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もし公認会計士が上場会社の財務経理マネジャーになったら

2016-02-17 | 会計・株式・財務
17日は公認会計士協会主催の「企業決算作成実務研修会」に参加しました。無料でCPE(継続的専門研修)3単位もくれるのです、行かない手はないでしょう。

この研修で講師をされた東証1部上場企業の財務経理マネジャーさんが非常に興味深い話をされておりましたので以下、備忘のためメモしておきます。オチはありません。なお、この方は監査法人で15年勤務した後、昨年7月に転職。現在は財務経理マネジャーとして資金管理・経理全般を担当されております。

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■決算(4Q)対応実務
・会社にとっては決算短信発表が最大のヤマでここがゴール。これを超えると「消化試合」の印象あり。
・終わった決算の数字の確定よりも、次期予算をどうするのかの方がウエイトが高い(実際に株価もそちらに反応しやすい)

■ストックオプション実務
・かなり実務が細かく、作成資料が非常に多く、間違いやすい(実際に間違えてしまったとか)。

■財務経理担当になって改めて思う監査の限界(あくまで講師の私見)

(1)企業の内情を知りえない(監査人が見ている領域は会社の一部に過ぎない)
(2)販売費及び一般管理費の検討が十分とはいえない(ここを見るだけでも、会社が何をしそうなのかがわかるのになぁ、と)
(3)監査手続のウエイトづけが現状の企業実情・トピックスよりも、審査項目や過年度発見問題に重点が置かれる。
(4)業績予想を重視したリスク評価が十分とはいえない
(短信をチェックしていない。深度ある監査をやる上では重要なのに。)
(5)有効な内部統制を前提とした監査手続が中心となっている (理論的にやろうとしている)
(6)網羅性がカバーできていない。
(7)半面調査権がない。
(8)抜き打ち調査ができない現実である。
(9)効率性が求められ、原則としてサンプルベースでのチェックとなっている。

    
↓ 
 企業が組織ぐるみで行う粉飾や不正を会計監査人が発見することは困難!
    ↓
 企業の開示制度の信頼性を確保するためには、現実的には、外部からの牽制だけでは十分ではなく、内部からの牽制が必要不可欠
    ↓
    ↓
 (経験を公認会計士が事業会社の財務経理部門にどんどん入って)組織内会計士による社内牽制が機能することは、証券市場の信頼性向上につながる。
    ↓
<組織内会計士への期待大!> (・・・というニュアンス)
 
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私のバイサイドアナリストの経験から、決算短信は次期予想が最大の注目点であることは、まったく同感です。セルもバイもアナリストは一般に、短信の次期予想及び前提となる諸条件(例:為替、出退店、設備投資額)を基に自らの業績予想を見直して理論株価を出して迅速に投資判断を下さなければなりませんからね。
そして、だからこそ、もっと決算短信の業績予想を重視したリスク評価をしっかりやるべき、という講師の指摘はその通り。


最後に、組織内会計士による社内牽制も大いに期待したいですよね。

ただし、組織内会計士はあくまでクライアント側。経験豊富で、監査法人の手の内を知り尽くしているという厳然たる事実もお忘れなく。
(何をかいわんや・・・・ですが)。



おあとがよろしいようで。

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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2016-02-18 07:42:19
この財務経理マネジャー氏どうも頭が悪いみたいですね。
「内部からの牽制」なんぞ機能するわけがないw

自分は決算を何とかしろとプレッシャーかけられる立場だと
理解しろよ。
返信する
やはり、そうですか・・・。 (dancing-ufo)
2016-02-18 23:05:46
コメント有難うございます。

やはり実際はそうなのでしょうか・・・・。
まぁ、講師の方は、転職されて数ヶ月で、モチベーション高い方でしたので、初志貫徹で頑張って頂きたいというのが偽らざる本音です。

私が密かに気にしているのが、組織内会計士の普及・定着により、会計監査がむしろやりにくくなるのではないかということです。

本文末尾に少し書いた通り、監査法人の手の内は把握しておりますし、実務経験・専門知識も豊富で、ひとたび意見が割れた場合などなかなか論破するのが難しいのではないかと。

誤解を恐れず言いますと、T社にも組織内会計士の方が数人いらっしゃると聞いておりますし・・・・・。

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