札幌市の中島公園にあるコンサートホールKitara(キタラ)は、1997年の7月4日に開館し、以来パイプオルガンの備わった音楽専用ホールとして市民に親しまれています。
当時の案内には「170万人都市・札幌の都心にある中島公園に音楽環境が結晶した新ホール」とありますが、27年前のあの頃は170万だったか (現在は197万)と、そんな昔でも無いのに、何か懐かしい気がしてくるのは、当方のジジィ化が加速しているせいでしょうか?
建物の方も27年と言えば立派に中年だなぁ…などと思いつつ、この日はそのバースディと言う事で、お祝いのワンコイン・コンサート。しかも年に一度くらい(多分)しかやらない、プロジェクターでの演奏者の手元アップ付き。
演奏は午前の「まずはここから公演」では吉村怜子さんが。私の聞いた午後の「もっとじっくり公演」では、第24代専属オルガニストのウィリアム・フィールディング氏が担当。
バッハがオルガンのために作った祝祭曲から始まり、フォーレのピアノ「ドリー組曲」は、フォーレが親しかった銀行家の娘の子供の誕生を祝い贈った曲で、誕生日に相応しい選曲でした。(この子の実の父親はフォーレだという下司の勘繰り説?もあるそうです…は余談ですが)
続いてヴィドールの「オルガン交響曲5番」は確かにオケの音。当時のレジストレーションとしては型破りだったそうですが、今は奇異に感じる事は無く、最後の向け鳴響くフル・オルガンは、コンサート・オルガンならではの心地よさ。
穏やかなボエルマンの曲を挟み、ラストはデュリュフレの「前奏曲とフーガ」で、これまた低音マニア(?)に嬉しいレジストレーション。カプラーを通じ4段のマニュアル全てと足鍵盤が鳴り響き、その様子がモニターでアップされるのには感動。
モニターで見る演奏のアップは初めてでは無いですが、最近ホンの少しだけオルガンの本を読んだ私には、そこで齧った知識がこうして可視化され、マニュアルの動きやスエルペダルの操作、コンビネーション・スイッチの操作などが実際とつながって嬉しいのです。
譜めくりは吉村怜子さんが担当され、その横顔もアップになり、その楽譜を追う目線はキリっとして、ああ、譜めくりの人も一緒に演奏しているんだと感動しました。今更当たり前のことですが、通常のコンサートではうしろ姿しか見られないので。
アンコールの「ハッピー・バースディ」が終わった後、モニターに「写真撮影OK」の表示。フライヤーにはこのお知らせは無かったので、あらかじめ知っていたら一眼レフを持ってきたのに…は冗談として、たまたまこの日は最前列にいてラッキーな日となりました。