
遂に、昭和の残骸、モトコーが無くなる。
日本の中でも、こんな、いかがわしい商店街が、神戸の中心に残っていた
のが、無くなる。
モトコーが、お洒落になるなんて、許されない。
ちなみに、モトコーとは、元町高架下商店街の略です。
JRの元町駅から次の神戸駅まで続く高架下の、
戦後から有る、幅2メートルも有るか無いかの狭くて暗い通路の商店街です。
中学生頃から行き始めましたが、ゴミを並べて売っているような所でした。
神戸の港が世界一だった頃は、色んな国の船が入って来て、
その船員さんが、この商店街に、いっぱい買い物に来ていました。
世界中のあらゆる人種の外人が、狭い通路をひしめき合って歩いていて、
人民服を着た中国人、背の高い東ヨーロッパ人と思われる白人、
アフリカから来たと思われる漆黒の黒人、
みんな貨物船の船員だから、あまりお金を持ってなさそうで、
安くていい物を物色しています。
私ら、ちびで坊主の中学生は、でかい外人の、
股をくぐるように、ウロチョロして徘徊していました。
捨ててたような中古家電が、そのままごちゃごちゃに横積されていて、
その中から、これをくれと、指をさした汚い物体を引っこ抜いて、
その場で、コンセントに差し込んで、動作確認をします。
そして、気にいったら、値段交渉をします。
店のおっちゃんが、何語か分からん言葉をたくみに使い話しています。
そして、合意したらどこのお金か分からんお金を貰って、
そのまま引き渡します。
冷蔵庫でも、洗濯機でも、素のまま持って、港の船まで行きます。
昔の洗濯機も冷蔵庫も小さかったので、
でかい外人さんは、片手で持って帰っていました。
私ら中坊は、異世界であり、異次元であり、おもちゃ箱のようでもあって、
でかい外人に、連れ去られるんじゃないかとか、
話しかけられたらどうしようとか、ワクワクドキドキしていました。
見た事がないガラクタのような物に、微妙な値段がついている。
そして全ては、交渉次第。
米軍の放出品とか、まだ日本に入っていないアメリカのスニーカーとか、
アパレルやグッズが売っていて、凄く憧れでした。
後、輸出専用のオーディオや、高出力の違法無線機とか、
怪しい、怪しい。
特に、西へ行くほど、怪しい店が多くなってくる。


中を歩いている人間まで、そうなって来る。
絶好調です。
こういうのを、残してほしいなあ。
三ノ宮だけが、神戸とは思ってもらったら困ります。
若いお姉さんが、近寄れない、お洒落からほど遠い雰囲気を、
ダークでディープな神戸を是非とも、維持してほしいですね。
探せば、まだまだ有ります。