瞬刊★差楽部

ジャンルに特筆しない雑記です( ´,_ゝ`)

金髪碧眼、ジョンブル

2006-12-02 09:34:35 | 映画

腕にはサブマリーナ、黒いスーツにニットのブラック・タイで武装して『カジノ・ロワイヤル』を観にいった。
劇場は初日だけあって遅い時間帯だが結構な入りだったので一安心。
前作までのアイルランド人と違って、金髪碧眼の英国人であるダニエル・グレイグのジェームズ・ボンドに対する世間の評判はあまりよくないものだったので、007フリークとしては多少なりとも心配だったりしたのだ。
まぁ、原作が黒髪ってことになってるからって、金髪に目くじらを立てることもあるまいに。

ところで、新生007にはQが登場しない。
実に重要なファクターだ。
Qが登場しないということは、秘密兵器の類が登場しないことを意味する。
近作には多少近未来風味の医療器具が登場するだけで、秘密兵器や秘密道具が一切登場しない。
サイエンスフィクションとウィットでアクション活劇を塗り固めたこれまでの多くの007シリーズの作品とは一線を画し、普通のドラマと演技主体の活劇になっている。

トム・クルーズのミッションインポッシブル・シリーズに尻を蹴飛ばされでもしたのか、映画的にはリアルな描写が初めて使われているのも特徴だ。
死体の額には孔が開き、刺されれば血が出る。
殴り合いの末に相手を倒した後はボンドは顔中傷だらけとなる。
当たり前のことなんだが、いままでの007では当たり前ではなく、殴り合いの後には涼しい顔で振り向いて、スーツの襟を直したら、手を叩いてお終いってのがパターンだった。

いささかトンマなスパイ養成所の描写があるが、ショーン・コネリーの『ロシアより愛をこめて
大好きな007映画であるジョージ・レイゼンビーの『女王陛下の007
話は大したことないのに格調高いロジャー・ムーアーの『ユア・アイズ・オンリー
出来の悪いティモシー・ダルトンの『消されたライセンス
など、これまでにも虚飾を廃したスパイ活劇らしい007シリーズも存在したが、近作はその究極だ。
演技が出来る俳優がスクラムを組んで、まっとうにドラマを演じ、それでいて観客を飽きさせないアクションを展開する。
ウィットに富んだシーンも存在するが、あくまでも自然な流れの中でに限定される。
マッチョな体躯を前面に押し出すシーンも多々あるが、アメリカ的な男根主義的なそれではなく、ただ洗練よりもジョンブル的な粗野な雰囲気を醸し出す程度に躾けてあるのは好ましい。
粗野なと書いたが、近作は00ナンバーを取得したてという設定から、わざとそうしているのだろう。


また、ハリウッド的な無国籍加減を脱して、欧州的な香りも復活した。
大人が堂々と好きと公言出来る仕立てとなった。
あまりの変わりようにこれまでの多くの客を失う結果となるかもしれない。
これまでの007シリーズが大好きで、毎回2回づつ劇場に足を運ぶ007馬鹿ではあるが、次作以降も『カジノ・ロワイヤル』的な路線を歩むことを支持する。

『カジノ・ロワイヤル』はいささか前作までのような御都合主義の場面展開も見られるが、前にあげたまっとうなスパイ活劇だった嘗ての007シリーズの数作を圧倒する傑作だ。
この意見には幸いなことに俺と僕に加えてオイラまで諸手を挙げて賛成してくれている

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
突っ込まないとダメですよね? (ぷれ!)
2006-12-10 18:58:50
> 俺と僕に加えてオイラまで諸手を挙げて賛成してくれている

オマケに“ワタシ”に“アタイ”“我輩”を加えたとしても・・・全部自分ですからぁ~~~!!!(残念!)
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レス (dekayocchi)
2006-12-12 10:29:23
Mr.ぷれ!

>突っ込まないとダメですよね?
>全部自分ですからぁ~~~!!!(残念!)

お手数掛けましたw
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