ヨマナイドクショ

あらすじが最後まで書かれていれば・・・読んだ気になれるのに

レミング物語

2008-05-04 | 「本」完全あらすじレビュー
『レミング物語』
 アラン・アーキン著(今江祥智・遠藤育枝、共訳)
 装画:桶あきら
 出版:原生林

ただいま絶版中

日本では、同じくアラン・アーキン著作の『カウンセリング熊』に続いて出版されましたが、本来は、『Lemming Condition』(レミング物語)→『Clearling』(カウンセリング熊)の順に書かれたそうです。
この表紙、そして挿絵もカウンセリング熊と同じく桶あきらさん。好きですね~、この絵。

以下、ストーリーを最後までを書いています。

ネタばれです




レミングのニーニは、「ある日大事な日」の朝目覚めてから、美味しい草とりに丘へ行く。その丘で知り合いのカラスに会ってカラスと問答しているうちに、自分達レミングが、この日すること=旅に出て崖から海に飛び込むことに疑問を持つ―――第1章「はじまる」。

ニーニ家に帰るが、旅支度をしている父に疑問をぶつけるが答えはもらえない。クロードおじさん一家を呼びに行く道すがら、レミングの仲のはぐれ者アーノルドに出会う。アーノルドにも疑問をぶつけるがたいした答えはない。それまでカッコイイと思っていたアーノルドにちょっと幻滅。―――第2章「うたぐる」

クロードおじさん一家と散歩する。クロードおじさんにもこれからの旅と崖から飛びこんで泳げるのか?という疑問をぶつけるが、クロードおじさんからも答えは得られない。クロードおじさんが話しのわからない年よりに見えてしまったニーニはクロードおじさんの元から逃げるように丘へ。―――第3章「たずねる」

丘に行ったニーニはカラスを呼ぶ。カラスが言っていた池に連れていってもらうことに。初めて空を飛ぶ、そして初めて池に足をそっと入れてみる。ニーニは崖から海へ飛び降りたとしても、泳ぐことはできないと確信する。家に帰る気にもなれず、カラスに頼んで見知らぬ岩だらけの場所におろしてもらい、ニーニは一人になった。―――第4章「しらべる」

暑い岩場で干からびそうになっていると、じいさんレミングと出会うニーニ。自分で考えること、周りのレミングに惑わされず生き延びるため自分を鍛えることを伝えるじいさんレミング。ニーニは家に帰ろうという気になる。―――第5章「であえる」

家に戻ると、レミング達は熱に浮かれて西へ移動を開始した。お父さんと一緒にニーニもレミングの大群の中を西の崖を目指す。レミングとの一体感。でも、レミングが崖から海へどんどんと落ちていくのを目の当たりにして、ニーニは思いとどまった。群れて走って海へ飛んでいくレミングの中でもみくしゃになりながらニーニは必死で戻ろうとする。石の剥がれた溝に身体をおしこめ、一晩中群れにつぶされながら堪えた。レミングの大群が海に落ちて静かになった。日が昇り、レミングが全くいない墓場のようになったその場所をニーニは東に向かって歩き出す。すると、小さい子どものレミングが5人、あちこちから顔を出した。この壮絶な時間を眠って過ごした5人の子どもは、レミングのささやかな未来だ。ニーニに「行かないで」「手伝って」と言う子ども達。一人が「レミングでしょ」と呼びかける。ニーニは「もうレミングじゃない」と言い残し、行く当てもなく東へ向かって歩くのだった。―――第6章「ぬける…」

こうしてレミングのニーニはレミング種族からはぐれて自分のアイデンティティを失ったような形で、結末を迎えますが、そこから、『カウンセリング熊』へとつながるわけです。
この本を読むと、自然と『カウンセリング熊』が読みたくなる。

この2冊が絶版になっているのが、残念でなりません。

復刊.comに、復刊リクエストしました。


2 コメント

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カウンセリング熊 (夢三)
2008-11-29 19:40:04
はじめまして。夢三(ゆめぞう)と申します。

『レミング物語』を検索してこのブログにきました。

あらすじがよく分かりました。
『カウンセリング熊』を中古書店に注文しました。
来るのがとても楽しみになりました。

どちらも絶版なんですね。
どうりで、中古書店にしかないと思いました。

またお邪魔します。
遅くなりました (snow)
2008-12-14 00:49:04
>夢三さん
コメントをありがとうございました。
あまり手入れをしていないブログなものですから、すっかりお返事もおそくなりましたて、すみません。
その後、『カウンセリング熊』はお読みになりましたか?

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