
手狭な東京機関区でひきがとれる位置に停車しているのは非常に珍しくそれだけにパンを上げた姿を撮影したく無理をお願いしてしまいました。全検出たてで足回りも光っている姿での89号機の姿は貴重だと思います。今思えば左右にはこれ以上寄れないので前に出て少し低い位置から撮影してチョッとでもパンをビームから出せばよかったと後悔しています。 84,09,03 東京機関区 EF5889号機 オリンパスOM1 TRI-X スキャナー : Nikon COOLSCAN ⅣED
30年前の09月はあまり目立つ事のなかった宇都宮運転所のEF5889号機が青い標準塗装から茶色1色(正式にはぶどう色2号)になって大宮工場を出場しました。実はこの年の春先頃から国鉄の増収につながるならと(通称:プラス10活動)と宇都宮のゴハチが1両茶色になるらしい!と言う噂が線路際で話題になってました。最初にその話を聞いたときに宇都宮運転所にはすでに原型小窓はなく゛茶色のゴハチがデビューをしてもあまり写欲が湧かないなぁ!゛と言うのが本音で、あまり期待もせず、よって何号機が茶になるかなど気にもせず時が経過していきました。
84年09月07日の仕事中でした。10時少し前に当直に当時は学生だった美抑解様から公衆電話があり当直から呼び出されました。そぉ~当時は携帯電話など夢のまた夢の時代で何か用があればそれが急用であろうとヤボ用であろうと平日昼間なら会社に、休日や平日夜間は自宅に正々堂々と電話をするのがごく当たり前の時代でした。また会社もあまりの頻度でない限り多少の事なら当たり前の様に私用でも取り次ぎして、職場によっては暗黙の電話番もいて便宜を図ってくれたものでした。
当日、911型の作業をしていたらツナギを着て油だらけだったと思います(この日は911ー3号機の入区風景を撮影していますので911型の何らかの作業に従事していたのは間違いないと思います。)。その姿で3階の当直まで駆け上がり電話を出ると受話器の向こう側から少し興奮気味に美抑解様が゛茶色のゴハチは89でした!今、単機で8542レで上って行きました!゛とレポートをしてくれました。まさに今ならメールで連絡をもらう内容です。事前にこの8542レに茶色となったゴハチが充当され宇都宮から品川まで走る事は何処からともなく情報が入っていて承知していましたが、茶色になったのは何号機かは確証がなく、この時初めて89号機が茶色になったのを知った次第でした。
仕事が一段落し、ちょうど手間ち時間だったので詰所から8542レの品川到着を見届けましたが、たしかにロクイチとは違う子供の頃見慣れた茶色のゴハチでした。懸念したHゴムの正面窓も庇のお陰でわかりにくく、なんとか撮れそうです。期待していなかっただけに茶色のゴハチは新鮮でした。
午後は比較的時間に余裕があったのでEF5889号機がいるはずの東京機関区に職場のチャリ(荷台には区所名とパートが書かれている牛乳配達用みたいな業務用チャリ)で乗り込みました。以前から職場にいた東京機関区出身の国労の先輩に撮影のときに便宜を図ってもらうために東京機関区の国労の人の中で何人か紹介してくれていました。その国労の人を訪ねて国労分会の事務所に行ったのですが、生憎尋ねた人はみんな不在で、パンを上げてもらうのはダメかぁ!と落胆していると分会に居た人が”本来は組合活動と撮影の便宜は別物だけど・・・”と言いながら89号機に乗り込みパンを上げてくれました。長居は失礼ですし迷惑なので数カット撮影して丁寧にお礼を申し上げて東京機関区を後にしました。

組み合わせとしてはEF15の黒Hゴムと同じ事なのですが、順光側から撮影するとやはりHゴムが目立ってしまう事がわかりました。これ以降、89号機はなるべく反逆光で撮影するか、遠目から撮影するようになりました。 84,09,03 東京機関区 EF5889号機 オリンパスOM1 TRI-X スキャナー : Nikon COOLSCAN ⅣED>