クロスアルプス ７日目 ホリデーモード

　　もう２つ超えるはずだった山もスケジュール的に無理になり、朝からみんなリラックス、ホリデーモード。　宿の朝ごはんのカプチーノがおいしくて最高。　パンにジャムをぬって頂く。ケーキもひときれ。　宿のおっちゃんもおばちゃんもいい人たちで、昨晩の料理もこのあたりの郷土料理だろう、それを誇りを持って提供してくれているらしい。　１泊２日２食付で７０ユーロ。　決して安くはないが大満足の内容だった。　
　天気もこれまた快晴。　
夜は平地なので暑くて眠れなかったが、窓を開けて寝たら涼しくなってゆっくり眠れた。　蚊がいてだいぶとくわれたが、まぁよしとしよう。　
　朝バイクチェックを念入りに行い、チェーンにオイルをさす。みんなゆっくり目の支度。　バイクチェックをしっかりと行っている。　そんなこんなで朝９時半に出発！
　恒例のエイエイオーには宿のおばちゃんも参加し笑顔で出発することができた。　
　宿の横に流れていた川沿いを気持ちよく進む。　みんな昨日の夕方がオーバースピードだと理解しているようで、今日はゆっくり目で！とウーベが宣言し、ペースが速いと後ろがすぐにきれるので無理ないペースで走ることができた。　しかし、自転車（ロード）で走っている人の多いこと多いこと。　驚きます。　やはりイタリアも自転車の国なんだなと再認識。　１時間ほど進むとついにコモ湖に到着！　湖沿いを進みColico港に到着。　
　少し早目だがお昼を食べることに。　港の前のレストランでピザを、イタリアだからってことでピザを食べることになった。　メニューを見るとピザの種類が書いてあって大体４ー５ユーロ。　一切れくらいがでてくるのかなと思い、注文。　でてきたピザをみてびっくり！　厚みはないが超でかい！　日本だと３千円コースかな？　リラックスモードということでビールと一緒にいただく。　食後のエスプレッソも最高。

　このとききいたのだが、イタリアではこのでかいピザを二人でシェアしようとしたらナイフフォーク代ｘ人数分だけ必要になるみたいだ。　１人＝1ユーロくらいだから高いもんではないけど文化の違い、勉強になった。

　しっかし今日は完全にホリデーモード。
この後フェリーに乗ってコモ湖横断。　対岸の町に移動だが、フェリーの時間まで時間があったので、ちかくのビーチで湖水浴とひなたぼっこ。　身体はいつもの走る、押すに慣れているのでこんなにやすんでいいのかいなーって信号がでるが、休めるときに休んでおこうとのんびり。　

　その後フェリーに乗り込み約１時間半の船旅。　
景色を見ながら甲板デッキで座っているとウーベが手に４本のビールを持って登場！　笑ってしまう。　完全に気が抜けてる。　空は雲が多くなり、風もきつく、雨がぽつぽつふり出していた。　山を越えて下りてくる予定だった街とその向こうにある山をみながらビールを飲み、のんびり。　いろんな港に着くたびに写真を撮ったりしてひまをつぶす。　
　
　メラジオ港に着いたときにはすでに夕方４時前だった。　今日はここからさらに進んで、隣の湖ルガノ湖までいくと言ってたのに相変わらずのんびりモード。　メラジオの街を観光していこう！と街の中をふらふらし、またもやジェラート休憩。ラムレーズンとピスタッチのジェラート。　おいしい！　

　天気も曇ってはいるが雨はやんでいた。　さあ、ぼちぼちいこかと思い腰をあげて出発！　これからルガノ湖のほうへ向かうがルガノの町までいくとスイスに入るので、その国境の手前で宿を探すことに。　なぜって？　スイスは物価が高いのと、やっぱりイタリアのほうがご飯がおいしいだろうってことらしい。　
　
　メラジオから次の街まではひたすら上り。　ここ、観光地らしく大型バスがばんばん走ってます。　自転車道が発見できず車道を走るが、車が多くてかなりのストレス。　天気は登りだすと晴れに。　途中の道路わきの温度計を見ると３４度。　暑いはずだわ。　
　何度か道に迷いながら進むとついにルガノ湖に到着！　ルガノ湖。　ここも観光地。　そりゃそうだ、こんなきれいなところないよ。　素晴らしい湖です。　湖沿いに進み、今晩の宿を探すが、いい宿っぽいのがない。　そりゃそうだ、高い宿ばっかりでしょ、こんな観光地。　ところがウーベが穴場を発見！　
　道沿いの家を貸してくれるところで、オーナーのピエロさん曰く、１週間とか２週間とかのバカンス貸ししかしない物件だが、自分もサイクリストで、あなたたちの気持ちが分かるから特別に一晩だけお貸ししましょう。（でも嫁さんに確認とってたのが笑った）　となんとラッキーな出会い！　広い庭に、プライベートビーチ、湖沿いの家はパーティーハウスと、その地下には湖直結のボート小屋。　どんだけリッチやねん！という気分の味わえる場所です。　なんでも築４００年だとか、ほんとかどうかわかんないけど。　

　メラジオからの行程、結構暑くてあせだらだらだったので、部屋に案内された後は速攻海パンに着替えてビーチへ！　プライベートビーチと言ってもささやかなものだったが、湖に飛び込みリフレッシュ！　泳いで少し先のボート停泊所によじ登りそこから飛び込み！　最高です。　
　ウーベなんてやってきたと思ったら、いきなりふるちんになり飛び込んでいる。　みんな全然気にしてないし、おもろいなー。
　このころ日がなくなり肌寒くなったので素早く切り上げ、シャワーをして家の前の道路を渡ったところにあるイタリアンレストランへ食事に。（イタリアにあるからただの食堂か？）　雨が降っていたが、最初のビールを開けるころには晴れ間が雲の隙間から見え、虹がものすごくきれいに出ていた！　素晴らしい景色を見ながら、カプレーゼとスパゲッティーポモドーロ
をいただく。　カプレーゼを食べ、みんなのパスタが来てるのに俺だけ来ない。　店の人曰くやってるからちょっとまってください。　仲間曰く、絶対忘れてたよ、ここイタリアだもん。というコメント。　文化だわと思いながら、おいしいワインを飲みながら待つ。　ポモドーロ。　おいしかった！　でも見た目はめっちゃシンプル。　どこに時間がかかるんだろう？という料理なので、やっぱり結論は　イタリアだからということになった。　食後にデザートティラミスをいただく。　日本のティラミスを想像してたらボール皿にどん！みたいなでかいのがでてきて度肝を抜かれる。　おいしいから許す。　
　
　食後に村とビーチ沿いを散策。　なぜこんな街の作り方をしてるのかとか、暑さを避けるため、日陰を多くするために家と家の距離が狭いとか、ここは昔の洗濯場。　洗濯物をたたきつける岩がへこんでいる。　かなり歴史を感じる古い街並み、異国に来ていると今更ながら強く感じる。　
　散歩後にどうしよっか？　と相談した結果、レストランにもどりワインを買って家で飲んで打ち上げしようということに。　レストランにある１．５リットルのさっき飲んでたのと一緒のハウスワインを１２ユーロで買って、まっくらな庭で最後の晩餐後の打ち上げパーティ。　
　今回の旅についてああだった、こうだったとみんなで話し、なんやかんやで盛り上がりワインもあっという間になくなってしまった。　みんなこの旅を最高に楽しんで来たから、明日で終わるのが寂しそうだ。　自分も実際そうだった。　そんな気分で飲んでるからかワインも進み、いい感じに酔っ払いです。　結局１２時ごろまで盛り上がり、あとは倒れるように眠りについた。。。

　　身体にもかなりがたが来ている。　
　左手首痛くて力はいらず。　右手の平、押すと痛い。　両側腕の内側にあせものようなしっしん。　かゆい。　筋肉痛は終わってたが、無理してこいだら簡単に膝がアウトになりそうな感じ。　肉体的にもそろそろ潮時か。　ちょうどいいのか？
複雑な気分で明日、いよいよ最終日を迎える。

　つづく

クロスアルプス 6日目 山から街へ

長らくお待たせしました。
クロスアルプス続きだよ～

前回のおさらい。　イタリアの山小屋で寒い気温の中お酒で身体を温めて、フォークのいびきに悩まされながらも眠りにおちた。　つづき。

朝起きると外は快晴。
ベッドからいちばん近い窓から朝日が入ってきて気持ちがいい。　空気は冷たいが日の光が身体を温めてくれる。

朝ごはん、せっかくいい天気なので、みんなで外で食べることになった。　ご飯は非常に質素というかベーシックなものでパン、ジャムと濃いぃぃ　コーヒーだった。　コーヒーはミルクと砂糖を入れてようやく飲める品物。　山にいるとこんなに濃いコーヒーになるのだろうか？　と不思議だった。　この山小屋のおやじさんすごく頑固そうだし。　昔からの味を守ってるような感じがした。　勝手な想像だが。

昨晩の女性2名とも一緒の朝ごはん。　話を聞くと今日自分らが進む方向から登って来たらしく、下れないわよっ　と笑顔で話していた。　そんなにひどい道なのか？

朝日の中時間にせかされることもなくのんびりと身支度を整え、出発の準備をする。　ここ２３００ｍの山小屋からさらに２００ｍ登り、そこから下っていくコースだ。　

毎朝みんなでエイエイオーをするのだが、今日はメンバーが多い。　一晩だけだが同じＭＴＢで旅する仲間の女性たちも含めて全員でのエイエイオー。　今日も一日がんばろうの気合が入る。　

最初の登り、乗っていけるかな？と思ったが、お尻痛いのと、昨日の疲れで体が重く、のんびり押すことに。　高地の空気の薄さも関係しているのだろう。　登っていくにつれ山小屋が景色になじんで風景の一つとなり、先に見えてくる山々が青い空の中に見え隠れしている。　天気がいいということは最高だなと思いながらの登り。　下りへの折り返し地点手前でイタリアからスイスに入る。　

　そこからの下り、女性陣が言ってたように下れません。　急斜面、岩ごろごろ。　乗って行ったら転倒間違いなし、しかも深い谷底へ。　押してても怖くなるところもあったぐらいに無理って感じでした。　きつい斜面を時間をかけて押して下り、木々が生え始めるくらいの高度で、少しずつだが乗れるところがでてくる。　ハイカーともすれ違いだし、ある老夫婦ハイカーが下ってるのを見たいというので、下れないレベルじゃない岩ごろごろのところを下っていく。　上では驚いたような声が上がる。　アレクシーが続くが、アレクシースピード出しすぎ。　途中の岩でつまづき大きく前に前転。　そのままブッシュの中に投げ出されてました。　幸い本人に怪我は無い様だったが、ＭＴＢのブレーキからオイルが漏れてリアブレーキが使えない状態になってしまってる。　
　
　アレクシーがそんな状態だし、フォークの初日パンクしたタイヤの裂け目からチューブがこんにちは、もうすぐ出ますよーと顔覗かせてるし、メカトラ多し。　岩もまだまだ多いし、中止して進もうと思ってると、またアレクシーがなんかやったようだ！　後ろにもどってみると今度はカセットスプロケット（後ろギア）のいちばん大きいギアがぐんにゃり曲がっている。　それ見て、面白すぎで笑う。　みんなも同乗してるがセ攻めすぎやで～と笑っている。　先を急いでないからこういうトラブルで怒る人はいないのは気分的にも楽だ。　しかし、この先の行程もあるので、最低限走れるようにはなっておかないといけない。　
　とりあえず下山して下の街で自転車屋を探そうと言うことになる。　道はシングルトラックからジープ道へと変わり、標高もどんどん低くなっていく。　
　ここでフォークと別れ（先に下山してリアタイヤ修理するお店を探しに行った）残ったみんなで途中のショートカットシングルに行くも、なんと行き止まり。調子よく走っていたのにジープ道へ引き返し。　そういうときの押しってつらいことつらいこと。　
　で、なんとここでウーベのリアタイヤがパンク。　今日はメカトラの多い日だ。　それだけバイクにも負担がかかっているのだろう。ライダーの疲労も結構たまっているのだろう。　みんな明るく振舞っているがふとしたところで疲れが見える。　

修理後さらに下り続け街に出る。　下りは標高差を考えてもながーーい下りだったが、ジープ道と舗装路の組み合わせなので退屈だ。　自分が贅沢になってきているのもあるが、そんなに長い壮大な下りでも満足しなくなってきている。　やっぱりシングルトラックだよな。。。などと考えながら先へと進む。　

　一通り下った後の街でフォークとも無事合流し、そこの街でお昼ご飯になる。　スイスの小さな町。たまたまその日がスイスのナショナルホリデーということで町の広場には市場が立ち、おいしそうなパン屋やサラミ屋、野菜果物屋などなどが立ち並び、人も多い。　ここでパン、アップルパイ、ドーナツを食べて、デザートにもものジェラートを食べる。　これが激うま！　ジョーがサラミ屋のサラミが安い！　と教えてくれたので小さいのを一つ購入。　３フラン。　おなかが空いたときに食べようとバッグパックに収納。　

　幸せなひと時も終わり再び出発！
そこから水の色が水色のレイクサイドを進み（途中で休憩と言ってジョーとアレクシーは泳いでいた。　ジョーなんてすっぽんぽんやし(笑））イタリアの国境へ向かう。　
道は舗装路。　舗装の下り。　車のスピードカメラで５４ｋｍをアレクシーが記録。　俺が５２ｋｍだった。　そうこうしているうちにイタリアの国境へ。　久しぶりの人のいる国境だったがここもあっけないくらい簡単にパス。　下り終わったTiranoという街でまたジェラート休憩。　今度はコーヒーとレモン。　本場物やっぱり激うま！　気がつけば気温も山にいたときは涼しかったが、平地まで下ると暑い。　なんと30度。　からっとしているが暑い！　そりゃあジェラートうまいはずだわ。　

　そういえばアレクシーのバイクのブレーキも何度か握ってるうちに再びきくようになったようで、とりあえず走れている。　一安心。　フォークもリアチューブのこんにちはを修理したみたいで、みんなと一緒に走れると幸せを再確認。　

　地図を確認し、いけるところまで行こうということに。
ここからはしばらく平地。　大きい小さいはあるが街の中の舗装路を走っていく。　
ローディーみたいなローテーションがまた始まり、スピードは速いし、とにかく向かい風だし、太陽ががんがんに照ってるし、暑いしいやになる。　
　気がつくとかなり疲労している。　もうあかんでと思えるくらいで大きな町に到着。　お、今日はここで宿探し？　時間も5時過ぎだしちょうどいいかなと勝手に思っていたが、とりあえずカフェで休憩。　本当に身体が疲れきってて、動けない寸前の休憩は助かる。　またジェラートをおいしくいただく。　カプチーノも飲んでエネルギー補充。　イタリアのコーヒーもうまい！　となりの席の若いお姉さんグループが興味深々でどこから走ってきたのかとかをきいてくる。　山の上から来たとこたえるとびっくりして、これからどこへいくのか？　道分かるか？　宿、知り合いのところを紹介してあげる！　とやたらに親切。この子達ほんまにきれいだった。　イタリアの人はきれいだし、おしゃれだし心のオアシスとなる。　（ちなみにイタリア語だから全然俺分からず。　ウーベがしゃべってた。　イタリア語勉強しとけばよかったと後悔（笑））

　お姉さんたちにバイバイをして再出発。　とにかくいけるところまでいって、調子よさそうな宿があったら泊まろうと言うことに。　川沿いを進んでいく。　もう夕方6時前。　またローディーみたいなローテーションが始まる。　俺いっぱいいっぱい。　水もなくなり、完全にアウト。　みんなからだんだん遅れ始める。　水がないというのは本当につらい。　やばいなーと思って、みんなにも水ない！と宣言して、おすそ分けもらったりしてたが、身体は思うように動かない。　
　ラッキーなことにそういうときにパブリックの公園がでてくる！　道脇の小さい公園だが水道がある！　遠慮なく水道の水をがぶがぶ飲み、生き返る。　命の水だった！　
しばし木陰で休憩。　寝転ぶと気持ちいい！　
宿はどうなるんだろ？　でも外でも寝れるし、なんとでもなるかと街にいる安心感もあってのんびりできる。　みんなも疲れてるようでしっかり休憩している。　

　そこからさらに進み、道に迷いながら、宿を探すが全くいい宿がないというか宿自体見当たらない。　さすがにみんな疲労の限界が来ているようで、どっちにいく？という議論でエキサイトする場面もありびっくりする。　そんだけ疲れてるんだろう。　最後、農業施設（ホテルみたいに泊まれる。　いわゆる民宿）の看板をみつけ、よっしゃ今日はここに行こう！と最後みんな盛り上がる。　看板にそって進んでいくと山を登っていく。　もうすぐかもうすぐかと思っても出てこない。　

　おかしい。　

　みんなそう思い始めて、ウーベが道沿いの家で道を聞いている。　すると、その施設宿泊ができないらしく、一同大ショック！　またさがさなあかん。。。　と落ち込んでるとなんとその家の人が知り合いのところ紹介してあげるよ。　車の後ろについておいでと自家用車をガレージから出してくれて道案内をしてくれた。　なんてやさしい！　人のやさしさに感激しながら車の後をついていく。　たどり着いたのは本当に素敵な農家。　これは本当に嬉しかった。　疲れ果てた身体で、日も落ちかけ始めている時間にようやく宿が決まり一安心。　案内してくれた人にお礼をいい、部屋へ直行。　部屋がまたきれいで、シャワーも完備！　先に同部屋のフォークとアレクシーがシャワーをあびる。　その間バルコニーで夕焼けに染まっていく街並を見つめる。　足は今日の汚れと日焼けでパンツと靴下の境目がくっきり出ている。　自分のシャワーの番になり、上下ジャージを洗濯しながらのシャワー。　昨日シャワーできてないし、余計に嬉しくてついつい長いシャワーをしてしまう。　幸せすぎ。　

　シャワーを終えてご飯を食べに１階に行くと（部屋は２階）、みんな笑顔で待ち構えている。　ビールで乾杯し、今日の日のことを話してると、食事が到着。　イタリアらしいハムサラミ、チーズ、とでてきて、みんなであっという間に完食。　うますぎ！　と次にパスタとリゾットが出てくる。　このクロスアルプス始まって初めてのお米！　ライスライスライス！！　興奮しすぎと、嬉しさとでほんとに泣きそうだった。もちろんリゾットをおいしく頂き、最後メインは牛肉とラム肉。　これまたおいしすぎ。　多分今回のたびの中でいちばんおなかいっぱいになるまで食べた夜。　最後はグラッパでしめて就寝。　つらい日には最後いいことがまってるものだ。
　明日もいい日になる。　
　　楽しみ。　あと２日でこの旅も終わる。。。　

　つづく