忘却の彼方へ

ウエブ上のメモ

子育て支援から「子ども支援」へ

2005年12月16日 | こども/家庭・こころ
『「夜ふかし」の脳科学』神山潤著 中公新書ラクレの中で著者は、子どもをないがしろにしている日本としておもしろい逸話を紹介している。

戦前米国に渡った亡命画家・八島太郎氏が、交通標語のキャンペーンとして有名な「飛び出すな。車は急に止まれない」について、「けしからんよ、話が逆だ」「『飛び出すぞ。子どもは急に止まれない』が本当じゃないかね」と憤怒したというのである。
子どもを守り、育もうとするなら「飛び出すぞ。子どもは急に止まれない」であり、これが成熟した社会が身につけ示すべき視点であろうと述べている。
「そういう見方があったか!」と目から鱗で感心した。

さらに、著者は、子どもをないがしろにしいている政策として、「子育て支援」をあげている。これは保育現場でもジレンマを抱えながら親のニーズに合わせて長時間保育を進めてきたものだが、子どもにとって本当にいいことなのかという反論である。もっともである。今こそ、「子育て支援」から「子ども支援」への転換が必要である。

このことは、子どもや障害者などの支援をする場合の今後のキーワードとなるだろう。これまではあまりにも親や家族のことを中心に政策が考えられてきた。これからは、子どもや障害者本人の生活を中心に考えていく必要があるだろう。