似てる(渋谷橙のことば)

詩を書いて、演劇をして、飲食店でバイトして、妻ができ、子がうまれた。さて、どうなる。自分の小説みたいな場所。

"ちびた石鹸"

2010-08-09 10:32:21 | 
ぱくっ


しません


千年も万年も愛でる


ぼくはどんどん汚くなって

切れた便りで島が浮く


まちがうことなくよむてそう
まちがうことなくよむてそう

駅でそいつを殴ってやった


ぼくはどんどん軟らかくなって
泡にならずに消えてしまう


手紙を洗って絞って干して

土を歩いていくんだね

"波"

2010-08-09 10:21:28 | 
あの星と星は
どんどん離れていって

風飛行機のプロペラの音が
いつまでも回っていた

振り返る
夜を迎える
右も左も鳥の波

明日帰ると言って
欲しがってしまった

風飛行機のプロペラの音が
いつまでも回っていた

"浜辺では"

2010-08-07 18:06:54 | 
浜辺では
下着も上着
金色に新しい光
時間は暮れて無くなろうとしてる
タッチの差で
胸の谷間に滴が流れ
そこまで来た波は渚と結ばれて消える

浜辺では
上着も下着
よそ見しても海
砂は裸になってから着替える
あの子が食べている
きゅうりが星のかたち
燃えて赤く照っている
頬はまるで人

浜辺では
噂も水着
ビキニ型の雲間に太陽
上に下にはみ出して揺れて
夕暮れを掴めずにいる

膝丈に包まれた
トマトを洗って齧りつき
水平線と僕とあの子が
広くひとつであることに
判子を捺して潮風で乾かしておこう
しょっぱくて舐めよう

"車輪の小学生"

2010-08-07 17:46:37 | 
小学生が自転車をこいでいる
何を着てもいいんだ
熊の子 蜂の子 鰻の子

小学生が自転車をこいでいく
何処に着いてもいい
釘の子 梨の子 燕の子

結べそうだ
自転車の子 補助輪の子
三輪車の子 四輪駆動車の子
溝の子 土の子 竹の子 糸の子
鋏の子 毛羽の子
鎧の子

コルクが飛ぶ
追いかけろ