退職一時金の2007年問題－「年金積立不足半減」(日経8/29)

企業の年金財政の改善が進んでいるようだ。
上場企業全体の年金積み立て不足の合計は、
2005年3月末で8.1兆円弱と
ピーク（03年3月末：17.5兆円）比で半減。
業績や財務を蝕んできた年金問題から
解放されつつのは事実であろう。


ただ、この話は企業会計上の話。
実際の退職一時金・年金の現金積み立ては
追いついていないのではないか。


07年から、団塊世代の大量退職が始まる。
退職一時金で確か５０兆円とか。
その受け皿を狙って金融機関がしのぎを
削っているくらいだ。


ということは、それだけの現金を
企業側は用意する必要がある。
企業年金の資産から支払うとしたら
相応の取り崩し(資産売却）も始まるだろう。
これは株価低下要因にならないか。
株価が下がれば、会計上の積立不足も拡大する。
イヤなスパイラルが始まらなければ良いが。


企業（本体）もバランスシート重視経営
の中で有利子負債を思いっきり削減してきたが、
それに「待った」がかかるかも知れない。


企業であれば資金繰りの中で、
アナリストであれば業績予想の中で、
将来の退職給付による
キャッシュアウトもある程度考慮しなくては
ならなくなるのではないか。
（参考：米国会計基準では、将来支払予定額の
　注記による開示が義務付けられている）


この「退職一時金の2007年問題」、
私の思い込みであれば良いのだが。