ぢえかすブログ

       

死刑

2006-03-17 15:12:01 | 思うこと
3月14日。
去る1999年に起った、
いわゆる「山口(光市)母子殺害事件」の被告人の弁護士が、
最高裁第三小法廷に出廷しなかったというニュースが報じられた。
被害者の夫で、本村洋氏は記者会見の席で、激しい口調ではあったが、
それでも高ぶる感情を抑えながらコメントを述べられていた。
上告後4年、この日を待ち続け、
さらに当日は、仕事も休み多額の旅費をかけ、
上京したというのに、あまりに遺族の人権を無視した行為に、
僕自身も憤りを感ぜずにはいられなかった。

さらに、この事件自体、あまりに悲惨すぎる事件であり、
妻子を殺害され、さらに第一発見者となったご主人の、
心中を察するに、ただただ筆舌につくしがたいものがある。
であるからこそ、この度の一件は軽微な処罰で済ませてほしくない。
この弁護士は、その資格を剥奪されてしかるべきではないかと思う。

さて、この事件を起こした加害者の残虐性については周知のところである。
だからこそ、被害者遺族は加害者に対する死刑判決を要求し、
それが認められなければ、自分の手で殺すとまで言い切っており、
軽い表現かも知れないが、その気持ちはよくわかる。
しかし、果たして死刑にすることが最善の方法なのかと疑問に思う。

僕自身、死刑制度には賛成ではない。
その理由として、

まず、第一に死刑が本当に加害者にとって重い刑なのか?
昔から「死んでお詫びをします」なんてことを言うが、
それって責任を取らずに逃げるってことではないか。
死刑も加害者に対し、「死によって楽を与えている」
ということにならないかと思うのである。
仏教では、これだけの罪を犯せば三悪道に落ち苦しむとは言われるが、
死んで罪を償うより、
生きて罪を償う方が辛く苦しいことではないだろうか。

第二に、死刑は判決が下ってから執行までに数年あるそうだが、
その間、独居房に入り他の人と接することはほとんど無い。
仕事もせず、税金で生きていくのである。
これだけの罪を犯したならば、少しでも社会に貢献することはあっても、
社会の恩恵に与るのはおかしいのではないか。
それに、被害者に対する補償も加害者の家族や親族が被る訳で、
具体的(実質的)な償いに加害者が関与していない。
本来は、自分で働き、得た収入を賠償に充てるべきではないか。

第三に、死刑の判決が下ったことで、加害者が被害者や遺族に対し、
かえって恨みの念を抱き、
償いや反省の気持ちなど湧くこともなく刑が執行され、
加害者の怨念だけが残る可能性があるのではないか。
恨みの念からは、恨みしか生まれない。
互いに恨み続ける悪循環が続くだけと思うのである。
また死刑は、加害者が心からの反省と謝罪の念を起こすチャンスを阻害し、
同時に被害者やその遺族からも、
加害者を許すという機会を奪っているのではないか。
死刑が執行されれば、加害者を許す気持ちが起るものなのか。
特に、この母子殺害の加害者は、
友人にあてた手紙の中で、
遺族の本村洋氏を「調子にのってる」などと批判している。
このような精神状況の人間が、死刑判決を受けたとき、
自ら招いた罪の重さを感じ、
少しでも謝罪の念が起るものだろうか。
かえって恨みの念を増すばかりではないだろうか。
それより、時間をかけ被害者(遺族)と加害者が、
接する機会を設けていく方が、
加害意識も湧いてくるのではないかと思うのである。
このことに関しては、
自身も殺人事件被害者の遺族として、
死刑制度廃止を訴えている原田正治氏のHPを
ご参照頂ければと思う。
http://www.jinken.ne.jp/other/harada/index.html

第四に、被害者自身が加害者に対し死刑を望んでいるのだろうか?
勿論、被害者の悲しみや苦しみは計り知ることが出来ないし、
自分のような被害者が、
二度と現れて欲しくないと願っていることと思われる。
だからといって、加害者に対し死刑をと望むものであろうか?
それより、心からの謝罪と更正を望むのではないかと思うのである。

以上の理由から、僕は死刑を廃止にした方が良いと思っている。
が、しかし、そのためには無期懲役刑の確実実行が大切ではないだろうか。
つまり、獄死を迎えるまで償いと反省の日々を送り、
さらに、刑務作業に従事し少しでも社会に貢献し、
そして、それで得た収入を些少かもしれないが、
遺族への補償に充てていくようにする。
生きているうちの出所はあり得ないということである。

あくまで主観である。
僕にこんなことを言う資格は無いと思いうが・・・。

とにかく、今の僕に出来ることといえば、
被害者のご冥福を祈ることのみである。

■今日の一曲■
KAGEROH / REPLICA

"今日の一曲"を書くつもりはなかったが、
なぜか、この歌が浮かんだので・・・。
この歌自体は、teenage soldierを主題材に、
戦争のことを歌っており、
本題とは直接関係ないが、
奪われた命は戻らないと言うことと、
いわゆる「成仏」を願うような歌詞に、
何か、共通する部分を感じたのかも知れない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする