元細胞生物研究者の日記

某病院に勤務する医師です。以前は細胞やマウスを相手に仕事をしていましたが、現在は医療に携わっています。

田中さんはすごい

2004-11-23 | Weblog
最近、友人がくれた録画ビデオをよく見ている。
昨日みたのは田中耕一さんのノーベル賞受賞が決まってすぐの国営放送の番組。
ノーベル賞をとることはもちろんすごいが、田中さんのインタビューにとても驚いた。

田中さんは同じ条件で実験をしても、結果が違うことがあるが、
その原因を探しそれを研究にいかすそうだ。
そして、この原因探しが楽しいそうだ。

すごすぎます。

拙者が実験をやめたくなるのは、データに再現性が無いとき。
つまり、同じ実験をやっても結果が違うとき。
実験回数を増やすと、その数だけデータが出てくるときがある。
どれを信じたらいいの?サイエンスの神様、教えてください、
ということになる。

それが、こうなったときのトラブルシューティングが楽しいだなんて。
もう一度、田中さん、すごすぎます。

人生をふりかえる

2004-11-19 | Weblog
先週、友人からもらったビデオに録画されていたNHKの懐かしの曲特集番組を観た。
「青春の唄」というテーマらしいが、どこが「青春」じゃ、という曲が何曲も入っていた
反面、拙者の過去を思いおこさせる唄も何曲かあった。
小林明子の「恋に落ちて」なんていう唄は、思い出深い唄だ。もちろん、不倫をしていたわけでもなく、だいたい拙者は男だ。
この曲は、拙者が高校生の頃流行っていたのだ。

あの頃、拙者は何を考えていたのだろうと思い出してみた。
そう、あの頃はお医者さんになりたかったんだよね。
田舎の県立高校から医学部に入るのは結構大変で、大丈夫かなあ、なんていつも悩んでいた。そんなこと考えている暇があったら、勉強しろといわれても、悩み多い年頃だったの。
そんで、なんとか、当時国立で一番入学偏差値が低い大学に無事入学。
拙者の能力、努力を考慮すれば出来過ぎでした。

医学部は各科目追試受験作戦で無事通過、医師国家試験もその勢いでパス。
うん、順調、順調。
就職先に選んだのは、拙者でもできそうな、あまり患者さんの命の危険がないやつ。
これも、また、グッドな選択でした。
その後、医学博士を取ろうかと、大学院に入学。ネズミの世話をして過ごした。
このへんから、ちょっと危険な方向へ進みだしたのだ。
そして、無事じゃないけど、一応大学院を卒業して、教授様の薦めて下さった、留学へ。
今に至る。

患者さんを診なくなってもう7年。ということは、実験はじめてもう7年。
なのに、拙者の業績って・・・。恥ずかしくてPubmedでサーチ出来ません。
だって、全然出てこないから。僕の論文。
うーん、これからどうなっちゃうのかね。
まさに、進むの地獄、戻るも地獄じゃ。ははは。
もしも願いが叶うなら、吐息を白いバラにかえるんじゃなくて、
7年前に時間を戻して欲しい。お願いしますがな。


西と南の失敗

2004-11-12 | Weblog
サザンブロット法という実験がある。
DNAを電気泳動してナイロンの膜にくっつけてDNAを検出する方法だ。
むかし、サザンさんという人が開発したらしい。
その後、RNAで同じような実験が開発され、サザン(南)に対抗して
ノーザン(北)ブロットという名前が付けられた。
さらに、蛋白でもやりますか、ということで、蛋白質でも似た実験が
開発され、ウエスタン(西)ブロットになった。
イースタン(東)ブロットというのはまだない。
DNAと蛋白をまとめて泳動する実験なんかがあって、これなんかイースタンブロット
でもいいような気がするが、ジェルシフトアッセイという名前だ。

今日はサザンとウエスタンを両方やりました。そうしたら、見事に両方失敗しました。
つらいっす。