ヨマナイドクショ

あらすじが最後まで書かれていれば・・・読んだ気になれるのに

小袖日記 前半の完全なあらすじ

2009-02-12 | 「本」完全あらすじレビュー
『小袖日記』の中盤までです。
ネタばれです。


プロローグ
主人公のあたしは不倫をしていた相手の男にふられ、死んでやる!と真夜中の公演を徘徊。死ぬのをやめようと思った瞬間雷に打たれ、ちょっとパラレルな世界の平安時代へタイムスリップ。

1.夕顔
 中宮の教育係で熟女の美人"香子さま"付きの女房"小袖"になってしまったあたしは、香子様がこっそり執筆している物語のネタ探しをする。香子様が執筆中の物語とは、あの「源氏物語」。小袖は、源氏物語のネタ探しをするのだ。
 夕顔と呼ばれた女性は、光源氏のモデルの一人されている胡蝶の君の目に適って逢瀬を続けた。さらに、胡蝶の君の友人、清瀬の君の妻である雅(みやび)様から嫉妬され脅されていた。雅様は毒入りのお菓子を、名を伏せて夕顔の家に届けていた。たまたま胡蝶の君が夕顔を古い寺に連れ出した時、夕顔がこっそり持ってきていたお菓子を食べ、その毒で死んでしまった。お菓子をこっそり食べるとは、この時代の女性としてはちょっとはしたない。実は夕顔は現代で言えばインシュリンが必要なタイプの糖尿病だった。体調が悪くなって甘いものを食べた時に乗り越えた体験があったのだろう。この日も毒入りとは知らず持ってきていたお菓子を口に入れたのだ。だがこの時代、毒入りお菓子を食べずとも夕顔の先は長くなかったであろう。
 香子様はこの事実を、雅様の複雑な心境(かつては胡蝶の君が好きだった)を慮って、夕顔は生霊にとりころされたという物語に変えて書いた。

2.末摘花
 ある女房が、知人で高貴な血を引くけれど貧乏なお姫様を、胡蝶の君に面倒見てもらおうと考える。しかしこのお姫様、極度の恥ずかしがり屋で、胡蝶の君が渡ってこられても絶対に顔を見せないし歌詠みも下手。その女房は、胡蝶の君の足が遠のいているので、お姫様をなんとか説得して胡蝶の君を引きつけてほしいと、香子様に相談きた。それを聞いた小袖は「これは末摘花の話になるんだ」と思い、その姫に会いに行く。末摘花といえば源氏物語の中でも不美人で有名。
 お姫様の邸は古びた物しかなく使用人もわずかで、葛野という若い女房が側に一人いるのがまぁ救いといえば救い。御簾越しに見たお姫様はそれはもう色が白くてけっこうな美人。しかも鼻は赤くない。なかなかの美人だしおかしいなとは思ったものの小袖は、その邸の使用人のお婆さんからお礼の蜂の巣の一番奥のとろりとしたもの=ローヤルゼリーを貰って帰ることに。けれども忘れ物を取りに邸にこっそり戻ると、なんとお姫様と葛野があられもない姿に…。そう、お姫様は男嫌いだった。貧乏で仕方なく胡蝶の君を受け入れてはみたものの、やはりつらい。
小袖は、色白で、時々肌が赤くなるという話を聞き、どうやらアレルギーのあるお姫様に胡蝶の君を受け入れずに援助だけしてもらう策を授ける。
 宮中で真夏に氷を出す日があるから、胡蝶の君がやってらその氷を小袖が届けて、お姫様はこっそり鼻を氷で冷やして赤くしなさいと。お姫様、小袖が言う通りにそうして、胡蝶の君に真っ赤な鼻の顔を見せ幻滅させるのに成功。胡蝶の君はそれでも財力と度量があるので、かわいそうな貧乏姫の経済支援は続けることに。晴れて、愛し合う葛野とこれまでどおりに暮らせるようになる末摘花の姫様だった。
 それとは別に、暑さでばててしまった女御様のために、ローヤルゼリーと牛の乳を、氷室の氷でギンギンに冷やしてかき交ぜこっそりアイスクリームをつくってしまった小袖。この時代にアイスクリームを作って食べたことは、中宮様、香子様と小袖の3人の秘密です。

3.葵
白鷺さんという女房仲間のお邸に遊びに行った小袖を壬生の中将という高位の公達が訪ねてくる。香子様が源氏物語を書いていることを知って、小袖に、ある困りごとを聞いてほしいということだ。壬生の中将の妹、山吹の上は胡蝶の君の正妻。今、妊娠8ヶ月だが今まで元気で明るい女性だったのに、このところ急に元気がなく寝就いてしまった。先日、胡蝶の君が山吹の上の部屋を訪れると見るもひどい痩せた形相になっており、あれは生霊にとりつかれているのではと疑っている。それが本当かどうか確かめてほしいとの依頼だった。
これは「葵の上が六条の御息所の生霊に呪い殺されるあの話か?」と思う小袖だが、そうであれば、山吹の上の死は避けがたい。小袖は、気が重くなるのだったが…。

山吹の上の本当の死因、胡蝶の君の愛人、若菜姫の実像など、この小説の中では"泣かせる"一遍。
以下、目次。

4.明石
エピローグ

で終わり。
なかなか考えさせられることもあり、小袖が自分の世界に戻れるのか?
女はいつの世もどこででも、哀しかったり頑張ったり…なのね、きっとと感じることもあり。最後はハッピーエンドですね。

小袖日記

2009-02-11 | 「本」完全あらすじレビュー
『小袖日記』
柴田よしき著
文藝春秋

昨年は源氏物語千年紀ということで、源氏物語に因んだ本をいくつか買っていました。ようやく読み終えた1冊。
主人公は29歳の平成の世のOL。そのOLさんは不倫関係がダメになりやけを起こして「死んでやる」と真夜中の街へ。公園をさすらって、死ぬのはやめようと思った瞬間に落雷を受ける。
目が覚めるとそこは今いる世界の平安時代とはちょっと違う感じのそれでも平安時代のようなところで「小袖」と呼ばれている18歳の女性になっている。
小袖として平安のお姫様方に出会い、源氏物語が出来ていく過程にかかわっていくことになります。
夕顔、葵の上と六条の御息所、若紫、など源氏物語について大枠を知っているほうが楽しく読めると思いますが、まぁ知らなくても大丈夫。
後に源氏物語となるモデルの女性達とそのミステリーを小袖が現代の普通のOLの知識と感覚で聞きとっていく面白さがあり、思いのほか「病気」とか「体質」などにまつわる原因が多くて、ちょっと意外でした。
あとは、作者さんは明石の上がことのほか好きじゃないみたいで、私は大和和紀の『あさきゆめみし』でしか知らないけれど、明石の上が一番幸せな人なんじゃないか(おいしいところ取り)と思っているので意見の分かれるところでした。
どれもさらっと読めるのですが、「葵」は、ちょっとホロリとする話で一番よかったかなぁ。
全編にわたり、生きづらい女性の心情とか男の身勝手さがちりばめられており、いつの世も変わらないかなぁというような感じ。
また、ストーリーとは別に「小袖」になった主人公が現代の知識を駆使して平安時代にアイスクリームを作ってみせたり、服装を工夫したりと、なかなか面白いエピソードもありましたね。