ヨマナイドクショ

あらすじが最後まで書かれていれば・・・読んだ気になれるのに

クラバート(上)

2008-07-22 | 立読・積読・半読
『クラバート』オトフリート=プロイスラー著。
一応、少年向けの小説です。

プロイスラーといえば、私が子ども頃読んで最も面白かった本『大泥棒ホッツェンプロッツ』シリーズの著者で、再びも三度も大好きだった。

で、なんか、千と千尋の神隠しの元になった話しだと聞いて、去年か一昨年にこの『クラバート』を買ったんですが、読んでは中断、また戻って読んで中断、というのを繰り返していたため、もう話とかわからなくて、まぁまぁだいたいわかればいいかと。
で、今日、ようやく上巻だけ読み終わりました。
感想は、よく分からないので、楽しいかどうかも分かりませんが。
一応一冊読み終えたとはいえ、半読の部類ですね。こりゃ。

クラバートは男の子。家族もいないような、いわば浮浪児のような状態だったんですが、水車小屋で粉挽きをしている「親方」のところで見習いとして働きはじめます。そこには親方にこき使われている人が何人も住み込みで働いています。親方は彼らを働かせその替わりに魔法を教えるのでした。
クラバートもこき使われ、ときどき魔法を教わり、なんだか謎の多いこの水車小屋で1年が過ぎました。2年目に入り、仲間の死、ちょっと気になる少女へのほのかな恋心、などのエピソードが淡々と続いています。2年目の途中で上巻は終わり。

果たして、クラバートは立派な魔法使いになるのか? そういう話しなのか?
あるいは、この水車小屋には隠されたすごい事実があるのか? ないのか?
いつまでクラバートや他の仲間は、つらい労働をさせられるのか? 終わりはないのか? その労働に意味はあるのか?
親方は、悪者なのか? 悪はさばかれるのか?

全て下巻を読まねば分かりません。

ただ、プロイスラーの作品には、ドイツの地名、ドイツ人の名前、ドイツの食べ物が満載で、それが面白い。
子どもの頃、ホッツェンプロッツを読んでいたときも、舌を噛みそうな仲間の名前とか、そういう響きが好きだったので、大人になってもそれは変わらないんだなぁと。
そして、暗い。雰囲気が暗い。
ホッツェンプロッツの場合は、暗い鬱蒼とした森や、深い地下室や井戸など湿った感じの鬱屈感。
そしてクラバートでは、泥炭地、湿地帯、夏でもひんやりしている荒地の夜の様子などなど、漠々たる荒涼感。
そして「苛酷な労働」「逃れられない」というのも、暗さを増幅させていますね。
ホッツェンプロッツでは、永遠に続くかと思われるジャガイモの皮むき、クラバートでは粉挽き水車小屋の労働。
今でもジャガイモの皮をむくときは、たかだか5,6個で、ツライ気分になってしまいます(^-^;

こうした鬱屈感、荒涼感、逃れられないシバリ、などが、子どもの心にも密かに漂う暗さを刺激するのだろうと、今大人になるとそんな分析をしたくなるところです。

少年の冒険話しでわくわくするけれど、子どもはけっこう暗いのを読んで、また現実に戻るというのが、好きなんでしょうね。そしていや、私がそういう子どもだっただけなのかもしれませんが。

最後に、このホルツィングという人による挿絵が素晴らしい。