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ヨハン先生のドイツ語フランス語三昧

ドイツ語、フランス語をはじめて学ぶ人からブラシュ・アプしたいと思っている人まで、楽しく、しっかり身につくブログです

ドイツ語の時間第一週目

2011-10-08 09:03:28 | wiki
Guten Tag! Wie geht's Euch?

みなさんこんにちは。お元気ですか?

このブログは某大学で実際に1年生のドイツ語授業で試行しているものです。

まだ文法も終わってはいない段階ですが、教科書を離れ、学生がドイツ語に自由に触れる良い方法はないかわたしが考えて学生たちに提案したものです。

方法は、ウィキで自分の興味を引く事柄を調べる。そしてその日本語の部分と、ドイツ語ウィキで対応している箇所を探して比べてみるといういたって単純なものです。

しかし、ウィキとはいえども辞書ですからね、辞書の内容は客観的で、みな同じだと思うでしょ?

わたしが高校生の時、英語の教師が授業中に、生徒が「辞書にはこう書いてあります」と、ある種の抗議をしたときに、「ああ、それはその辞書が間違っていますから、直しておいてください」ときっぱり言ってのけたので、わたしたち生徒は、一瞬どぎもを抜かれました。

しかし、自分自身教師稼業をするようになり、あの先生の立派な応答を今でも思い出すことがしばしばです。

辞書といえども、人がつくったものですからね。間違いもあるわけです。

ウィキの説明を比べるというのは、どちらかの説明が正しい、間違っているという問題だけでなくて、国によってひとつの物事を説明する視点がときに全く異なるということを気づかされるという意味で、とても刺激的です。

新聞だって、テレビのニュースだって、比べると同じことを報じていてもずいぶん違うわけですからね。

どうしてそうなるかと言えば、言葉は聴き手があって発せられるからで、その聴き手が自然と発話者の意識をも規定しているわけだからです。

時代を超えた発話はしたがって、その時には往々にして無視、無関心、拒絶という反応しか得られないことがありますね。

複眼的な視野を育成する

これがすこし構えて、このプログラムの目標としているところです。

しかし、学生はそういう押しつけがましい教師側の意図なんかとは全く別に、このやり方に「なんか今までの授業とは違う」感覚、自分が面白いと思うことを自分から調べてみることの楽しさを感じ始めてくれれば、先生稼業もまんざらでもありません。

特定のクラス授業の課題をこうしてブログで公開することは、たぶんその面白さが少しは伝わるのではないかな、という思いからです。



☆ ☆ ☆

さて、二日目として、実際に学生が調べて提出した最初の文章を見てみることにしましょう。検索キーワードは「ブルートゥース」です。

(独)
Daten zwischen Bluetooth Geräten werden durch sogenannte Profile
ausgetauscht, die für bestimmte Anwendungsbereiche festgelegt sind.

(和)
ブルートゥース機器間のデータは決められた特定の使用分野を整えたいわゆるプロファイ
ルによって交信し合われます。
(調:T.Koike)

あははは、ブルートゥースかあ、たしかに小生のパソコンの画面右下にアイコンが出ている
のは知っていますが、全く小生としてはこれに興味を持ったことはありませぬ。

先生がこういう分野に弱いだろうと踏んで、いきなり小生への挑戦か?

いやいや、素直に受け取ろう。

学生はたとえ外国語の勉強だからと言っても、「それは本ですか? いいえ、それは鉛筆です。」
なんてナンセンスな文章、単純で直ぐ飽きてしまう文章じゃあなくて、やはり自分が興味を
持てることを知りたいんだと思います。

ところで、しかし理科系ではなくて文科系の、こういう分野にますます疎くなっている小生
としては、とりあえず二つの文章が文法的視点からみて正しく相互に対応しているかどうか、
眺めざるを得ません。結論として、ドイツ語は全く異常なしです。なんとなく日本語の方に
問題を感じます。そこで実際ウィキの日本語、ドイツ語に当たってみました。

やはりね、Koike君がここに出している日本語はウィキからの引用ではないようです。

日本語ウィキで、先のドイツ語に対応している記述をさがしたところ、どうやらこれがそう
です。

「Bluetoothはその特性上、様々なデバイスでの通信に使用される為、機器の種類ごとに策定されたプロトコルがあり、これをプロファイル (Profile) と呼び標準化している。 通信しようとする機器同士が同じプロファイルを持っている場合に限り、そのプロファイルの機能を利用した通信をおこなうことができる。」

なんだかなあ、文科系の小生にはますますちんぷんかんぷんな気がする。

ただ、Koike君が並べた日本語について、ここで分かったことは、どうやら、自分で訳したらしい、ということです。
そして、その日本語は、対応するドイツ語がプロファイルを介して、関係文を造っているわけですが、その主文については全く問題ありません。プロファイルを説明する関係文、ドイツ語の後半

「die für bestimmte Anwendungsbereiche festgelegt sind.」

に対する日本語、

「決められた特定の使用分野を整えた」

というところがどうも日本語としてこなれていないのが理解の妨げの原因らしいです。

「特定の使用領域のために策定された」

とするとよかったのではないでしょうか?

「決められた特定の」というと「bestimmt」を2回訳したことになるし、「festgelegt sind」は、「整えた」ではなくて、「整えられている」としておけば意味は通じたかな。



◎ このドイツ語を覚えましょう

本日は sogenannt という言葉ですね。「いわゆる」という言葉です。



☆ ☆ ☆

Guten Tag! Geht es Euch gut?

みなさん、こんにちは。ドイツ語の時間、今日は三日目です。

前回の記事をお読みくださったみなさん、ありがとうございました。
びっくりしましたねえ。まさかね、「ブルートゥース」が初回に登場するとは思わなかったでしょ?

今日はNKHで『坂の上の雲』続編(「日英同盟」)が放送されましたね。
アメリカに留学した真之、ロシアに留学した広瀬、ドイツに留学した滝廉太郎、当時の日本人はみんな、はじめ辞書なんかなしで語学の勉強したんですからね、たいしたもんだ。

もう少しこの記事にドイツ語の文法解説入れた方がいいかな、と迷ったりしますけどね、みなさん、「習うより慣れろ」って言葉があるじゃありませんか。何度も何度もドイツ語を声に出して読んでみてくださいね。文法はあとからおいかけてきますよ。

で、本日の検索キーワードは「ワンピース」です。

あはははは、またもや、これは小生には疎い話題。
洋服のワンピースなら分かるけどね。


(独)
One Piece ist eine seit 1997 laufende, international erfolgreiche Manga-Serie des japanischen Mangaka Eiichiro Oda, die für Fernsehen und Kino auch als Anime umgesetzt wird.
(和)
『ONE PIECE』(ワンピース)は、尾田栄一郎による日本の少年漫画。および、これを原作としたテレビアニメ、アニメ映画、ゲームといったメディアミックス作品。1997年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載されている。 (調: T.Sano)

二つの文章は、ともにドイツ語ウィキ、日本語ウィキの見出しの箇所ですね。

どうでしょうか? まず声に出してドイツ語を何度も読んで、それから日本語と比べてみてください。自然とふたつの文章がクロスしていることと、微妙に異なっていることに気がつきますね。
ドイツ語の方では→『週刊少年ジャンプ』(集英社)が抜けているでしょ? 見出しですからね、読者にとって負担が大きくなると思われる情報はのせていないのです。「メディアミックス」という言葉もドイツ語には見当たりませんね。テレビと映画でアニメ化されている人気漫画シリーズ、と説明されています。
やはり本家の日本でこれをウィキで調べようとする読者と、漫画がすでに相当に社会に認知されているドイツであっても、その読者との間にはすでに共有されている情報に格差があるということなんでしょう。

ドイツ語ウィキのほうには、そのかわり、日本語ウィキにない、次の説明がさらに続いています。

Erzählt werden die Abenteuer einer Gruppe junger Piraten in einer fiktiven Welt, die auf der Suche nach dem legendären Schatz One Piece ist.

「物語の内容はワンピースという伝説上の宝物を探して若い海賊グループが冒険を繰り広げるフィクション世界です」

小生と同じようにこの作者も、この作品のことも全く知らない読者のために、付け加えられたのでしょう。


◎ このドイツ語を覚えましょう

本日は laufend という言葉ですね。「連載されている」という言葉です。


☆ ☆

第一週四日目

みなさんこんにちは。毎日寒いですね。いよいよ冬本番というところでしょうか?
風邪をひかないように気をつけてくださいね。

どんどん寒くなっていきます。← これはドイツ語では? immer を使って比較級でしたね。

Es wird immer kälter.

Der Tag wird immer kürzer und die Nacht immer länger. (日がどんどん短く、夜がどんどん長くなっていきます)

どんどん~、という言い方覚えましょうね。


さて、本日の検索キーワードは、日本です。

語学の勉強でつらいのは、自分の知らないことをまだよく分からない外国語で理解しなければいけないときです。
それに比べると、自分がよく知っていることだと、それを説明している外国語も、え、案外自分の語学力って捨てたもんじゃないぞ、ってくらいすいすい理解でき、頭に入ってくることがあります。

外国の街を訪れたときに、自分の行きたいと思っている場所を既に十分頭に叩き込んでおいて、それを通りすがりの人に尋ねてみると、相手の説明がよく理解できて、語学の練習になる、と勧められることがありますよ。
ウィキの説明を比較する、というのもその流れです。

(独)
Japan ist ein Staat vor der Ostküste des asiatischen Kontinents.

(和)
日本は、日本列島及び周辺の島々を領土とする国家である。 (調: T.Ago)


いかがですか? 日本の説明でも、ドイツ語と日本語では、ずいぶん異なりますね。
比較しやすいように、ドイツ語の方を日本語に直してみると

「日本はアジア大陸の東海岸の前に位置する国である」
いかにもヨーロッパの人間から見て、日本がどこにあるか、それがいの一番の説明になっているわけです。

ヨーロッパの地図が大西洋を中心に描かれていて、それからすれば日本が極東(Fernost)の国になること、また、オーストラリアの地図では南北が逆転すること、などみなさんも知っていますよね? みんな自分を中心に世界をイメージしているわけです。それなのに日本人が自分からすすんで「日本は極東の国です」なんて言うのは、なんか変だと思いませんか? 私たちが子供のころから学校の教室に掲げてあって目にしてきた地図では、日本はほぼ世界の真ん中ですからね、「極東」ってどこからきたんだろう、って子供にとっては頭を混乱させるだけじゃないのでしょうか?


そこで、ドイツ語ウィキには、この「日本」という名前がどこから来たのか、次のように説明がされています。

Der Landesname setzt sich aus den Zeichen 日 (Aussprache ni, in der Bedeutung „Tag“ oder „Sonne“) und 本 (Aussprache hon, in der Bedeutung „Ursprung“, „Wurzel“ oder „Beginn“) zusammen. Japan ist deshalb auch als das „Land der aufgehenden Sonne“ bekannt. Der zusammengesetzte Begriff kann sowohl „Nippon“ (にっぽん) als auch „Nihon“ (にほん) ausgesprochen werden: Während „Nippon“ eher in der formalen Sprache, auf japanischem Geld und Briefmarken sowie bei internationalen Veranstaltungen verwendet wird, kommt in der Alltags- und Umgangssprache „Nihon“ häufiger vor.


日本語ウィキの方は、下に出しておきますが、これとはまた角度のことなる説明をしていますので、最初にドイツ語ウィキで書かれていることを日本語に直してみてみることにしましょう。


「国名は漢字『日』(niと発音、意味は昼または太陽)と『本』(honと発音、意味は源または初め)が合成されたもの。それゆえ日本は「陽いずる国」とも知られる。合成された名前は「にっぽん」とも「にほん」とも発音される。「にっぽん」はどちらかと言えば公式な言葉として紙幣、切手ならびに国際的な行事での際に使われ、日常あるいは会話などでは「にほん」が使われることの方が多い」


ドイツ人にとって、国名の発音そのものが当の日本人によって二つの発音で使い分けられていることに、当惑するのでしょうね。
ですから、なぜ、という疑問に答えようとした説明だと思われます。

で、これに対する日本語ウィキで同じような説明を探してみると、次の二か所です。


「日本国」という国号は、日本列島が東の果て、つまり「日の本(ひのもと)」に位置することに由来していると考えられる。憲法の表題に「日本国憲法」や「大日本帝国憲法」と示されているが、国号を「日本国」と直接かつ明確に規定した法令は、存在しない。

「にっぽん」、「にほん」と読まれる。日本政府は、正式な読み方を明確に定めていないが、どちらの読みでも良いとしている[17]。雅語で「ひのもと」と読むこともある[18][19]。


面白いでしょ?

やはり日本人みずから、極東だって認めているのですかね。たぶん「陽いずる国」という考え方は中国から見てもそうだったわけですから、そこからきたのでしょう。日本から先はもう海しかなかったのですね。


これに興味が沸いたら、国名だけでも次から次に知りたくなってはきませんか?
ドイツの方は、どうですか? 英語だとGermanyでしょ? なぜ本国はDeutschlandと名乗っているのでしょう?

ドイツ語ウィキの該当箇所をコピペしておきますから、辞書を引いて読んでみてください。あはははは、学生を放置。

„Deutsch“ bedeutete ursprünglich „zum Volk gehörig“ und meinte zunächst die Sprache.[9] Die Bezeichnung Deutschland wird seit dem 15. Jahrhundert verwendet. Davor sind nur Wortfügungen des Attributs deutsch mit Land belegt, beispielsweise in der unbestimmten Singularform ein deutsches Land oder der bestimmten Pluralform die deutschen Länder, nicht aber in der bestimmten Singularform das deutsche Land. Gemeint waren vielmehr Länder mit einer Führungsschicht, die sich auf den politischen Herrschaftsanspruch bezog, der durch das (Ost-)Fränkische, später Heilige Römische Reich, als begründet angesehen worden war. In einem Buch von 1487 ist u. a. von „in teutschen landen lassen machen“ zu lesen.[10]

オーストラリアとオーストリアも紛らわしくて、なんでお互いそう呼ぶのか、疑問でしょ?
調べてみてね。面白いことに気がつきますよ。


◎ このドイツ語を覚えましょう

 本日は vor という言葉ですね。vor der Küste は海岸から離れた目の前に位置する、ということです。それに対して海岸に家が建っていたりする場合は? an der Küsteですね。


☆ ☆ ☆

第一週五日目

今回の検索ワードは「音楽」です。

(独)
Musik ist die organisierte Form von Schallereignissen.
(和)
音楽とは、人間が組織づけた音である。 (調: M.Momobayashi)


ドイツ語のSchallereignissenが日本語では簡単に「音」となっています。これではちょっと日本語ウィキは不親切な気がします。で、続きをみると、


音楽は、音のもつ様々な性質を利用して、それを時間の流れの中で組み合わせて、感情や思想を音で表現することができる。

と説明されています。これなら逆に日本語ウィキのほうが詳しくなりました。
でも、日本語の冒頭の説明としてはこれだけです。

対するにドイツ語のほうはこのあとまだ説明がながなが続きます。


小生も初めてこの検索ワード「音楽」でドイツ語ウィキと日本語ウィキを読み比べてみることになったわけですが、最初に二つの言語間での説明の量の違いに直ちに目が行きました。みなさんも実際にアクセスして比べてみてください。ずいぶん量が違うことに気がつきます。日本語の方が手抜き?

そうではありせん。冒頭の説明に関して言えば、日本語ウィキでは内容の1概論として説明されている部分をどうやらドイツ語ウィキでは冒頭解説で済ましていることが分かります。


そんなことから、もうすこし詳しく言語による説明の仕方の違いについて考えて見ることにしましょう。

ウィキには統一的な説明スタイルというのが全ての言語に共通しています。
ついでですから、先ず目次というドイツ語を覚えてくださいね。

Inhaltsverzeichnis   これが目次です。

この目次で読者はどんな内容が盛り込まれているかおおよそ見渡すことができます。
その目次の長さからしてドイツ語と日本語ではずいぶん違うことに気がつくはずです。実際に見比べてみてください。


ドイツ語ウィキでは、最初に「歴史」が詳しく記述されます。

1 Historische Entwicklung というところです。直訳すれば「歴史的展開」、つまり音楽がどのような発展の歴史をたどってきたかということです。

これに対し日本語ウィキでは 4 歴史  詳細は「音楽史」を参照 
と書かれていて、「歴史」は別の検索ワードで調べるという形になっているのです。

ものはついでですからね、この検索ワード「音楽史」にアクセスして、対応する他言語のなかからドイツ語ウィキに飛んでみると、そこでの記述は逆に簡単なものにとどまっています。


ウィキを使いこなすためには、まず説明方法が言語によってずいぶん違っているということも知っておかなくてはならないようです。


ドイツ語ウィキの「歴史」の説明のサブタイトルのなかで、これからもよく目にするドイツ語と思われる言葉を抜き出しておきますから、覚えておきましょう。

1.1 Vor- und Frühgeschichte  前史
1.4 Antike  古代
1.5 Mittelalter  中世
1.6 Neuzeit  近代


続いてドイツ語ウィキの 2 Begriff und Begriffsgeschichte  です。
これは直訳すれば音楽の「定義、そしてその定義の変遷の歴史」ということです。
他方日本語ウィキでこれに対応しているのは 2 定義 で、やはり、 詳細は「音楽の定義」を参照、とされ別の検索ワードで調べる形になっていて、実際それを調べ、それに対応する他言語記述をみてみると、あるのは英語ウィキだけだと分かります。


このように見てくると日本語ウィキの「音楽」がドイツ語ウィキの「Musik」に比べて極端に説明の分量が少ない理由が分かりましたね。


「音楽」を検索ワードにしたドイツ語、日本語、二つの説明を比べて面白いのは、語源のところです。

ドイツ語では2.1 Etymologie und Wortgeschichte のところですね。
Etymologieと言う単語が「語源」にあたるドイツ語です。Wortgeschichteは、「言葉の歴史」ということです。

で、当然そこでの説明はMusikと言う言葉がどこから来ているか、古代ギリシャ語のmousikē にさかのぼって説明されています。

それに対し日本語の方は 3 語源 を見ると、『呂氏春秋』(紀元前239年に完成)に既に「音楽」という表現がみられる、と説明されています。

ウィキは同じ検索ワードであっても、決して相互の翻訳の関係にあるわけではないのです。

最後に、日本語ウィキに 11 音楽都市 という項目があることに小生は目をひかれたので、これに対応しているドイツ語ウィキの説明をさがしたのですが、やはりないようです。日本語ウィキ独特の項目だと分かります。


◎ このドイツ語を覚えましょう

本日はこの言葉です。<organisierte>
 日本語の方では 「人間が組織づけた」となっていますね、文法的に説明するとドイツ語の方は organisieren の過去分詞の形容詞的用法で、受身の意味を持つ形容詞ですから直訳すれば「組織づけられた」となるのですが、こうやって場合によっては能動的に訳した方がいいと判断されるときは主語を補って能動的に訳すと分かりやすくなるという例です。


☆ ☆ ☆

第一週六日目

みなさん、こんにちは。

ドイツ語の時間も今日で6日目になりました。
ブログとしては飾り付けも、写真もない、まことに味わいのないブログですが、少しずつ訪れてくださる方も増えてきているようで大変うれしいです。

あ、飾り付けがなくて、味わいがない、ことをドイツ語の形容詞では「sachlich」と言ったりしますので、覚えてくださいね。これは、逆に日本語に直すと「ただただ事実を並べていく説明のことです」

でも、学生が実にいろんなことに興味を持っているのは分かりますね。

教室での授業は、そういう学生の好奇心にこたえているんだろうか? って教師ならだれもがどこかで悩むものです。

まあ、それでも教師は伝えなくてはいけない、教えなくてはいけない日々のテーマ、項目があって、学生の不満を背中に感じながらも、デル・デス・デム・デンと声を張り上げてしまったりしているわけです。

ここは、その点、教室ではありませんからね、小生も自由に、のびのびとやらしていただいています。

そしてそれができるのは、こうして学生が教師に協力してくれているからこそなのです。

ときに学生が思いもかけない難しいテーマをぶつけてくるので、四苦八苦してしまうのも正直なところですが、その学生の自由さが、すでに、ドイツ語を多少なりとも自分の内発的なモチベーションで習得しようと一歩踏み出している証ですからね、教師としてはやはり喜ぶことと受け止めています(内心は多少、とほほほ、ってとこもあるかもしれませんが・・・いやいや、これは冗談ですよ)

さて、本日の検索キーワードは「サッカー」です

(独)
Fuβball ist heute eine der beliebtesten und weitesten verbreiteten Sportarten weltweit.

(和)
フットボールは今日、世界中で最も人気のあって、世界中に広まっているスポーツの1つです。 (調: M.Fujinuma)


やはりね、ドイツと言えばサッカー、いつか、だれかが取り上げるだろうな、ってテーマです。

Fujinuma君が調べてきたこの二つの文章、ざっと流して読んで、対応しているようにも思えるし、この通りウィキにも書いてあったんだろうな、って思ってしまいそうになりますが、
なりますが、
ん?
いやいや、なんかおかしい
先生の目はごまかせないよ

日本語の方、フットボールになってるね、
ん?
Fujinuma君は、サッカーを検索しようと思いながら、日本語ウィキを「フットボール」で検索してみた、ということなのかな?
君はサッカーをあえて普段から「フットボール」と呼ぶタイプ?

まあ、そんな詮索はやめて、小生は、日本語ウィキ「フットボール」に飛んでみました。見事なシュート!
ゴールに待ち構えていた対戦チームはドイツ・チームではござらんかったよ。

日本語ウィキ検索ワード「フットボール」に対応するドイツ語ウィキには

→ Football (englisch) とだけあり、Diese Seite wurde gelöscht.と説明されています。意味「このページは削除されました」   ドテッ!!! ずっこけたワイ

よって、小生の結論

Fujinuma君は日本語ウィキ「サッカー」を検索し、対応する他言語リストからドイツ語に飛び、冒頭の文章を見つけてきた、ということですな。

その冒頭の文章、小生も探してみました。ドイツ語ウィキ「Fußball」の、「Verbreitung」(普及、伝播)という項目に書かれていました。

前回の「音楽」でも詳しく説明しましたが、ウィキでも言語間でその説明はずいぶん異なります。想定されるそれぞれの言語の読者の知的ニーズに合わせるかのように記述されているからです。

で、案の定、ここでFujinuma君が取り出そうと思ったドイツ語に対応する文章は日本語ウィキには存在しません。ということはここに掲げた日本語は、やはりFujunuma君が自分で訳したのだと分かります。

しかしねえ、読者のみなさん、この学生たちはまだ、初級文法も終わっていないことを想像してみてくださいね。やれば、できるんです。
しかも、文法の説明にはうってつけのいいサンプル文章でした。


そこで、本日の

◎ このドイツ語を覚えましょう

英語の one of ~ に当たるドイツ語の表現法です。

分かりやすくするために飾りを取っ払うと  eine der ・・・Sportarten、となっているこの形です。
eine は不定代名詞ですが、後ろにくる複数形を指すわけですから、その性に限定された形となっているのです。

後ろの複数形が、順番に、男性名詞、女性名詞、中性名詞でサンプルを確認してみると、こうなります

einer der Studenten (学生たちのうちの一人)
eine der Studentinnen (女子学生たちのうちの一人)
eines der Bücher (本のうちの一冊)

ここらあたりは、初級学習者が混乱するところですが、この英語 one にあたるドイツ語 ein- は指している言葉の性に合わせ、語尾にdieser型の変化語尾をくっつけるのです。

ですからね、「わたしはあそこにいる学生たちの一人を知っている」だと、ein-のところはもちろん4格になりますから

Ich kenne einen der Studenten dort. となるのですよ。


◎ 付録

さて、本日の検索キーワード「Fußball」の「Verbreitung」の項目には、もう少し後に次の文章が出ているので、紹介しておきます。

Es wird nicht nur auf der ganzen Welt Fußball gespielt, sondern es gehen Millionen Menschen regelmäßig in Fußballstadien, um dem Spiel zuzuschauen.

直訳「サッカーは世界中でプレーされているのみならず、そのプレーを観戦するために日々何百万の観客がスタジアムに足を運んでいます」

es が冒頭と、sondern の後と2回出てきてますね? これは語調を整えるための置き辞のesと言います。本当の主語は、それぞれ Fußball (単数形なので定動詞は wird) であり、Millionen Menschen (こちらは複数形なので定動詞は gehen になってます) です。




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