藍高校だが、当然選手として女子部員が入部した事は今まで一度もない
けれど明日果の熱意によって選手として入部する事が許可される
神崎篤志は明日果と同じ一年生。同じくサッカー部に入部を希望するのだが、神崎の兄は前々年に卒業した青藍高校サッカー部の元キャプテン神崎正悟、人望も厚くいまだに兄を慕う部員も多く、そのため「神崎さんの弟」という目で見られる事に反発していた
そんな明日果と神埼は互いに相手を毛嫌いしていたものの、練習で組んだりしているうちに仲間として認め合うようになる
そしてそんな二人はそれぞれに、明日果→清水、神崎→藤枝(3年生マネージャー)に淡い恋心を抱き、互いに応援しあう
ところが実は清水と藤枝はもう何年も付き合っている恋人同士だった。その事を知って落ち込む二人、互いを励ましあうものの練習の時に神崎は上級生にかっとなったはずみで、仲裁に入った清水を殴ってしまう
神崎が退部させられる!?神崎の気持ちを誰よりも理解していた明日果は神崎の退部を撤回してもらうために清水に無謀な挑戦を挑む

実はこの「空の風景」の前に「しずくの風景」というのがありまして、オーノのハーブタイムシリーズという短編集の中の2冊という括りになっていたものです
「しずくの風景」は「空の風景」でキャプテンとなった清水修宏と藤枝カオルが1年、神崎正悟が3年(キャプテン)の時の話です
つまり「しずくの風景」と「空の風景」の間には2年の歳月が流れているわけです
この「空の風景」1~3巻は明日果、神崎の話で、4~5巻は明日果の弟、浩二(1~3巻時は小学生)が主な話となります
「空の風景」としては全5巻ですが実際は「しずくの風景」2巻と合わせて全7巻と考えるべき作品です
『青藍高校サッカー部』と言う名の元に連綿と受け継がれていくもの、けれど決して同じではないもの
同じ名を冠していても同じチームは二度と作れない、けれどその根底に流れている精神は変わることなく次の代へと受け継がれていく・・・そんな思いが伝わってくる話です
そうそう、「しずくの風景」-SPIELUHRER-(ドイツ語なので本当は“U”の上に“¨”が付きます) を読むと(特に後半部分)脳内にユーミンの「ノーサイド」が勝手に流れます
この歌、本当はラグビーをテーマにした歌なんだけどね、ホントにピッタリなんだよ(笑)
今回久々に読み直して、またまた感動して泣いてしまいました
ちなみに清水と藤枝という姓、静岡県のサッカー強豪校から付けたそうで清水の名前(修宏)は元全日本の武田修宏からだそうです


この「空の風景」に関しては感動がかなりの部分を占めるけど、大野さんは全体的にほんわかと胸が温かくなるような作品が多いかな?
川原泉さん、遠藤淑子さん、桑田乃梨子さん辺りが好きな人なら気に入る作品は多いと思います
川原さんより柔らかく、遠藤さんより恋愛があり、桑田さんよりシリアス・・・というのが私の大野さん評(笑)
(川原さんより・・・の部分は、川原さんが垣間見せる哲学的な要素に対してです)
大野さん、作家買いしてます

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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
大野さんは (はなはな)
2008-05-20 21:46:59
私は、『ボタモチを探して』しか読んだ事無いかも?
私は全然知らない方だったんだけど、たまたま読んで・・・
その直後たまたま、れいくさんのリスト見てたら、大野さんの名前を発見して、うっわ~って喜んだのを憶えてる^^;

こうやってあらすじ読むと、興味深々になってきたわ~~
実はサッカーちょいと好きだったのよ
Jリーグが出来るか出来ないかの頃、遥か昔(爆)
サッカーの試合観戦のために東京まで行ったもんだ!
勝手な思い出から読みたい病になってきたぞぉ~
こうしてまた「読みたい本」が増えてくる、嬉しい涙

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あ~懐かしい~~ (パール)
2008-05-20 22:23:24
好きだったわ~
といっても私は「しずく」の方しか読んでないんですが。
そうなんだ~神崎さんに弟がいたなんて~!
兄に似てイケメンかい?
神崎兄はお菓子作りが趣味なんだよね~そのギャップがなんともツボでした。

武田選手
後年クイズ番組にてあんなにボケキャラになろうとは・・・
当時は想像もできませんでしたわ・・・

>川原さんより柔らかく、遠藤さんより恋愛があり、桑田さんよりシリアス・・・というのが私の大野さん評(笑)

うんうん、すごく納得です。
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サッカーの町 (ブック)
2008-05-20 22:28:43
私の住んでるところですね~、本当にサッカーに対する市民の熱はすごいですよ

大野さんは2、3冊読んだことあるんですけど独特の雰囲気が好きです

あのころはそんなに好きな絵とは思ってなかったんですけど
今見ると結構好みの絵かもと思います・・・好みって変化するのかな~
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よかった♪ (でぃ~れいく)
2008-05-20 23:13:58
はなはなさん
私もわざわざ国立までJリーグ見に行った事ありますよ
「空の風景」は大野さんの中でも一番お気に入りです
いつでも言ってください

ぱーるさん
ぱーるさんも読んだのね
兄ちゃんは柔らかい感じだったけど弟はちょっとキツく見えるかな?けど人間的にも成長していってイイ男になりますよ

ぶっくさん
某所の方々にもなかなか大野さんお持ちの方いないので人気ないのかなぁ・・・とちょっと寂しかったりしますが、結構読んでる人はいるのね
静岡はホントサッカー盛んだよね?高校サッカーも甲子園くらい盛り上がってそうだね

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あうっ>< (はなはな)
2008-05-21 11:38:07
れいくさん、、、ごめんね、、、
何だかヤラシイ書き方したかもぉ

そんなつもりは無かったけど、「貸して~」と言わんばかりに取れるやんね(爆)

そりゃれいくさんからは借りたい本はある!(断言
ずーーーっと読みたいって思ってるモンキーターンとかね^^;
でも今は無理な状況なのに~~
へんな書き方ごめんなさいでした
でも。いつか。貸して下さい
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知らない作家さんです (カズ)
2008-05-21 11:43:57
初めて聞くお名前でした。
作家買いされてるということですが、もう息の長い方なのでしょうか?

ついでに、
川原さん遠藤さん桑田さんもあまり読んでいないため、違いが分かりません><;
何冊か持っておりますが(多分衝動買いしたと思われ)何があるのかさえすぐ思い出せないレベルなので、お三方ファンの人には白い目でみられますね、きっと・・・
いつか・・・いつかは違いのわかる女になるぞ~
・・・ネ○カフェじゃないっつーの(笑)
失礼しました~。。。
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おススメです (でぃ~れいく)
2008-05-21 17:44:57
はなはなさん
いいですよ、私も貸す気満々だし(笑)
とりあえずモンキーターンも大野さんもあと50年くらいは売る予定ないから焦らなくても大丈夫よ

かずさん
結構長いかな?1985年デビューの方です
殆どが短編なので(このシリーズが一番長い)見つけたら読みやすいです
川原さん、遠藤さん、桑田さん・・・お三方の共通点は笑いのツボが似ているという感じ?決して絵が上手い!というわけじゃなないけど面白いし読んだ後に何かが残る、と私は思ってます
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懐かしい! (るー)
2008-05-21 20:12:56
私も昔大野さんは作家買いしてましたよ!
コミックスは実家にまだありますが…いつから新刊買わなくなっちゃったんだろう。「4丁目の植物誌」までは読んでた記憶があるんですけど。

神崎先輩、好きでしたよー。
「シュピールフューラー」を読んで、号泣したような記憶が…。

あと覚えてるとこは…「にぼしのBarrier」かなあ。好きでしたねー。「ドリンク剤は勇気のしるし」(タイトルあってますか?)とか。

思い出したら読みたくなってきました。(笑)
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正解です^-^ (でぃ~れいく)
2008-05-22 21:59:34
「ドリンク剤・・・」は「カレーうどんツリー」のシリーズでしたね
リゲ○ンの事だった(笑)
他にも「君たちは緑の胃薬」←サ○ロンとか、妙なタイトルが結構多い
「シュピールフューラー」・・・あれは泣きますって(笑)
こんなに熱くなかったけど、部活動の日々を思い出します
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少ししか読んでないけど・・ (アガサ)
2008-05-23 09:17:53
知ってますよ~
このシリーズは読んでなかった気がするけど、
片思いしていたけど、実はその二人は付き合っていてという
説明を読むと読んだことあるような・・?
(それとも立ち読みしかしないから忘れたのか?)
ちょこちょこ短編は読んでるのだけどね~

遠藤さんも、川原さんも桑田さんも大好きです!!
結構、集めてるわ~

確かに似た雰囲気はありますね。
でも、私は普通の少女マンガとして位置づけてたから
恋愛要素をもっと、からめて!なんて思ったけど、
遠藤さんや河原さん、桑田さんと同列と考えれば
そんなことは気にしなくてもいいのね(笑)
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