眼を開けば僕がいる。 **BNCTに夢を託して**

悪性脳腫瘍の妻との闘病生活を最新の治験療法(BNCT)や免疫療法の体験を交えて・・・。

ラジオ波焼灼療法

2010-08-27 09:09:10 | 迷い
ラジオ波焼灼療法のため入院していたO大学病院を一昨日退院いたしました。
5カ所の腫瘍のうち1カ所を11日と2カ所を18日の2度に分けて施術を行いました。
残る2カ所は2~3mm程度の大きさという事もあり今回は見送り経過観察という事になりました。
見えているものの全てを処置しておきたいという気持ちではあるのですが、
1週置きに3回続けてというのは体への負担が大きすぎるという判断のようです。

1回目の術後の副作用は思ったほど出ず意外と楽に終わりました。
しかし2回目は2カ所とも胸膜に近くなおかつ心臓に近接しており、CT画像上ではラジオ波電極針が心臓まで
4mmくらいの位置まで刺入したため術後の副作用は厳しいものでした。
38度半ばの発熱と患部の痛みに、胸水がたまったための息苦しさなどです。
炎症を抑えるためのステロイド投与によってやっと炎症反応が治まり退院する事となりました。

胸に十数カ所の傷跡と未だに痛み止めを欠かす事の出来ない疼痛が残っています。
術後のカンファレンスで2カ所残った腫瘍の経過観察等の説明とともに新たな転移が出てきた時には
処置する事が出来ない旨の示唆を受けました。
外科手術や放射線治療と違い何度でも行えるという事に望みをかけた治療法であった筈でしたが・・・。

まあ見えない先の事を不安に思っても仕方がありません。
今やれる事を一つずつ、足元を見て一歩ずつ歩いて行こうと思います。

遠隔転移・・・

2010-08-24 15:18:58 | 不安と絶望
未来に生を繋いでいただいた者の使命だと大上段に構えた切先が・・・
いつのまにやら下を向いています。

1月に入院をして続けていたリハビリの成果はそれなりに上がっていたのですが
左足の動きは6度目の手術前の状態には回復せず、そんな中で受けたMRIの結果脳に腫れが。
今ならアバスチン投与で左足の動きは改善するかも・・という主治医の言葉にリハビリを中断し
再びアバスチン投与のために退院する事を決断しました。

しかしながら、この頃から左鎖骨の転移部あたりの痛みを訴えるようになり胸部CTを撮り
経過観察のつもりが、とんでもないものが・・・多発性肺転移でした。
両肺に5カ所の腫瘍が確認されました。

転移性のしかも多発性肺腫瘍に対しては外科的手術はほぼNGです。
定位放射線治療もこと肺についてはピンポイントに照射するのは難しく腫瘍周りを広範囲に
照射せざるを得ないため残存肺機能に大きなダメージを与えます。

残された選択肢は以前から情報を収集していたラジオ波焼灼療法か凍結療法に絞られてしまいました。
後者は東京のK大学病院で行われ前者は中国地方のO大学病院が症例数の多さから考えられます。
今後の経過観察を考えると地理的な事も含めO大学病院のラジオ波焼灼療法に賭ける事にしました。
もちろん根治療法ではなく対症療法である事は承知の上ですが・・・。
今回は3カ所の腫瘍に治療を施し残る2カ所は経過観察という事になります。

妻の脳腫瘍が根治する事はないであろう事を理解はしていましたし、
早晩、遠隔転移も起こってはくるだろうと予測もしていました。
しかしそれが現実のものとなると・・・ほとほと自分自身の覚悟の甘さに呆れてしまいます。
きれい事だけではなく、ありのままの姿を病変を書いていかなければと思う気持ちが、
現実から目を背けたいと思う気持ちに負けてしまったということなのでしょう。
厳しいこれが現実です・・・。


今BNCTはどこへ・・・

2010-08-17 20:23:01 | 不安と絶望
昨年末来、どうしようもない状況に陥り、思うことをどうしても文字にすることが出来ず
このままブログを閉鎖してしまおうかとずっと考えておりました。
そんな時に妻の主治医から電話がありました・・・。
非常に微妙な問題で訪問される皆様から批判されることを覚悟の上で、それでもやはり書かずにはおれません。

BNCTは東海と熊取の両原子炉が停止する以前から治験療法として行われておりました。
治療を受けられる患者は未知のリスクを背負うことで無償で治療を受けることが出来たのです。
両原子炉が再開され、わずかながらの国からの補助金を使って治療が継続されてきました。
その費用も今まさに枯渇しようとしています。
治験を継続することも出来ず、確固としたエビデンスが確立されていないという認識の中、
自由診療として患者の自費負担での治療を受けることも出来ず彷徨っているかのようです。

必死になって情報を収集し、すがりつく思いで受診し、軽い負担とは到底言えない治療費用を
自己負担してでもという患者が置き去りにされようとしています。
お金のないものには治療を受ける権利は無いのかという批判には、敢えて目をつぶらせてください。
どうすることも出来ないやるせない気持ちをブログに書かずにはおれませんでした。

此の地でBNCTという先端治療が行われていると言うことを目を背けずに真摯に見つめて欲しい。
街興しだとかいう低次元な目線ではなく、今この時を必死に生きようとしている患者がいることを
真剣に見て欲しい。
真剣に前を向き取り組む医療関係者及び患者家族の方々を揶揄する意図は毛頭ありません。

血を吐くような患者、家族の声をどこへ届ければよいのでしょうか。
リスクを負う覚悟でいる者に、せめてその覚悟に真摯に向き合って欲しい・・ただそう思うだけです。