
2回階段踊り場 右ニケ。左ハスキーのぬいぐるみ。
想定外は想定内と対で、ライブドアのホリエモンこと、堀江社長が多用した事で、流行語大賞などでも話題を集めました。今年はまだ4ヶ月を過ぎていないのに、すでに2回、記者会見でこの「想定外」を聞かされました。
勿論そのうちの一回は、今回の震災に関してで、津波の大きさが1000年に1度だそうです。因みにもう一度は・・・京都大学の携帯電話による不正入学、というか、カンニング事件というべきでしょうか。
「想定していませんでした。」このことに関して、色々批判が出るわけで、「何故想定していなかったのか?」は、極々普通に思う疑問ですが、では、批判する側は、「そういう想定をしていたのか」を私は思ってしまいます。
大学入試に関しては、韓国の事例などがあり、携帯電話による、大規模なカンニングや不正が、起こり得ることは指摘されていたようです。ですが、事件発覚当初の専門家によるコメントでは、「単独犯でカンニングを行うことは不可能」と断定されていて、各報道機関の対応もそれに沿った物であったのは、記憶に新しいところです。
大学側の会見でも、「想定外」でしたが、報道機関も、単独犯は「想定外」だったのでしょうね。
さて、今回の震災では、津波の大きさがまさに「想定外」だった事は明白で、その後の色々な不幸な事柄も、まさにこの「想定外」から起こっていると、思われます。
防潮堤の破壊。潮位計の故障。避難所が避難所として機能しなかった。そして、問題の原発。津波が大きくて肝心要の電源が全て使えなくなった。考えてみると、今起きている原発の全ての問題は、ただ、この電源が確保できなかったという、一点で起きた事なんですよね。このことが想定されていなかった、というのはどうも信じられないんですがね。ですが、どうも、今回の日本の事故によって、世界の原発関係者も見直しを進めているということは、世界的に想定していなかったということなんでしょうね。
原発に関して言えば、私は、津波の大きさの想定問題というより、電源が使えなくなった時の、非常電源の想定の方が大事に思います。今回の事で分った事は、原発は、電源によって、冷やさなければ、大事故を起こすということです。例えば、悪意を持った人間が、電源を壊す事だって考えられるわけで、今回15メートルの津波だったから、20メートルの津波が来てもいいようにする。という、対処療法だけでは、何か起これば「想定外」を連発する事になるんじゃないのかと、危惧します。
防潮堤に関しても、推進した学者さんは、「防潮堤のお陰で、津波の規模も小さくなり、津波の到達時間も遅くする事ができ、それなりに有効だった」と、うそぶきました(私は、うそぶいたと思います)一方同じく推進した元町長(だと思います)は、「同じような防潮堤で、町を守るという発想は捨てなければならない」と話していました。私的には町長に同意見です。
防潮堤が全く何の役にも立たなかった、などとは思いませんが、防潮堤が有ったために、安心していて、逃げ遅れたり、逃げずに被災された方も多くいたのは事実のようです。
東京では、200年に一度の大洪水に対応する、スーパー堤防の建設問題が今もくすぶっているようです。もしスーパー堤防が完成したとして(400年先とも言われますが・・・それは置いて)、もし1000年に一度の大洪水がおきたら・・・・。
確率の問題ともいえますが、では何故、今回の震災や、津波は確率の中に表れなかったのか。明日、大地震が起こらない保障は、どこにもないのではないでしょうか。つまり、対処療法には限界があるということです。過去に起きた災害を基準にしても、それは僅かに1000年や2000年の話で、地球の何十億という時間の中では、データーのうちに入りません。想定外のことが起こるということを、想定しなければなりません。ようは、そういう時に、どうすれば、最も被害が(人的な)少なく済むかが肝心なのでは、ないでしょうか。
原発で言えば、核燃料をどうやれば、冷やし続けられるかであり、津波や洪水では、どうすれば安全な所に逃げられるかです。
「想定」はあくまで机上の話でしかありません。悪く言えば。机上の空論ともいえるかもしれません。若い人なら、シュミレーションと言った方が、ピッタリくるのかもしれません。どちらにしても、現実では有りません。経済などでも、企画書などで、データーを駆使して、机上の計算をする訳ですが、どんなに有名な、優秀だといわれるエコノミスト達でも、経済の動向すらピタリとは当てられません。ましてや、自然を相手にして、想定しても、想定外は起こると思います。
「想定外」発言をめぐって、よいよう悪人探しが、始まりつつあるようです。悪人探しがクローズアップされるより、まだまだ、私的には被災地の復興に全力を注いで欲しいですね。未だ停電や、水道などのインフラが復旧していない地区が、多数ある現状を聞くにつけ、そう思います。
