第十六章 現実の認識

昨日の夜からウェブ上に２４５８レは、ダイヤ改正を前にして高崎のロクヨンセンに変わったとの情報が流れ始めた。
そうなると返しの２４５９レもロクヨンセンとなる。
先日はＨＭ付きの釜を走らせた篠ノ井のロクヨン。
そんな粋なことをやってくれたのだから改正前に前倒しでの変更はないと思っていた。

嘘とも本当とも取れる噂が流れ続けてきた２４５９レ。
その度にドキドキさせられる思いをした。
だが、今回の情報だけは信憑性が高かった。
情報の発信源が幾つもあり、そのどれもが同じ内容。しかも釜の写真付きのところもある。

ついに来たか・・・。
先日、６４号機に対してはお別れをしたが、中央線内ではお別れをしていなかった。
日が伸びたこともあり、上野原や四方津でなら撮影することが出来そうだった。
なので、篠ノ井のロクヨンとのお別れは上野原か四方津のどちらかと心に決めていた。

お別れをしていなかっただけにいくらロクヨンセンに置き換わっていることが真実であろうと自分の目で確かめるまでは信じたくなかった。

現実を認識するために向かったのは、南千住。まさに２４５９レが旅立つところ。
小雨混じりの中、２４５９レがやってくるのを待った。

時間になり信号が青になる。
遠くに光るヘッドライト。姿を現したのは青いプレートを携えた原色の釜。
普段なら喜ばしい光景にも関わらず素直に喜べない自分がいた。

現実と直面し、その現実を受け入れるためにシャッターを切る自分。

２４５９レが過ぎ去ったとき、全てが現実なのだと受け入れた。
今日から始まった新しい２４５９レ。
篠ノ井のロクヨンが多くの人に愛されたように、高崎のロクヨンセンも多くの人に愛される存在になって欲しいと思わずにはいられなかった。