眼を開けば僕がいる。 **BNCTに夢を託して**

悪性脳腫瘍の妻との闘病生活を最新の治験療法(BNCT)や免疫療法の体験を交えて・・・。

インスリン

2009-05-28 15:29:48 | 日常
昨日、父の退院に向けたカンファレンスがあり主治医、看護師長、薬剤師との
話し合いを行いました。
病院に行くと父が荷物を全部まとめて待っていました。
退院の話し合い=今日退院できる。
という思考になってしまったようです。

思えば性格のキツイ父でした。
全ては自分中心、決断する必要のある事もまわりの意見は全く聞かず自分一人で決め
後からこうなった、あるいはこうするという究極の事後報告だけでした。
そんな父が荷物をまとめてただ私の来るのを待ちわびていました。

自宅では投薬治療をしていましたが入院中はインスリンの注射に変わっていました。
退院後も毎日の定時のインスリン注射が必須となりました。
「誰が注射するんですか?」
「そりゃポラリスさんしかいないでしょ!」
嘘でしょ・・・。
他人のトゲさえ抜いた事がないのに・・・注射!
針を人に刺すなんて・・・考えただけでも貧血になりそう・・・情けない。
でも妻もステロイドの副作用で空腹時血糖値が200台になっていますし。
このまま行くと毎日二人に注射・・注射・・・。
一般人の方・・看護師さんはだめですよ・・どうされていますか。


Avastin再開しました

2009-05-23 10:56:25 | 希望
色々な事があった一週間でした。
更新もコメントの返事も出来ず申し訳ありませんでした。
19日に人間ドックの結果説明があり・・・やはり年相応の問題が何点か指摘されました。
1.脳動脈瘤が発見されました。
2.近視性網脈絡膜変性、視神経乳頭陥凹拡大。
3.HCV抗体反応(+)。

1.については昨日妻の主治医に画像を見てもらいました。
絶対に触ってはいけません・・・!
脳ドックを受診するとこういう分からなくても良いものが出てくるので「私は脳ドックは受診した事がないのです。」・・・??
破裂のリスクと処置による感染症および事故のリスクを比較すると処置すべきでないという判断のようでした。
根が楽天的な恐がり(?)なものですから・・まあいいかなと・・・。

2.については来週にでもO付属病院の眼科を受診する事にしました。
これ以上病院の窓口を増やしたくなかったのですが、放置すれば緑内障の恐れありと脅かされ、泣く泣くの選択です。
まあこれとて一回受診したら終わりかなと脳天気に構えています。

3.は以前にC型肝炎でインターフェロン治療を二度受けています。
一度目は十数年前の治療終了後再燃しました。
三年前の二度目の治療で完治し去年から経過観察の必要もないという事で放置していました。
抗体反応は罹患歴があるので(+)になるのも当然なのですが、
あらためて検査結果を突きつけられると少し不安になりHCV-RNA定性検査をいたしました。
結果はもう少し先になります。

体の状態は胸を張って◎と言えなかったようですが・・まあほどほどに健康と言えなくもないかなと考えています。
この説明に時間がかかり慌てふためいて母の入院する病院へ直行し退院手続きを終えました。
これでやっと入院は父を残すのみとなりました。

一昨日は妻の障害者年金受給に必要な診断書作成のために受診、その後介護保険更新のための認定調査がありました。
そしてやっと昨日5回目のAvastin投与が行われました。
先週の血液検査の結果、腎機能肝機能に大きなダメージはなく再開する事が出来ました。

それはそうと昨日行ったO付属病院はさながら野戦病院と化していました。
各病棟の出入り口はすべて封鎖され本館の一カ所のみを使用し、入り口側には
消毒薬を手にした看護師さんが一人一人の問診を済ませた後に入館を許可していました。
そしてその出入り口の側には二張りのテントが発熱外来として設置され風邪の症状を訴える来訪者の処置をされていました。
医療関係者は全員マスク姿、来訪者の9割以上もやはりマスク姿でした・・・ここは本当に日本ですよね・・・?
マスクをされていない方の肩身の狭い事・・・。
ほとんどマスクは売り切れで手に入らないのにね・・・。

5月のスケジュールをあらためて見てみると医療関係で半分くらいが埋まっています。
緊急に予定外でのものを含めると二日に一回は病院通いが続きます。
それでも来月からはもう少し楽になるかなと淡い期待をしていますが・・・さてどうなるのでしょうか。



Avastin 5回目投与中止

2009-05-15 16:35:06 | 日常
退院してからも微熱はとれず、二日ほど前から尿潜血がまた出始めました。
下半身の浮腫もひどい状態で、今日の投与は見送りになり、降圧剤の中止と利尿剤の服用が決まりました。
昨日まで頻尿の薬を服用していたのに今日から利尿剤とは・・・?
今日の採血の結果を見て来週にAvastin投与の可否を決めます。
なかなか思うようには進んでくれません。

BNCT関連の情報を一つ。
6月に予定されていた京大熊取の原子炉再稼働が行き詰まっています。
4月にフランスを出港したウラン積載の船舶がスエズ運河を渡ってこれない状況のようです。
ソマリアの海賊問題がこんなところに影響を及ぼしています。

現在十数名の方が治療を待っておられるようですが、めどが立たないようです。
この治療は最終手段として捉えられている方が大半ですので、概ね病状は重く
予断を許さない状況になるものと思われます。
速やかな燃料搬送ができることを願っております。

免疫療法~海外の潮流

2009-05-14 07:47:38 | 希望
2009.3.17
米Antigenics社は3月12日、テーラーメード癌ワクチンである「Oncophage」がグリオーマの治療薬として
欧州医薬品審査庁(EMEA)の希少疾病用医薬品委員会(COMP)からオーファンドラッグ(※1)として推奨されたと発表した。
2009.5.1
米Antigenics社は、2009年4月29日、テイラーメードのがんワクチン「Oncopharge」(vitespen)が
グリオーマを対象として米食品医薬品局(FDA)からオーファン・ドラッグ指定を得たと発表した。
  ※1 オーファンドラッグ (Orphan drug)
  「希少疾病用医薬品」のこと。
  極めて稀な疾病(薬事法では対象患者が5万人以下の稀な疾患)の治療に用いらる薬品のこと。

国内でも久留米大学で「標準治療抵抗性悪性腫瘍に対するテーラーメイドがんペプチドワクチン療法 第Ⅱ相臨床試験」が始まった。
2009.4.1に受付開始後2時間で募集枠60人に対し1700人の申し込みがあり早々に窓口は閉鎖された。

患者の切実なこの思いにどう答えようとしているのだろうか。




遅い・・・遅すぎるよ!

2009-05-13 15:28:19 | 不安と絶望
米Genentech社が抗血管内皮増殖因子抗体製剤ベバシズマブを治療歴のある膠芽腫患者に
適用するための追加生物製剤承認申請を提出した推移は以下のとおりです。

2008年11月3日
 追加生物製剤承認申請を米食品医薬品局に提出。
2009年3月31日
 米食品医薬品局抗癌剤諮問委員会から治療薬として承認することへの推薦を満場 一致で獲得。
2009年5月5日
 米食品医薬品局が適用を承認した。

米国ではFDAが申請から半年で承認しました。
日本においてもこれぐらい迅速な対応を望むのは無理な事なのでしょうか。
既存の治療が限界に達し新たな治療の術がないのなら、新製剤を使う事で起こりうるリスクなど
私にとっては、そして恐らく大方の患者さんにとっても問題外だろうと思います。
厚労省には新たな治療法を一日千秋の思いで待ちわびる患者の目線にあわせた対応を望みます。


ベバシズマブ米国で承認獲得

2009-05-11 13:45:41 | 希望
以前に「急速な医療の進化」で紹介いたしましたベバシズマブ(商品名:アバスチン)が
米国で承認獲得となりました。
いよいよ米国では動きが本格化しそうですが、日本においても早期の適用を期待したいと思います。


2009. 5. 8
米国で脳腫瘍へのベバシズマブ適用が承認獲得


米Genentech社は5月5日、米食品医薬品局(FDA)が、最初の治療の後に進行がみられた
グリオブラストーマの患者へのベバシズマブ(商品名:アバスチン)適用を承認したと発表した。
同社は2008年11月に適応拡大を申請、FDAは迅速承認のための審査を行ってきた。

10年あまりの間、グリオブラストーマに対する新たな治療は承認されておらず、
この病気に対する治療の進歩はほとんどなかった。
最初に化学療法と放射線治療を受けた患者の90%超が再発を経験し、再発した患者に有効な
治療はほとんどないため、生存期間の中央値は6カ月に留まる。
ベバシズマブはそれらの患者に新たな選択肢を提供する。

グリオブラストーマに対するベバシズマブの有効性は、BRAINと名付けられた臨床試験(AVF3708g試験)や
NCI試験で示されているが、現在のところ病気に関連する症状の軽減または生存期間延長を示す
無作為化試験のデータはない。

迅速承認は主にBRAIN試験の結果に基づく。
これは、オープンラベルの多施設フェーズ2試験で、比較試験の設計にはなっていなかった。

テモゾロミドと放射線療法による最初の治療後に病気が進行した患者167人を登録し、
ベバシズマブ単剤投与(85人)、またはベバシズマブとイリノテカン併用(82人)のいずれかに無作為に割り付けた。

主要エンドポイントは客観的奏効率とし、MRIにより腫瘍反応を評価した。
提出したデータをFDAが分析した結果、ベバシズマブ単剤群では26%(95%信頼区間17.0-36.1)に腫瘍反応が見られた。
うち約半数で、腫瘍が縮小した状態が4.2カ月(3.0-5.7)以上継続したという。

ベバシズマブ単剤群の患者の年齢の中央値は54歳、32%が女性だった。
81%が初回再発患者で、全身状態を評価するKarnofskyスケール(100が最も良い状態を示す)は
90-100が45%、70-80が55%だった。

有害事象は、ベバシズマブを他の固形癌に投与した臨床試験で見られたと同様だった。
比較的多く見られたのは、疲労(45%)、頭痛(37%)、高血圧(30%)、下痢(21%)、鼻血(19%)など。
なお、ベバシズマブ単剤群の患者2人の死亡は、有害事象関連である可能性が示唆されている。

同様の適応拡大申請は欧州でも2008年12月に提出されている。
同社によると、新たにグリオブラストーマと診断された患者にベバシズマブを適用するフェーズ3試験の患者登録が
まもなく開始される予定だ。




ジグソーパズル

2009-05-08 07:31:27 | 不安と絶望
先月末から糖尿試験紙の潜血にマークが入るようになりました。
同時に微熱が出始め、体の動きが少し悪くなったかなと思ううちに
37度台の熱の割には頭頂部が異様に熱く感じられ、縫合部が赤紫に
変色し始めたため、連休に入った3日の日曜日我慢しきれず
主治医にメールを入れることとなりました。

「これ以上熱が上がるようなら救急外来で受け入れます」という返事もつかの間
体温は38度を超え尿の出も悪くなり矢も楯もたまらず車で救急外来に駆け込みました。
頭の中でジグソーパズルのように一つ一つのピースが形をなしていきます。

不安を抱えたままの救急外来での受診・・・その時、以前に入院していた病棟の看護師長とバッタリ・・。
「個室が1室開いているから泊まっていき」という言葉に甘えて夜中1時過ぎに
病室の準備をしていただき緊急入院となりました。
救急外来のDrは大学病院ではこういう患者の受け入れはしていませんと
渋い表情でしたが主治医と看護師長の後押しで無理矢理の入院でした。

一時は39度台にまで上がった熱も(新型インフルエンザは陰性でした・・やはり検査はされました)
昨日あたりからやっと落ち着いてきたようで、諸々の検査の結果
私の描いた最悪のシナリオは外れ腎臓の感染症ということで落ち着きました。
まあ連休のおかげでずっと付き添う事が出来たのですが両親と妻が本年
それぞれ二度の入院、しかも全員入院中という恐ろしい状態です。
先日の人間ドックで私の健康だけが保証されたことが唯々救いとなっています。

もうしばらくすると、そろって退院という事になりそうで、うれしいと思う反面
帰ってからの生活を考えると・・・複雑な心境ではあります。
まあとっくに覚悟は決めたつもりなんだから・・矢でも鉄砲でも持ってこい(死語かな?)

MRI初体験

2009-05-02 18:11:56 | 日常
昨日人間ドックで生まれて初めてMRIを経験しました。
今までネット上で、もちろん妻の話でも聞いていましたから
その場で自分がMRIを受けるのが初めてだということに気がつきました。

ベッドに横になり固定用のフェイスマスクを付けられた瞬間、恐ろしい
閉塞感に襲われました。
妻は軽度とはいえ閉所恐怖症があります。
その彼女が何十回とこの閉塞感に耐えてきたんだと言うことを初めて
知らされました。

考えてみると知っているつもりで妻の痛み、不安、恐怖・・・何も私は
現実のものとして経験していないことに気がつきました。
 手術の前の恐怖、
 手術後の痛み、
 痙攣の恐怖、
 麻痺で思うようにならない苛立ち、
 家族の負担になることの負い目、
何もかも分かっているつもりで自分の痛みとして分かっていなかった。
そんなことを思い知らされた人間ドックでした。

MRIにも胃カメラにも異常は認められず悲しいほどに健康体でした。
まだ当分は全力で駆ける事が出来そうです。
全力で支えつづけます・・・そんなことしか私には出来ません。

ごめんよ、病気を治してやることも麻痺を解消してやることも出来ない。
やはり見つめ続けることしかできない・・・。